今日の「お気に入り」は、北原白秋(1885-1942)の「蕗の薹」と題した詩一篇。
新らしき蕗の薹かな。珍らしき苦き香ぞする。その蕗の
薹、一つ刺し、二つ刺し、竹の小串に三つ刺して、さて
味噌つけて、火に焼きて、あな苦さよと一つ食べ、あな
うまさよと二つ食べ、あないつくしと三つ食べて、さて
さびしやと我ゐたり。春さきの、あは雪の、消なば消ぬ
かの、声聴きてけり、そのしばらくは。
新らしき蕗の薹かな。珍らしき苦き香ぞする。その蕗の
薹、一つ刺し、二つ刺し、竹の小串に三つ刺して、さて
味噌つけて、火に焼きて、あな苦さよと一つ食べ、あな
うまさよと二つ食べ、あないつくしと三つ食べて、さて
さびしやと我ゐたり。春さきの、あは雪の、消なば消ぬ
かの、声聴きてけり、そのしばらくは。