今日の「お気に入り」は、北原白秋(1885-1942)の詩「聴けよ妻ふるもののあり」。
聴けよ、妻、ふるもののあり。かすかにもふるもののあ
り。初夜過ぎて夜の幽けさとやなりけらし。ふりいでに
けり。何かしらふりいでにけり。声のして、ふりまさる
なり。雨ならし。いな、雪ならし。雪なりし。雪ならば
初の雪なる。よくふりぬ。さてもめづらにふる雪のよく
こそはふれ、ふりいでにけれ。さらさらと、また音たて
て、しづかなり、ただ深むなり。聴けよ、妻、そのふる
雪の、満ち満ちて、ただこの闇に、舞ひ深むなり、ふり
つもるなり。
たまさかに浪の音して夜(よ)の雪なり
聴けよ、妻、ふるもののあり。かすかにもふるもののあ
り。初夜過ぎて夜の幽けさとやなりけらし。ふりいでに
けり。何かしらふりいでにけり。声のして、ふりまさる
なり。雨ならし。いな、雪ならし。雪なりし。雪ならば
初の雪なる。よくふりぬ。さてもめづらにふる雪のよく
こそはふれ、ふりいでにけれ。さらさらと、また音たて
て、しづかなり、ただ深むなり。聴けよ、妻、そのふる
雪の、満ち満ちて、ただこの闇に、舞ひ深むなり、ふり
つもるなり。
たまさかに浪の音して夜(よ)の雪なり