「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2009・01・19

2009-01-19 07:25:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、北原白秋(1885-1942)の詩「聴けよ妻ふるもののあり」。

  聴けよ、妻、ふるもののあり。かすかにもふるもののあ
  り。初夜過ぎて夜の幽けさとやなりけらし。ふりいでに
  けり。何かしらふりいでにけり。声のして、ふりまさる
  なり。雨ならし。いな、雪ならし。雪なりし。雪ならば
  初の雪なる。よくふりぬ。さてもめづらにふる雪のよく
  こそはふれ、ふりいでにけれ。さらさらと、また音たて
  て、しづかなり、ただ深むなり。聴けよ、妻、そのふる
  雪の、満ち満ちて、ただこの闇に、舞ひ深むなり、ふり
  つもるなり。

    たまさかに浪の音して夜(よ)の雪なり

  
コメント
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