今日の「お気に入り」。
「 私は幼い頃、勉強は嫌い、運動も苦手、友だちづきあいも下手、わがままで泣き虫で病気ばかり
していた。どんな家庭教育をしているのかと担任の先生に訊(き)かれるたびに父は平然と答えた。
『人を裏切るな。他人の物を盗むな、とだけ教育しておる。梅の木にバラは咲かん』 」
「 『最もナショナルなものこそ、最もインターナショナルたりうる』という言葉がある。文化、
とりわけ芸術の領域において、これは極めて深い意味を持つ言葉であろうかと思われる。そ
の国土が、必然的に醸(かも)し出している香りや色彩や形態や精神が、ある明確な具体世界
を作りあげると、それは必ず異なった風土の、多種多様な精神に自ずからつながって行くこ
とを、私たちは気づかされる筈だ。音楽においても、絵画においても、文学においても、そ
れは同じである。
( 中略 )
現代は、贋物が本物を追い払っている時代である。新しさというものに対する誤った概念が、
あらゆる芸術を停滞させ衰弱させてしまっていると私は思う。『新しさ』などない。いいか、
悪いかしかないのだ。
( 中略 )
有無を言わさず、人を魅きつけるものこそ、美しいのである。そして、それこそがいつも
『新しい』のである。 」
( 宮本輝著 「命の器」講談社文庫 所収 )
10月9日は、デザインの日であるとともに、印章の日だったり、道具の日だったり、
塾の日だったり、熟睡の日だったり、金券の日だったり、土偶の日だったり、散歩の日だったり、パソコン検定の
日だったり、仙台牛の日だったり、あるいはトラックの日だったりもする。
ついでながら、明日10月10日は、ちくわぶの日で、お好み焼の日で、(したがって)糖化の日で、肉だんご
の日で、ふとんの日で、貯金箱の日で、てんとう虫の日でもあるとか。