高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

『脱牛肉文明への挑戦』

2012-10-17 07:48:59 | 読んでみたら・・・
読書の秋なので
本を読んでいます

『まだ、肉を食べているのですか』(こちら)を紹介してから
ちょうど1年がたちました

私はその本で
アメリカにおける食肉の生産が
どれほど自然に負荷をかけているか
を知りました

その歴史や現状をさらに詳しくおしえてくれるのが
ジェレミー・リフキンの
『脱牛肉文明への挑戦』(ダイヤモンド社)



ちょっと長くなりますが引用

「アメリカ合衆国では、土壌浸食と砂漠化が深刻な問題となっている。

200年前には、合衆国内のほとんどの耕地には少なくても21インチ[約35センチ]の表土があった。

それが今日では、過放牧、過耕作、森林破壊の結果、表土の3分の1近くが失われてしまった。

一部の地域では、表土が6インチ[約15センチ]足らずにやせてしまっている。

かつては世界最大の農業産地を考えられていたアイオワ州では、1世紀足らずのあいだに表土が半分以上失われた。

合衆国内で、降雨による浸蝕のために年間約40億トン、風による浸食のために約30億トンの表土が失われている。


数学者のロブン・ハーは、合衆国におけるこの年間約70億トンの表土流出のうち、およそ60億トンは放牧と飼料作物生産に直接起因すると推定している。

残念ながら、世界の蛋白質連鎖の頂点に位置する豊かな牛肉文明を維持する環境コストは、牛肉価格そのものに組み込まれていない。

土壌浸食と砂漠化は、『外部コスト』とみなされている。

すなわち、将来の世代が返済すべき環境負債のかたちで、この2次生産コストが際限なく蓄積されているのである。


デビッド・ビメンテルは、合衆国における土壌の浸食と流出の直接・間接コストは年間約440億ドルを超えると試算している。

合衆国の牛肉消費者1人ひとりがこのプロセスに加担している。

ワールドウォッチ研究所の試算によると、肥育場の牛肉から1ポンド[450グラム]のステーキ1枚につき、約15キログラムの表土が流失する」(256-257ページ)


現在の食肉産業は
長い時間をかけてたくわえられた
自然の豊かなちからを
贅沢に浪費することでなりたっています

自然をこわしながら育てた牛の肉を食べて
からだをこわす…

ほんとに人間は何をしているのだろう
と思います

すごくためになる本ですが
古書でしか手に入りません

運営委員Hでした
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『食の終焉』。

2012-10-07 07:01:39 | 読んでみたら・・・
運営委員Hです

『雑食動物のジレンマ』(こちら)を
紹介したさいにも書いたことですが
トウモロコシなどの穀物が
家畜のエサとしてつかわれています

世界で生産される穀物の3分の1
世界で生産される大豆の9割
家畜のエサ用になっている
というのが現実です

肉をどんどん食べるということは
エサにする穀物がどんどん必要になる
ということを意味します

ポール・ロバーツの
『食の終焉』(ダイヤモンド社、2800円+税)
という本があります



その第6章に書かれていること

「最も優秀な集中家畜飼育施設でも、牛の体重を1ポンド(約0.45キロ)増やすために少なくても7ポンド(約3.18キロ)の飼料が必要とされ、その量は豚の約2倍、鶏の3倍以上に及ぶ。

さらに悪いことに牛は、そうした小型の家畜と比べ、食用にならない部分が多く、体重の60パーセントは骨と内臓と皮である。

だから牛の場合、飼料からの実質的な転換率はさらに低くなり、牛肉1ポンドをえるために20ポンド(約9.07キロ)の穀物が必要になる(鶏は4.5ポンド、豚は7.3ポンド)。

つまり、牛肉消費が1トン増えれば、世界の飼料需要が20トン増えることになる。

これは大変な話であり、アメリカ人が消費する穀物の90パーセントが肉や乳製品に形を変えて消費者の口に入っている理由はこれで説明できる」(360ページ)

牛肉1キロをつくるのに必要なエサ用穀物が20キロ

ものすごい浪費です

しかも
トウモロコシなどをエサに育てられた牛の肉は
人間のからだに悪い飽和脂肪
牧草で育った牛に比べて9倍です(こちら)。

穀物を浪費しながら
からだをコワしている人間…

肉を食べるのはほどほどにしましょう
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『エコがお金を生む経営』

2012-10-04 06:28:49 | 読んでみたら・・・
運営委員Hです

さきに紹介した『フード・インク』こちら)に
ハーシュバーグというひとも出ていました


世界最大のオーガニック・ヨーグルトメーカーの
ストウニーフィールド・ファームの経営者です

こんな本を出しています

ゲイリー・ハーシュバーグ
『エコがお金を生む経営』(PHP)


なーんとなく
ただのお金もうけの本
のようなタイトルですが
中身はちがいます

オーガニック食品の生産や販売を
仕事として発展させるために大切なこと
が語られています

ひとつは
社会へのメッセージともなる
しっかりとしたミッションをもつこと

そしてもうひとつは
そのミッションをどこまでも大切にして
妥協しないこと

本を読みながら
ふと思ったのは
これは私の人生に欠けていることかも
ということでした

とってもいい本なのですが
古書でしか手に入りません
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本の『フード・インク』。

2012-09-29 07:36:44 | 読んでみたら・・・
運営委員Hです

きのう紹介した『フード・インク』で
とりあげられていた問題を
さらに詳しくあつかった本があります

エリック・シュローサー、マイケル・ポーラン他の
『フード・インク ごはんがあぶない』
(武田ランダムハウスジャパン、1900円+税)。



情報量がすごい本です

この本を読むと
農と食をめぐる問題が
どれほど巨大な問題かがわかります

たとえば地球温暖化問題とのかかわり
をとりあげた第6章から

人間がひきおこした温暖化の77パーセントは
放出された二酸化炭素が原因ですが
残りの23パーセントは
メタン亜酸化窒素が原因。

その二酸化炭素の9パーセント
メタンの37パーセント
亜酸化窒素の65パーセントが
家畜に由来します

合計すると
温室効果ガスの13.5パーセント
家畜からでていることになります

メタンや亜酸化窒素は
おもに家畜のウンチやゲップから発生します

アメリカのブタのウンチからでるメタンは
世界のメタン排出量の半分にあたります

さらに
世界で作られている穀物の33パーセント
大豆の90パーセントが家畜のエサとなりますが
そのためにつかわれる窒素肥料からも
亜酸化窒素がでます

アメリカの亜酸化窒素排出量の3分の2
窒素肥料からでています


ロダンの彫刻に「考える人」
という作品があります

(父親がもっていた石膏製レプリカです。)

ほんとうに私たち
考える人にならなきゃいけない
と思います


映画を観て本を読んでも
本を読んで映画を観ても
どちらでもいいと思います
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『フード・インク』

2012-09-28 07:51:52 | 読んでみたら・・・
『フード・インク』という
ドキュメンタリー・フィルムを観ました。



カタカナでのタイトルを見て
食品の着色料(インク)にかんするフィルムか
と思ったのですが
違いました。

インク
インコーポレイティドの略

「株式会社」といった意味です

農業の機械化大規模化
同時に
農業の企業化を意味します

アメリカの農業や食品産業は
ほんの数社の企業によって
ほとんど独占的に営まれています

『フード・インク』は
その現状とその問題を
描いたフィルムです

去年紹介した
『ファーストフード・ネーション』(こちら)の
エリイク・シュローサー



先日紹介した『雑食動物のジレンマ』(こちら
のマイケル・ポーラン

も出ています

企業が支配する農業と食品産業の
現状がつぎからつぎとレポートされる
内容ぎっしりのフィルムです。

農と食のすべてを独占しようとする
企業の代表するのがモンサント社



政治家たちをコントロールしながら
(たね)の独占をめざしています

種を独占できれば
農と食のすべてを支配できます

種から生まれるわけではない家畜も
エサ用穀物で飼育されるわけですから

企業にとって農や食は
いのちを育むためのものではなく
利潤追求の手段です

なので自然にたいしても
ようしゃがありません

何でもありです

そのようにして作られた食べものを食べて
人間がしあわせになれるはずがない
と思いました

TSUTAYAでも見かけたので
ぜひ見てみてちょ

運営委員Hでした
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『雑食動物のジレンマ』

2012-09-17 06:33:54 | 読んでみたら・・・
マイケル・ポーランの
雑食動物のジレンマ』という本があります

東洋経済新聞社から出ています

上・下それぞれ1800円+税



人間は雑食動物です

何でも食べます

だから
何を食べたらいいかで悩むことになる

そういう意味の書名です

結論は、できるだけ工業化されていない
自然の食べものを食べるべきだ
ということです

食べものに関心があるひとにとっては
あたりまえのことかもしれません

しかし
ふつうに流通している食べものが
どれほど工業製品であるかを
私たちはもっと知る必要があります

たとえばトウモロコシ

アメリカでトウモロコシは
トウモロコシとして食べられるためには
ほとんど生産されていません

家畜のエサとして
ブドウ糖果糖液糖(コーン・シロップ)や
加工デンプンなどの化学製品の原料として
栽培されています

生産されるトウモロコシの6割は
家畜のエサとなります

牛はもともと食動物ですが
アメリカの牛が草を食べられるのは
生後6カ月までです

そのあとはトウモロコシばかりです

牛も牧場ではなく肥育場におしこめられ
徹底的に工業的な管理をうけながら
育てられます

「アメリカの牛が牧草地を離れて肥育場に行ったのはたくさんの理由があるが、
その理由はすべて同じところに行き着く。
それは人間の文明であり、人間の食体系が工業的な生産ラインに従って
厳密に管理されるようになったということだ。
大切なのは、安定性や機械化、予測性、互換性、規模の経済だ。
トウモロコシは、この巨大な機械の歯車にすべてぴったりかみ合うが、
牧草はそうではない」(269ページ)

工業化されればされるほど
食べものは質がおちてゆきます

そうした質の低い食べものの代表が
ファースト・フードです

アメリカの工業化された有機食品の現状や
ほんとに自然な農業をしている農家のようすも
紹介されます。

以上が上巻。

下巻は
ポーランが
食べるためとはいえ
動物を殺すことは許されるのかを悩みながら
ハンティングにゆき
採ってきた自生キノコなどといっしょに
理想的な食事を自分でつくるまでのお話

キノコ狩りの話はもりあがります

食べもののことを知りたいひとに
超お薦めの本です

運営委員Hでした
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『デブの帝国』。

2012-05-24 06:36:46 | 読んでみたら・・・
きょうれつなタイトルと表紙の本

グレッグ・クライツァー
『デブの帝国』(バジリコ)。


サブタイトルが
「いかにしてアメリカは
肥満大国になったのか」

そのとおりの本でした

アメリカが肥満大国になるのに
欠かせなかったのが
コーンシロップ(ブドウ糖果糖液糖)と
パーム油

このふたつが
ロー・コストでハイカロリーの食品
を可能にしました

問題は
ハイカロリー
だけではありません

コーンシロップは
からだのなかで
どんどん脂肪にかわり蓄積されます

パーム油は
植物油ですが
悪玉コレストロールを増やす飽和脂肪酸を
動物油脂なみに含んでいます

ニホンでも
かなりの加工食品につかわれています

「土といのち」であつかっているものにも
これらがつかわれたものがあります

これらがつかわれたものを除くと
ほんとに
お届けできるものがなくなってしまうのです

ちなみに
パーム油は
アブラヤシの実からつくられます

世界の消費量の85パーセントは
マレーシア、インドネシアで
生産されていて
産地における環境破壊も大きな問題となってります

「土といのち」でも
おととし勉強会をしました(こちら)。

『デブの帝国』ですが
残念なことに
古書でしか買えないようです

運営委員Hでした
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『かぶりつけ』。

2012-05-17 07:29:07 | 読んでみたら・・・
さきに紹介した
E・シュローサーの
『ファストフードが世界を食いつくす』(こちら)は
かなりボリュームのある本です

これを
ティーンエイジ向けにコンパクトにしたものが
同じ著者による
おいしいハンバーガーのこわい話
(草思社、1300円+税)。


もともとのタイトルを
そのままニホン語に訳すと
かぶりつけ

サブタイトルが
「あなたが知りたがらないファストフードのすべて」

そのとおりの本です

目次です

ハンバーガーはこうして生まれた
子どもは大事なお客さま
マックジョブってなんのこと?
フライドポテトの秘密
スカッとしない清涼飲料の話
牛や鶏はどんな目にあっている?
ファストフード中毒
きみたちにできること


ハンバーガーは「ちょっとなー」だけど
フライドポテトは野菜だから
と考えるひともいるかも

が、マクドナルドでは
じゃがいもが遺伝子組み換え
しかも揚げ油に
悪玉コレステロールを増やす
トランス脂肪酸がつかわれています

食品と暮らしの安全」のサイトによると(こちら
マクドナルドのフライドポテトMサイズを食べると
トランス脂肪酸を
ニホン人の平均値の3倍も摂取することになる
ということです

運営委員Hでした
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『ファストフード・ネーション』。

2012-05-13 07:18:39 | 読んでみたら・・・
運営委員Hです

まちがいなく
ファストフード
私たち「土といのち」がめざすものの
反対側にある世界です

なぜか
マクドナルドに
いったことがない私です

が、マクドナルドにゆけば
ファストフードのことがわかる
ということではないようです

アメリカでベスト・セラーにもなった
エリック・シュローサーの
ファストフードが世界を食いつくす』(草思社、1680円)。


もともとのタイトルは
ファストフード・ネーション

ファストフード産業の誕生の歴史から
本ははじまります

そしてファストフード産業の現在

精肉現場での
過酷で危険な労働をになう
低賃金で無権利の移民たち

効率優先で
肥らされ肉にされてゆく牛や鶏の
むごたらしい現実

やはり効率優先のため
ずさんになる
肉の安全管理

などなどなど

ファストフード店からは見えない現実を
多くのひとに知らせた本です
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ダイエット。

2012-05-09 07:30:42 | 読んでみたら・・・
運営委員Hです

食べることの究極は
カラダとココロの声に
耳をかたむけることだ
と思います

カラダとココロが望んでいるものが
いちばんおいしいし
カラダにもいいものだし
ココロもしあわせにしてくれるものだ
と思います

以前に
夏目さんの本を紹介したことがありましたが(こちら
最近この本を読みました

ステップあや+横倉恒雄
心と体が軽くなる本物のダイエット
(実業之ニホン社、1300円+税)。


刺激を求めた暴飲暴食も
カラダをいためつけることですが
むりやりやせようとすることも
カラダをいためつけることなのです

むりやりやせようと
いためつけられたことの反動が
リバウンドです

カラダの声にていねいに
耳をかたむけていれば
おのずとダイエットされてゆきます

そんなことでダイエットできるのか
と私たちは考えてしまいます


そのようにして私たちは
カラダをおいつめ
いためつけるのです

ほんとうのダイエットは
カラダとココロが
しあわせにひたることなのだと
思いました
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