高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

新連載:第1回「学生と考える記憶の記録と継承」 

2021-07-13 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

「学生と考える記憶の記録と継承」
ビキニ事件を中心に その1

高知に着任が決まった時、
学びたいと思うことが3つあった。
ダム撤去をめぐる住民運動、
高知パルプ生コン事件、
そしてビキニ事件だ。
2020年10月より、
ビキニ事件について
学生たちとともに学んでいる。

ビキニ事件は、
1954年に南太平洋マーシャル諸島
ビキニ環礁周辺で行われた
アメリカによる水爆実験で
多くの漁船が被ばくしたことに端を発する。
3月から5月までの6回の実験で
延べ1000隻以上が被ばくした。

久保山愛吉さんが乗っていた
第五福竜丸が広く知られているが、
高知県所属の漁船も数多被災した。
高知のビキニ事件を掘り起こしてきた
有志の調査団によれば、
1954年3月から12月までの間に
延べ270隻が被災している。
55年1月に交わされた公文書で
日米間の政治決着は済んだことにされ、
被害の実態解明や被災者の救済は長年放置された。

学生たちと学ぶようになったのは偶然だった。
新型コロナ禍でオンライン講義を余儀なくされた。
私の学部では「実習」という
進級に関わる必修科目で
フィールドワークを3年間で
600時間行うカリキュラムとなっている。
だが新型コロナ禍にあっては無理な話だった。
2020年4月から大学の講義は
全てオンラインに移行していた。
迷った末、
フィールドワークが再開された際に備えて
学生たちの関心を踏まえた
市町村史や新書などの文献講読を重ねることにした。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2021年7月号より転載しました。

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