先日、富士宮の在来野菜、
白糸唐辛子に出逢いました。
富士宮市狩宿で古くから作られている唐辛子。
普通の鷹の爪よりも、長いのが特徴です。
絶滅の危機にありましたが、新規就農されたご夫婦によって
種が存続されました。
ただ、不思議なのは・・・
唐辛子の原産地は、中米から南米にかけての熱帯地方。
富士宮のような冷涼な地域で
どうして育つことができたのでしょうか?
また、井川や水窪のようなもっと標高の高いところでも
在来の唐辛子は栽培されていますし、
長野や韓国のようなもっと寒い地域も
唐辛子の産地になっています。
これは、調べてみなくては!!
●原産地にも気温差が
原産地である中米から南米の熱帯地方も、
標高によってかなりの気温差があります。
そんな中、比較的気温が低い地域の唐辛子は、
茎の部分が木化することによって、生き延びてきました。
このように、原産地では多様性に富んだ唐辛子が
ばらついた状態で存在してきました。
●猛スピードで世界中に広まる
唐辛子は、他の作物に比べると、
世界各地に広まるスピードが速かったのですが、
その理由は・・・
①昔の人は、唐辛子のような刺激物やたばこのような嗜好品を好んだ。
②遺伝的に多様性に富んでおり、各地に定着しやすかった。
③辛さを感じる味覚のない鳥類が、種を遠くまで運んだ。
●唐辛子の戦略
以上の事を考え合わせると
原産地の厳しい気候の中で、多様性に富んだ品種が誕生
↓
ものすごいスピードで世界中に伝搬
↓
その土地に根付くための工夫をして生き延びてきた
ということになります。
また、冷涼と言われる土地でも、
真夏には唐辛子の生育適温(25℃~30℃)には届きます。
これらの事情が重なって、
唐辛子はどんな土地でも育っていったのでしょう。
鳥に運ばれたのか、人の手で運ばれたのか
「旅」の手段はわかりませんが、
郷に入っては郷にふさわしい道を常に選んできた
唐辛子の戦略・・・
なかなかしたたかだと思いませんか? (*^_^*)
唐辛子の伝播、生態、栽培について調べる際、
貴重なご意見をいただいた研究者の皆さま、
天竜農林局さま、水窪出身の皆さま、
ありがとうございました。