”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

誇り高い清水森ナンバ

2023-09-18 15:59:18 | 在来種 伝統野菜

送っていただいた東北の恵み詰め合わせの中に、

大変興味深い在来野菜が入っていました。

  

それは、青森県弘前在来の清水森ナンバです。

  

  

 

これで開花25日後に収穫されています。

だいたい12~13cmくらいの長さです。

  

  

在来野菜と言うと、その歴史、現在に至るまでのいきさつが知りたくなります。

  

 

●まず、「ナンバ」って何?

 北海道、東北、北陸では唐辛子のことを「なんばん」と呼びます。

 一方で九州では唐辛子のことを「こしょう」と呼びます。

 清水森ナンバの「ナンバ」は唐辛子を表す「南蛮(なんばん)」から来ています。

  

 

●いつから作られていたの? 京都との関係

 津軽地方で400年も前から栽培されていました。

 津軽の藩祖であった津軽為信が、京都の伏見稲荷から持ち帰り広めたと言われています。

 為信はお礼に、京都から旅行に来ていた農民にひょうたん型のかぼちゃの種を贈り、

 それが京都の伝統野菜、鹿ケ谷(ししがたに)かぼちゃになったという説もあります。

 しかし、調べても青森の在来野菜の中に、ひょうたん型のかぼちゃは残っておらず、

 途絶えてしまったのか、あるいはその説が不確かなのかはわかりません。

  

 

●清水森というのは? ナンバの生産量の推移

 「清水森」は、弘前市の清水森地区のことです。

 昭和30年ごろまではナンバの栽培が盛んで、最盛期には10haほどの作付面積があり、

 全国の一大産地として名を馳せていました。

 しかし、昭和40年代以降、安価な輸入唐辛子が全国に流通するようになると生産量が激減し、

 平成10年ごろには20~30aまで減少しました。

  

  

●絶滅の危機の中、どのように栽培されているのか?

 清水森ナンバは生産・加工含め129会員しか作ることができません。

 絶滅の危機にさらされていることから、弘前大学農学生命科学部で種が作られており、

 苗業者に卸し、会員に配られます。

 また清水森ナンバは、弘前市、西目屋村、大鰐町、田舎館村、平川市の

 5市町村でしか栽培できません。

 絶滅の危機を脱しようと、ひたすらに栽培量や生産量を増やすのではなく、

 正しい栽培の仕方を学んだ会員のみが生産することで、

 清水森ナンバのブランド価値を高めています。

  

 

●味と栄養価

 唐辛子ですから、青から赤へと変化していきます。

 赤くなるにつれて辛みは増していきますが、鷹の爪に比べると辛みはかなり低く、

 まろやかな辛みと香りの良さが特徴です。

 また、弘前大学農学生命科学部の蔬菜花卉研究室調べによると、

 国内の他品種よりも糖分の含量及び、ビタミンC、Eの含量が高く、

 栄養価の高い唐辛子という研究結果が出ています。

  

 

むやみに生産量を増やすのではなく、品質を保つことを大切にし、

ブランド価値を高めることに重きを置いた、

誇り高い清水森ナンバに出会えたこと、本当にうれしく思います。

 

  

これから、この清水森ナンバを使って、清水森ナンバ味噌を作ろうと思います。

 

※申し訳ございませんが、コメント欄、閉じております。

 

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長ささぎ

2023-09-18 00:03:10 | 野菜

送っていただいた東北の恵み詰め合わせの中に、

山形市今塚産の長~い豆が入っていました。

  

 

  

30cmは軽く超えています。

  

 

こういった野菜のことを「ささげ」と呼んでいるので、 

「最近『ささげ』がめっちゃおいしく感じられるので、うれしいです。」

と、何の疑問も持たずに、お礼のメッセージを送ったのですが・・・。

  

よくよくラベルを見てみると、

「いんげん 長ささぎ」となっているではありませんか!?

  

  

『ささぎ』!

 

初めて聞きましたが、調べてみると、

山形では、いんげん豆全般を『ささぎ』と呼んでいることがわかりました。

 

つまり、莢の長さに関わらず、若莢のいんげん豆も、

乾燥の金時豆やうずら豆も『ささぎ』と呼ばれています。

 

  

そんな『長ささぎ』と家庭菜園の野菜を使って、

3品ほどお料理を作ってみました。

 

  

長ささぎと紅はるかのマスタードサラダ

  

  

  

長ささぎ入りチャプチェ

  

  

  

長ささぎとなす(千両)の味噌炒め

  

  

細い莢に調味料がしっかりしみ込んで、とてもおいしくいただきました。

  

  

さらに不思議なことが!!

この「長ささぎ」を茹でたお湯を捨てずにそのままにしておいたら、

最初は無色だったお湯の色が、

時間が経つにつれて赤くなっていきました。

中に「長ささぎ」は残っていないのに、色が変化していきます。

  

 

これは、たぶん「長ささぎ」の莢に含まれるアントシアニンが溶け出したのでしょう。

アントシアニンは、熱や酸、アルカリ、温度変化により、色が変わっていきます。

茹でた時の高温では色が出ませんでしたが、

温度がだんだん下がっていく中で、赤い色に変化していったのか?

それとも、このお鍋がホーローだから鉄に反応したのか?

でも鉄に反応したなら、茶色っぽくなるはず…。

 

こんな疑問を残してくれた「長ささぎ」。

ミステリアスなところも魅力です。

山形の恵みに感謝です。(^-^)

 

  

※申し訳ございませんが、コメント欄、閉じております。

 

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