うさぎくん

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転職激怒問題

2014年10月01日 | ビジネス

夕方オフィスのPCで読んで、会社の子と話題にしていた。夜にまたPCをみたら、各方面でだいぶ反響を呼んでいたようだ。

日経ウェブの経営者ブログ(サイバーエージェント・藤田晋氏)の記事のことだ。タイトルは「私が退職希望者に「激怒」した理由」という。

会員以外の方は購読できるかわからないけど、記事はこちら、藤田氏の個人ブログはこちら

内容は、若い社員が同業他社から引き抜かれ、退職願を出してきた。藤田社長は激怒し、あえてそれが社内に伝わるようにした。理由は事業立ち上げプロジェクトの責任者でありながら、投げ出したこと、しかもその社員は過去に失敗して会社に損失を与え、今回は2度目の挑戦の最中であったこと、更に退職の理由が他社からの引き抜きであったことだ。
以前、自社で引き抜きを行った際、業界2位以下の会社は比較的寛容だったが、首位の会社は大変激怒していた。この厳しい態度こそ、業界首位を保つ理由なのだと思った。私があえて毅然とした態度をとったのは、そういう理由からだ、というもの。

日経には読者コメント欄があり、ざっとみたとき、年配者は藤田氏に理解を示す人が多く、若い人は反対の立場をとっているように見えた。ので、会社の子に感想を求めると、事情がわからないから何ともいえないが、どっちもどっちでは、というものだった。

その後、もう一度ブログと感想を詳しく読み、僕も匿名でコメントした。内容は、藤田氏の気持ちもわかるが、やはり疑問。第一に退職は従業員の最終かつ最大の決断であり、理由の如何を問わず尊重すべき。第2にプロジェクト途中の担当者退職は最終的には社長の責任であり、やめた社員に怒るのは責任転嫁だ、というものだ。藤田氏のブログは普段、それほどコメントがつかないが、今回はかなり賑わっているようだ。

コメントでは気を遣って?気持ちはわかるが、と書いたが、直感的には藤田氏の主張は全く理解できなかった。その気になればいくらでも突っ込むことはできるが(facebookをみたら、誰かがこちらの記事をシェアしていた)なによりまず藤田氏は社員を掌握できず、おそらくは人選を誤り、一時的にその新規事業を停滞させているのである。会社は株主のものだ。経営者として、その責任をなんと心得ているのだろうか?ブログの読者にはサイバーの株主や、利害関係者も多いはずだ。

今日の社会においては、従業員は丁稚でも徒弟でもない。経営者と従業員は立場の上では従属、指揮命令の関係にあるが、関係を解消することは(一定の条件の下)自由だ。辞めればお互い対等である。

あれだけ目を掛けてやったのに、恩を仇で返しやがって、とひとりで腹を立てているのは、むしろ理解できるが、「こないだ辞めた奴は無責任で恩知らずのふてぇ野郎だ、おまえらも気をつけろよ」と、社長が社員にいうなど、筋違いも甚だしい。

少し前にも、エステ関係の有名な社長が、労基法通りにやればうちはつぶれる、と発言して話題になったが、今回の件にも、日本人に染みついてとれないタテ社 会の意識を強く感じる。先日紹介したの山本七平氏の本にもあったが、捕虜になった英米人が、すぐに自分たちで役割分担を決めて、自治組織を作ったのに対し、日本軍捕虜はそれができず、暴力団のような組織ができて自然と暴力で統治されるようになった、という。各担当者はそれぞれのエキスパートであり、そこに上下はない、という欧米に対し、おまえは俺の子分、俺の言われたとおりにやれ、ということが常に意識されるのが日本人の、本質、なのだろうか・・・。ひとりひとりが、自分たちで作ったチームの一員なのだから、自然責任感が生まれるし、自分で考えるようになる。命令されて無理矢理やらされるのはその逆だ・・。

藤田氏は若手経営者のホープであり、サイバー社も新興の企業として注目されているだけに、ショックは大きい。

 

コメント
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