2021年アメリカ映画
近所のシネコンでも吉永小百合さんの新しい邦画がかかり、「ノマドランド」も終了してしまいそうに思って慌てて見に行った。
SNSでも友人が見たという報告をしていたし、フォローしているブロガーさんも感想を寄せていたが、それらを見返すことをせず、基本予備知識ゼロの状態で臨んだ。
観ていてもなかなか流れが掴めないというか、いきなり知らない環境に投げ込まれたような感じがする。ただ、主人公のファーンはかなりスマートな(タフで機転が効き、人付き合いも如才ない)人で、人々が物語を見聞きするとき良くする、主人公に自分を投影させる方法で観ていても違和感がない。
もっとも、主人公の本当の心のうちは、物語の終わりごろになるまで見えてこない。
自然描写がとても美しい。
変な話、自然とともに生きるならアメリカより日本だろう、と、映画を見ながら最初は思うのだが、いや、そうではない。森の木々ですらそうだが、アメリカの自然は人を圧倒する。
そういう、圧倒的な存在のもとで、日々それを感じながら生きている、という面が、アメリカのノマドたちにはある。彼らにも人と人との交流はあるのだが、それが余り前面には出てこずに、非常に淡々と話が進んでいるように見える。これは、人の営みも大自然の中の限られた動きに過ぎない、という意味合いがあるのかもしれない。
車上生活者たちは、(意外と)生活の厳しさ、苦しさのようなものを訴えたりはしない。さいしょはもっと政治的なものなのかな、と最初思っていたので、少し驚いた。
観ながら、これは「イージー・ライダー」の50年後の世界かな、とちらっと思ったが、たぶんそうじゃない。あちらよりはこの「ノマドランド」のほうがよほどわかるし、共感できる。
まあそれは、自分の年齢のこともあるのかもしれない。
自然の美しさと言えば、フェーンが知り合った年配の女性、スワンキーの語った言葉が印象に残った。。細かいいいまわしは忘れたけど、各地をめぐっているうちに出会った生き物たちの風景を列挙していた。ヘラジカの家族、たくさんのツバメたちが一斉に飛びたっていく様子(自分も一緒に空を飛んでいるような気持になったという)etc.etc. そういう、美しい風景を見ていると、もう私の人生はこれで十分、という気持ちになったという。
というわけで、映画から帰ってざっとこれだけ書いて、とりあえずアップします。