『かさね』
出演:片岡孝夫(現・仁左衛門) 坂東玉三郎
1982年
58分
カラー
鶴屋南北作。男女の愛憎と怨みが描かれる壮絶で退廃美にあふれた清元の舞踊劇。 腰元のかさねは与右衛門という男と恋仲になり子を身ごもっているが、与右衛門はかさねを残して出奔。かさねは一緒に死なせてほしいと後を追い、二人が木下川の堤にさしかかると、上流から鎌の刺さったドクロが流れてくる。この鎌を抜くと、かさねが突如もだえ苦しみだし、美しい形相が醜く一変。実は、与右衛門はかさねの母と密通し義父を鎌で殺していたため、その怨念がかさねに乗り移ったのだ。悪の本性をあらわした与右衛門はかさねも手に掛けるのだが、なおも怨念が与右衛門に襲いかかり…。 孝夫(現・仁左衛門)の与右衛門に玉三郎のかさね、一世を風靡した“孝・玉”コンビの懐かしい舞台をお届けする。 (1982年/昭和57年3月・歌舞伎座)
『藤十郎の恋』
出演:中村扇雀 中村歌六 大谷友右衛門 片岡芦燕 中村時蔵
2006年(全2話)
49分
カラー
元禄時代の名優初代坂田藤十郎の逸話をもとにした菊池寛の小説を脚色した作品。芝居で密夫の役を演じることとなった坂田藤十郎は、初日が迫るものの役作りができずに頭を悩ませている。そこで、幼馴染で人妻のお梶に偽りの恋をしかけることを思いつくのだが…。初代中村鴈治郎の当たり役であった藤十郎役に曾孫の扇雀、お梶に時蔵ほかの出演で。 (2006年/平成18年1月・歌舞伎座)
『神楽諷雲井曲毬~どんつく』
出演:市川團十郎 坂東三津五郎 中村梅玉 中村魁春 中村福助 坂東巳之助 坂東小吉 中村錦之助 坂東秀調 市川左團次 片岡仁左衛門
2010年
45分
カラー
多くの参詣人で賑わう亀戸天神の境内。その中でひときわ人目をひくのが、太神楽の親方鶴太夫と太鼓打、荷物持ちのどんつく。江戸っ子らしい親方のきびきびとした動きと、田舎者のどんつくのしぐさが人々の笑いを取り、曲芸を見せる太神楽で盛り上がる。 『どんつく』は七世三津五郎をはじめ、八世、九世三津五郎が得意とした華やかな常磐津の舞踊作品。それを当代三津五郎、團十郎、仁左衛門といった豪華な顔ぶれが賑やかに踊る。七世・八世・九世三津五郎の追善狂言として故人の面影を偲ぶ一幕でもある。 (2010年/平成22年10月・新橋演舞場)
『寿曽我対面』
出演:市川團十郎 尾上菊之助 市川海老蔵 坂東彌十郎 市川男女蔵 片岡市蔵 河原崎権十郎 市村萬次郎 澤村田之助
2006年(全3話)
53分
カラー
源頼朝の信任が厚い工藤祐経の館。祝宴に興じているところ、曽我十郎と五郎の兄弟が対面を願い出る。実はふたりの父河津三郎は十八年前に工藤の不意打ちにより落命。その仇を討とうと逸る五郎が工藤に詰め寄り、十郎はこれを押し止める。そこで工藤は兄弟へ盃を与え、後日の再会を約束するのだった。 美しく優雅な物腰の十郎と、血気盛んな五郎はそれぞれ典型的な和事と荒事の役柄。ほかにも座頭の立役の工藤、道化の朝比奈、立女方の大磯の虎、実事の鬼王など、歌舞伎の主要な役柄が勢揃いする様式美に満ちた華麗な一幕。團十郎の工藤祐経に、菊之助の曽我十郎、海老蔵の曽我五郎、田之助の大磯の虎ほかの出演で。 (2006年/平成18年10月・歌舞伎座)
『弁天娘女男白浪』
出演:尾上菊五郎 中村吉右衛門 市川左團次 尾上菊之助 市川團蔵 中村東蔵 中村梅玉 松本幸四郎
2010年(全3話)
70分
カラー
出弁天小僧に菊五郎、南郷力丸に吉右衛門、日本駄右衛門に幸四郎、赤星十三郎に梅玉、忠信利平に左團次という歌舞伎座さよなら公演ならではの豪華配役。みどころは、楚々とした美しい娘が一瞬にして太々しい不良少年の正体を見顕すまでの運び。キセルを使いながらの「知らざァ言って聞かせやしょう」の名ゼリフが耳に心地良く響く。続く「勢揃い」の場では、揃いの小袖を着て居並んだ五人男のツラネが聴きどころ。初演の五代目菊五郎以降、代々受け継がれてきた音羽屋のお家芸「弁天小僧」を当代菊五郎がつとめた舞台から。 (2010年/平成22年3月・歌舞伎座)
『あんまと泥棒』
出演:中村歌昇 中村橋之助
1999年
47分
カラー
「あんまと泥棒」は放送劇として書かれた作品で昭和26年にNHKで放送されました。当時はあんまに八百蔵(八世中車)、泥棒に先代の段四郎という顔合わせ。二度目は昭和41年で、あんまを十七世勘三郎、泥棒を中村賀津雄(現・嘉葎雄)が演じました。十七世勘三郎は同年9月の明治座で富十郎を相手に舞台で上演。さらに昭和45年3月歌舞伎座では長谷川一夫が泥棒を演じています。盲目のあんまと泥棒という組み合わせが面白く登場人物は二人のみ、対話の妙だけで見せる難しさもあります。今回は平成11年8月歌舞伎座の舞台より、歌昇のあんま、橋之助の泥棒でお楽しみください。 (1999年/平成11年8月・歌舞伎座)
『をんな忠臣蔵』
出演:坂東八十助(現・三津五郎) 中村福助 中村翫雀 片岡孝太郎 中村勘太郎 市川高麗蔵 市村家橘 市川團蔵 中村歌昇 中村勘九郎(現・勘三郎)
1997年
89分
カラー
「をんな忠臣蔵」はタイトルのとおり、男の世界の「忠臣蔵」を女の(しかも芸者の)世界に置きかえた舞踊劇。「仮名手本忠臣蔵」を題材とした作品はいくつもあるが、この作品は由良之助も判官も登場人物がすべて女性で、討入りにあたる最後の場面は芸者の総踊り。揃いの衣裳を着た芸者衆の豪華なフィナーレは必見。赤穂家お石に八十助(現・三津五郎)、艶家おはんに福助、桃の井おわかに翫雀、石堂屋香以に歌昇、武蔵家直次・松平確堂に勘九郎(現・勘三郎)ほかの出演で。 (1997年/平成9年8月・歌舞伎座)
何度も何度も舞台やテレビで見ているのに、飽きない演目、飽きない歌舞伎。
『藤十郎の恋』と『弁天娘女男白浪』(2010年3月歌舞伎座)は生舞台でみたよ。
サヨナラ公演の『弁天娘女男白浪』は幸四郎丈の日本駄右衛門だったので、二日続けで二回みたよ。
1982年の『かさね』は考玉だったものだから、背中を正して楽しんだ☆
今回は演目名記録のみにて失礼申し上げます。