2011年読書記録
90; 『世界の詩28 大手拓次詩集』
大手拓次 (著)
彌生書房
昭和40年
166P
以前「藍色の蟇」藍色の蟇・陶器の鴉 大手拓次 『世界の詩28 大手拓次詩集』より写すを記録した際、下の二つの詩を書き写した。
「藍色の蟇」
藍色の蟇 大手拓次
森の宝庫の寝間に
藍色の蟇は黄色い息をはいて
陰湿の暗い暖炉のなかにひとつの絵模様をかく。
太陽の隠し子のやうにひよわの少年は
美しい葡萄のやうな眼をもつて、
行くよ、行くよ、いさましげに、
空想の猟人はやはらかいカンガルウの編靴に。
『世界の詩28 大手拓次詩集』10ページ
陶器の鴉 大手拓次
陶器製のあをい鴉、
なめらかな母音をつつんでおそひくるあをがらす、
うまれたままの暖かさでお前はよろよろする。
嘴の大きい、眼のおほきい、わるだくみのありさうな青鴉、
この日のしづかさを食べろ。
鴉(からす)
嘴(くちばし)
『世界の詩28 大手拓次詩集』10-11ページ
読了後の八月十六日時点でのいくつかのお気に入りの詩があったので、題だけでも記録しておこう。
また後日、書き写せればいいなと思っている。
好きな詩は、後日変わることもある。
めくらの蛙
香料の墓場
洋装した十六の娘
月に照らされる年齢
しろきもの
ほのあほき貝
相見ざる日
さだかならぬ姿