2011年読書記録
84; KAWADE・道の手帖 『サンカ 幻の漂泊民を探して』
河出書房新社
KAWADE・道の手帖
2005年
199P 1500円+税
昭和40年ごろまで普通に山野で生活されていた回遊型の人々の研究をまとめ本。
目次
サンカが意味するもの(だれがサンカを生んだのか―犯罪とサンカ(朝倉喬司)
コトリとサンカ(塩見鮮一郎) ほか)
特別対談 谷川健一・礫川全次 今なぜ「サンカ」なのか―サンカ学をさかのぼる
サンカとの遭遇(雑木林への道(藤森栄一)
山女(加藤博二) ほか)
総論・図版構成 サンカ学の現況―最近のフィールド調査による回遊職能民としてのサンカ(飯尾恭之)
新資料 サンカの話のおわり(江口治)
サンカの誕生と終焉を探る(ポンの行方(柳田国男)
「イタカ」及び「サンカ」(柳田国男) ほか)
インタヴュー 松田修 狂言にみるサンカの原像「察化」
対談 谷川健一・荒井貢次郎 サンカ篇 解説対談
小説『山窩調』より(山のトンビ(椋鳩十))
資料
復元制作したサンカ文字
先日から読み始めた『サンカ 幻の漂泊民を探して』 を本日読了。
サンカについては今までにも幾らか読んでいたが、今回は多くの学者が自分の意見を延べられ、全体的なアウトラインをつかめると同時に、今までサンカに対してのわたくし自身の誤解も解くことができた。
結構信用していた学者O氏の著書も他学者からいわせればどうしようもない部分もあるとのこと。実際に読みゆくと納得がいく。
サンカの漢字表記について、諸学者が持論を唱えられているが、納得がいくものや、中には首を傾げるものもある。
知人が日頃口を酸っぱくしていう「根拠の無い間違った名詞のこじつけ」には、充分に気をつける必要があると感じた。
サンカについてまわりから中心にせめていくようにわかりやすかった本書。
もう少し読みたいと思える研究者を見つけるにはもってこいだ。
柳田國男全集4の一部は以前に読んだことがあるが、この巻はもう少し読みたい。
実際にサンカと呼ばれる人たちと接触した学者の話には深みを感じた。
だが、サンカのご子息がサンカについて書かれた論やサンカ自体に対する下げ済みの感じられる方もあり。
赤松啓介氏の「個人を特定して、そこまで痛めつける必要性があるとは思えない」という言葉を思い出した。
荒井貢次郎先生はおそらく初めてかもしれない。
締めくくりのことば
【江戸時代中期のエタから中世に遡って民衆像をとらえるのは誤りだ。山に住む人が、全て山窩ならば、木地師、マタギも山窩になるのか。否!】
は潔くキレが良い。
今回『サンカ 幻の漂泊民を探して』で読んだ内容そのものについては、ここでは省かせていただきます。
サンカ (民俗学) / ウィキペディア
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