乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

七月大歌舞伎 『一谷嫩軍記  熊谷陣屋』『黒手組曲輪達引 浄瑠璃「忍岡恋曲者」』『羽衣』『団子売り』

2008-07-19 | 歌舞伎

 

 七月大歌舞伎  関西歌舞伎を愛する会

 

 

一、一谷嫩軍記  熊谷陣屋(くまがいじんや) 

           

 熊谷直実  仁左衛門   

 白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清  我 當             

 藤の方  孝太郎             

 堤軍次  愛之助              

 相模  秀太郎             

 源義経  藤十郎

 

二、黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)  

   浄瑠璃「忍岡恋曲者」     

 

花川戸助六/番頭権九郎  菊五郎           

三浦屋揚巻  魁 春            

牛若伝次  松 緑            

新造白玉  菊之助            

朝顔仙平  亀三郎         

三浦屋女房お仲  家 橘           

俳諧師東栄  團 蔵          

鳥居新左衛門  左團次        

紀伊国屋文左衛門  田之助

 

 三、上 羽衣(はごろも)              

天女  菊之助              

伯竜  松 緑   

 

 三、下 団子売(だんごうり)              

お臼  孝太郎              

杵造  愛之助 

 

 

 七月某日。

 今年も七月大歌舞伎を楽しむ。

 まずは家族の希望で、夜の部から観た。

 

『一谷嫩軍記  熊谷陣屋(くまがいじんや)』は良かった。

 演目も役者も両方そろって楽しめる。

 悲しくて、若干ローテンション気味で観ていた・・・が、となりの人はイビキをかいて眠っておられるから たまったものじゃない。

 眠っておられるか 番付をがちゃがちゃとページを繰って つまらなさそうにしておられたので、こちらが申し訳ない感じさえしてしまった。

 いい芝居なんだけど・・・少し難しかったのかな?

 愛之助丈が出てこられたときだけは、すごい勢いで拍手をされていたのが かえって可愛らしい印象を受けた。

 

 今回(私が観た日に関しては)、この芝居の中で 感心した点が一つある。

 最後の熊谷直実に扮する 仁左衛門丈と 源義経演じる 藤十郎丈の、「親子の別れ」「夫婦の別れ」・・・を受けての最後の二人の台詞の響きが美しかった。

 役者二人の声が共鳴し合い、それはまるで 声明を聴いているような錯覚に陥る。心が妙に落ち着いた。プロのなせるワザといった感じがした。

 長年 歌舞伎を観ているが、こういった感じを受けたのは初めてだっただけに、今回も七月歌舞伎夜の部に行った甲斐があったと感じる。

 こういった異次元空間を楽しむことのできる舞台は素晴らしいのではないだろうか・・・。

 

 

 二つ目の『黒手組曲輪達引 浄瑠璃「忍岡恋曲者」』は歌舞伎らしく華やかで、楽しかった。

 菊五郎丈の助六も 鳥居新左衛門役の左團次丈も、格好良くて、素敵だ。

 こちらの演目については イビキの主も楽しんで下さったようで、ほっとした。(どうして私が気をつわなきゃ いけないんだろう・・・?。)

 

『黒手組曲輪達引 浄瑠璃「忍岡恋曲者」』は一幕目の道行きの場で、私的にはショックを覚えた。

 あらかじめ新聞で タイガースやくいだおれ太郎、ケンタッキー人形などがでているのは知ってはいたが、くいだおれ太郎引退の日(七月八日)までと思いこんでいた。

 しかしながら、タイガース的家鴨姿の菊五郎丈の後に続くケンタッキー人形やタイガース選手姿の役者たちの花道入りは、残念なことに、九日以降も行われていた。

 おそらく、今月中か・・・。

 私個人の問題ではあるが、このタイガースなどのせいか、私は最後まで芝居に集中できず幕を閉じた。

 そういった理由で、今回 歌舞伎鑑賞の記録を書く気にもならなかったのである。

 

 元々 歌舞伎はそういった要素を持つものだとは、重々承知の上である。しかし、舞台そのものに品を失ってはならないと思う。

 今回 何だかがちゃがちゃと雑多な感じがして、何を求め 時間を費やして芝居を観ているのかと思うと、惨めな感じを受けた。

 一層 こんなことなら、田之助丈演じる くいだおれ太郎も見てみたかったものだと、妙な悔しさも起こってもくるから、不思議だ。

 ただし、人それぞれのとらえ方があり、こういった思いは あくまでも私個人の主観的嗜好の問題であることを ここに付け加えておく。

 また、菊五郎丈や田之助丈の本来の演じ方は かなり好きであることも、あわせて付け加えておきたい。

『児雷也』のジョークとは、根本的且つ本質的に異なる笑いと感じる歯切れの悪さは、一週間たった今でも、ぬぐいきれないでいる。

 

 演目の二つ目のタイガースが後を引き、最後の二つの舞踊まで、何とも言えず惨めな気持ちで表面を滑らせて見てしまった。

 

『羽衣』の天女  菊之助は見事に美しかった。

 美保の松原から天に舞う姿を、目うぃこらして楽しんだ。

『団子売』はコミカルさをおさえて、そつ無く舞われた感じがする。あまりいやらしさ(?)もなかったのは、少し口惜しい。

 

 私は今回の七月歌舞伎では 昼の部の『伽羅先代萩』に重きを置いている。

 好きな演目のひとつでもあり、配役もみたい役者の組み合わせなのである。

 ここはひとまず気を取り直して、昼の部を楽しむ予定である。

 

 

 

筋書き・松竹『歌舞伎美人』より

一、一谷嫩軍記  熊谷陣屋(くまがいじんや) 

 熊谷次郎直実の陣屋に、初陣の我が子小次郎を案じた直実の妻・相模が、続いて平敦盛の母・藤の方が現れます。戻ってきた熊谷は敦盛を討った様子を語って聞かせますが、首実検の場に供されたのは熊谷の息子小次郎の首。実は陣屋の桜の木の制札には「一枝を折れば一指を切るべし」と記されており、そこに託された義経の意を汲んだ熊谷は我が子を犠牲にして後白河院の落胤である敦盛を助けたのでした。救われた敦盛が無事落ち延びたことを見届けた熊谷はあらかじめ用意の僧形となり小次郎の菩提を弔うため旅に出るのでした。 平家物語に名高い敦盛の最期を題材に意外な真相が描かれます。武将にふさわしい大きさ、剛毅さと共に戦乱の世の無常を感じさせる熊谷に仁左衛門、義経に藤十郎、弥陀六に我當、相模に秀太郎という顔合わせでご覧頂きます。

 

二、黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)  

 浄瑠璃「忍岡恋曲者」  「黒手組曲輪達引」は河竹黙阿弥が世話の助六として四世小團次の為に書き下ろした作品と伝えられています。従って至る所に助六のパロディが散りばめられた世話狂言となっています。 三浦屋の新造白玉は、間夫の牛若伝次と図って自分に入れあげている番頭の権九郎をだまして廓を抜け出し、あげくに権九郎は池に突き落とされてしまいます。一方新吉原仲之町では鳥居新左衛門の門弟たちが白酒売りの親父新兵衛をなぶり、商売ものを駄目にしてしまいます。それを救ったのは花川戸の助六。新兵衛はこの助六の馴染の花魁揚巻の父と知れます。実は助六は父の敵を探して吉原で武士と見ると喧嘩を吹っかけ刀を抜かせていたのでした。新兵衛から敵の手がかりも得た助六に影から助六を援助する紀伊国屋文左衛門は短気を起こさぬよう戒めるのでした。 権九郎と助六の二役に菊五郎、文左衛門に田之助、鳥居新左衛門に左團次、揚巻に魁春の配役で趣向に富んだ三幕をお楽しみ下さい。

 

 三、上 羽衣(はごろも) 

 浜辺にやってきた漁師伯竜は、松の枝に美しい羽衣が掛かっているのを見つけ持ち帰ろうとします。そこへ天女が現れ、その羽衣を返して欲しいと頼むのでした。 「羽衣伝説」をもとにした舞踊で、天女を菊之助、漁師伯竜を松緑が幻想的に踊ります。   

   下 団子売(だんごうり) 

 屋台を担いでやってきた団子売のお臼と杵造という夫婦が、評判の団子を作っていく様子を面白く賑やかに踊る人気舞踊です。 女房お臼の孝太郎と、杵造の愛之助が息の合った踊りをみせます。

 

 

 最後に・・・これらはあくまでも私個人の感想です。

 間違いやお気づきの点がございましたら、お教え下さいますよう、よろしくお願い申しあげます。

 また、不愉快な点などがございましたら、お詫び申しあげます。

 


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
乱鳥さんへ (みき)
2008-07-19 09:32:34
おはようございます。
夏ばては 如何ですか?
お大事にしてくださいね。
ところで 隣の方の 描写が
可笑しくて 笑ってしまいました。
私的には。。。羽衣を 見てみたいです。
羽衣は 歌舞伎の演目にも あるのですか。。
知りませんでした。菊之助の女形は
本当に 美しいですものね。
私 1度しか 見た事が ないのですが。。。
返信する
楽しみです (とみた)
2008-07-19 15:00:59
はじめまして。
私は来週見る予定です。
仁左衛門さんと藤十郎さんの台詞の共鳴がとっても楽しみになりました。ありがとうございました。
返信する
こんばんは (みき様)
2008-07-20 01:02:22
ご心配せていただいて、ありがとうございます。
まだ本格的には戻ってはいません。
みきさんも、お体に気を付けて下さいね。

『羽衣』、歌舞伎にもありました。
曲は能楽よりも華やかで、動きも大きい。
衣装も華やかで、羽衣をまとってからも艶やか。

舞台は能楽のような松一本ではなく、美保の松原を表わすために手前左に一本、中央に複数本、その後ろに真美を作り、天に登る舞台を最後に構成。
全体を通して立体的な舞台作りで、当時の客は目を奪われたのではないでしょうか・・・。

華やかな舞台ですが、松葉目物本来の品の良さを崩すことが亡く、いい踊りでした。
また菊之助丈の優しい美しさは、好感を持てました。

みきさんは菊之助丈の何を見られたのでしょうか・・・。私は彼の弁天(白波五人男)を一度見てみたいです。
返信する
はじめまして (とみた様)
2008-07-20 01:08:02
コメント、ありがとうございます。

とみた様は来週、見に行かれるのですか。
心ゆくまで、楽しんできて下さいね。
できましたら、感想お待ちいたしております。

返信する
乱鳥さんへ (みき)
2008-07-23 08:59:54
おはようございます。
暑い日が 続いていますが
乱鳥さんの 住んでらっしゃる
奈良も 暑いのでしょうか?
体調は 如何ですか?
無理を なさいませんように
してください。
確か。。。演目は 仮名手本
忠臣蔵の お軽だったような気が
します。私は 歌舞伎よくわかりませんので
字など違ってたら ごめんなさい。
ところで 私 九州に 里帰りするときに
飛行場で 手荷物検査するところで
偶然 菊之介さんを 見ました。
私 とっさに 何思ったのか?
笑顔で 頭を 下げてしまいました。
親戚の おばさんのような気が して。。。
とても 素敵な 笑顔を 返してくれました。
素敵な 青年ですね。私の 嬉しい 思い出です。
返信する
おはようございます。 (みきさんへ)
2008-07-24 08:08:51
コメント、ありがとうございます。
奈良はとても暑いです。
盆地の京都市内で生まれ育ったので、暑さ寒さには慣れっこだと思っていたのですが・・・奈良は夏は暑く、冬は寒い。
それがまた半端じゃないんです。
夏は太陽の照り返しがすごい。冬は信貴山おろし?の冷たい風。(笑)

お軽、京都・祇園に売られる役ですか?
その前幕の、二発猪の後の「50両~~。」は、迫力がありますね。

菊之助さん、いい感じの青年でしょう。
まじめそうで、身近な感じがします。
女形もされるのに、真っ黒の太い眉毛。
髪も真っ黒で、服装も素敵。
目元が愛くるしいですね。
同様に、染五郎さんもまじめで素朴そうでした。
お二人とも、お育ちの良さがにじみ出ているといった感じでした。

きっと私の場合は、まじめそうな男性の方に好感を持つのでしょうね・・・。
そういった方の演技は、舞台にも反映されるような気がいたします。

何だかもたもたしていて、最近ブログの更新が遅れて恥ずかしい限りです。
今から、そちらの楽しいページに伺わせていただきますね^^V
返信する
乱鳥さんへ (みき)
2008-07-24 09:01:17
おはようございます。
京都も 暑いとは 聞いておりましたが
奈良も 暑いですか。。
奈良は 高校時代の同級生が
住んでいます(笑)
確か。。勘平がお財布を 取って?
恥じて 切腹の場も あったみたいです。
町娘でしたが。。綺麗でした。
演ずる役に その人の人格が
出ると 聞きます。
若い 2人 ますます 芸に 磨きが
かかって 素晴らしい役者に
なるんでしょね。
乱鳥さん 楽しみですね。

返信する
コメント、ありがとうございます。 (みきさんへ)
2008-07-25 00:49:39
勘平がお財布を取るのは『五段目』、恥じて切腹の場というのは『六段目』だったように記憶しています。
この二つはペアで演じられることが多いようですね。
いいお芝居です。
五段目の 小屋から手だけを出して親父様の財布を盗んで殺し、「ごじゅうりょうぅう~~!」
と、すごみをきかせる場面は、結構好きです。


奈良の暑さは驚くばかりです。京の暑さ、京の底冷えは半端じゃないと思っていましたから・・・。
奈良に越してきた年の冬は、奈良の方たちに、
「京都の冬は寒いでしょう・・・。」
戸心配していただいていたのですが、実のところは奈良の方が暑くて寒いのです(笑)
でも、奈良はいいところです。
自然と歴史が残っており、田畑の景色も美しく、水と野菜が美味しいです。
また、神社などで無料或いは低額で能楽が楽しめる機会も多いのです。
神社や散歩、祭や花巡りをしたくなるところです^^V
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