2014.08.13
「川柳の学校」のレッスン３.新子句川柳教室
「愛があり大きなキャベツたぺつくす()」
「愛妻紀神話のごとく読み終わり()」
「いちめんの椿のなかに椿落つ()」
「犬走れ使いに走れ愛走れ()」
「嘘のかたまりのわたしが眠ります()」
「生んだ覚えのある子が敵になってゆく()」
「衿噛んで泣いたは子らの知らぬこと()」
「鉛筆のつけ根持つくせ人待つくせ()」
「大きなピエロ小さなピエロ旅に在り()」
「おんおんと五月の空へ哭いてやる()」
「駈け寄れば羅漢の原に降る礫()」
「カンカンと晴れわたる日の羅漢さま()」
「君は日の子われは月の子顔上げよ()」
「ぎんなんをこぶしで割ればそれも愛()」
「くちびるを逃がす椿の咲く山へ()」
「クリスタルタワーの下の大喧嘩()」
「芥子瞿栗咲かせどんなことにも驚かぬ()」
「現在地ふわりと浮いて雲の中()」
「この旅をおもうだろうな死ぬときに()」
「こんないい月夜を救急車が走る()」
「さやさやと男の髪をくぐるかな()」
「さみしいと言わせるまでは酌ぎこぼす()」
「十七の花嫁なりし有夫恋()」
「荒ぶ荒ぶ一花も入れぬ壺の口()」
「スイスイと空の燕も無職かな()」
「戦争だからね 男と女とは()」
「世紀末 夏 青蛙葉に移る()」
「存分に人を泣かしめ粥うまし()」
「それも百体 人形が目をひらく()」
「たった今脱獄の眼の清々し()」
「黙って黙って二匹の魚になるまでは()」
「父の死を待つわたくしはわたくしは()」
「直角に沓履くミイラ夜は起つ()」
「妻をころしてゆらりゆらりと訪ね来よ()」
「てのひらのトンボ葬送曲空へ()」
「てのひらのうすくらがりのうらおもて()」
「とんねるへ一人はいって二人出る()」
「どうぞあなたも孤独であってほしい雨()」
「何だ何だと大きな月が昇りくる()」
「長い塀だな長い女の()」
「人形の首まうしろを見てしまう()」
「人形のかの人形の熱き乳房()」
「沼に待つ者ら等しくうすみどり()」
「盗み読みされた手紙の血しぶきよ()」
「猫のいる景色の中へ戻れそう()」
「熱の子のこんなに紅い唇の色()」
「ののしりの果ての身重ね昼の闇()」
「野の仏明日も昨日もありませぬ()」
「野の仏いつからここにおわします()」
「墓の下の男の下に眠りたや()」
「母の日のうすぎぬ脱いでちょっと死ぬ()」
「飛行機の昇る角度は恋に似る()」
「飛行機の降りる角度は愛に似る()」
「久女超え多佳子を超えて怪気炎()」
「古箪笥むかしのお手紙がわんさ()」
「舟虫よお前卑怯でうつくしい()」
「平成七年一月十七日 裂ける()」
「ほんとうに刺すからそこに立たないで()」
「ポケットの手を出しなさいお別れです()」
「累々と越えた男の一人と死ぬ()」
「稀にある美しい日が今日だった()」
「マリの仲間に嫌われまして弾むマリ()」
「味噌汁のどろりどろりと失意抱く()」
「身勝手はおたがいさまの実南天()」
「無音かな父の背に胸当てている()」
「胸の中 蟹が一匹また一匹()」
「日の前に水晶玉がある逢える()」
「目薬をさしてしばらく隙だらけ()」
「物干しへ逃げて処刑の顔になる()」
「もう死ぬと言わない約束のＦＡＸ()」
「山傾斜 人のわるくち面白し()」
「やあれんそうれん今お戻りの旦那さま()」
「雪がふるわたしのような雪がふる()」
「百合みだら五つひらいてみなみだら()」
「よき別れ春の畳に大の字に()」
「よその男と命の芯をみつめ合う()」
「ラジオ消し本気で叱るつもりなり()」
「ラブレター八月の猫隙だらけ()」
「りんどうは生涯ひらかない覚悟()」
「離婚初めてなのでわくわくしてしまう()」
「留守のまに開いたバラよ何を見た()」
「ルミはラテン語並木通りでそんなこと()」
「れんげ菜の花この世の旅もあと少し()」
「劣等感一途に烏賊のわたを抜く()」
「六月の闇霊魂が信じられ()」
「六十年安保「日本は敗けたのよ」()」
「私私私ドア蹴るなだれ込む()」
「私たちもう十分に生きました()」
/* Takao Tsuji */
2014/08/14
「風呂に入り産湯を想うお盆かな(8/14のお盆が誕生日)」
「昼寝して花びら並べる夢を見た(叔母が散った赤い花びらを並べていたのでその上に重ねた)」
「親の家片付けるにも禁句あり()」
「女性初フィールズ賞にイラン人(マリアム・ミルザハニＭＩＴ教授。幾何学専門)
「イラクではマリキ首相が退陣に()」
「官兵衛がついていそうな安倍総理(香川・大高)」
「借金をどんどん増やし安倍人気(和歌山・武友)」
「合流にまだ温度差の維新結い(愛媛・仙波)」
「ほとぼりが冷めるのを待つ喜美さん(大阪・桜田)」
「裁判員はいらぬ判例集あれば(兵庫・飯田)」
