そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

万葉集#17.3969-17.3972

2013年06月16日 |  / 万葉集

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「(三月の三日、守大伴宿禰家持が更に贈れる歌一首、また、短歌)」
「広い徳ご恩をわが身にくだされて感謝の気持ち堪えることなし(含弘ガンコウの徳、恩を蓬体ホウタイに垂れ、不貲フシの思、陋心ロウシンに報へ慰めしむ。来眷ライケンを載荷タイカし、喩タトふる所に堪タふること無し)」
「幼きに勉強できず文まずく山柿の言葉も見つけられない(但タダ稚き時、遊藝の庭に渉らず、横翰の藻、自ら彫虫に乏し。幼年山柿の門に逕らず、裁歌の趣、詞を叢林に失ふ。爰に藤を以て錦に続ぐといふ言を辱カタジケナくす。)」
「石をもち瓊に交える愚を犯し黙りゃいいものつい歌にする(更に石を将て瓊に同じくする詠を題シルす。固マコトに俗愚懐癖、黙止すること能はず。仍カレ数行を捧げて、式て嗤咲に酬ふ。其の詞に曰く)」

「かくのごと漢文体にも通じおりいかに学びてものにしたるか(含弘ガンコウの徳、恩を蓬体ホウタイに垂れ、不貲フシの思、陋心ロウシンに報へ慰めしむ。来眷ライケンを載荷タイカし、喩タトふる所に堪タふること無し。但タダ稚き時、遊藝の庭に渉らず、横翰の藻、自ら彫虫に乏し。幼年山柿の門に逕らず、裁歌の趣、詞を叢林に失ふ。爰に藤を以て錦に続ぐといふ言を辱カタジケナくす。更に石を将て瓊に同じくする詠を題シルす。固マコトに俗愚懐癖、黙止すること能はず。仍カレ数行を捧げて、式て嗤咲に酬ふ。其の詞に曰く)」


「任官のままに越にと赴任せど病にたおれ悲しくなれる(大王の任マケのまにまにしなざかる越を治めに出でて来しますら我すら世間ヨノナカの常し無ければ打ち靡き床に臥い伏し痛けくの日に異に増せば悲しけく)」
「悲しみをこっちに思いそっちには嘆き不安で苦しいものだ(ここに思ひ出苛イラなけくそこに思ひ出嘆くそら安けなくに思ふそら苦しきものを)」
「遠い地で使者もやらずに気も晴れずする術もなく家に籠りぬ(足引の山来隔ヘナりて玉ほこの道の遠けば間使も遣るよしも無み思ほしき言も通はず玉きはる命惜しけど為むすべのたどきを知らに隠コモり居て)」
「春ならば花鳥風月えもいわずこんな季節を空しく過ごせり(思ひ嘆かひ慰むる心はなしに春花の咲ける盛りに思ふどち手折り挿頭さず春の野の茂み飛び漏クく鴬の声だに聞かず娘子らが春菜摘ますと紅の赤裳の裾の春雨ににほひ湿ヒづちて通ふらむ時の盛りをいたづらに過ぐし遣りつれ)」
「お優しい思いに夜も寝られず日がな慕いて恋いつついます(偲はせる君が心をうるはしみこの夜すがらに眠イも寝ずに今日もしめらに恋ひつつそ居る()」


「大王の 任マケのまにまに しなざかる 越を治めに 出でて来し ますら我すら 世間ヨノナカの 常し無ければ 打ち靡き 床に臥い伏し 痛けくの 日に異に増せば 悲しけく ここに思ひ出 苛イラなけく そこに思ひ出 嘆くそら 安けなくに 思ふそら 苦しきものを 足引の 山来隔ヘナりて 玉ほこの 道の遠けば 間使も 遣るよしも無み 思ほしき 言も通はず 玉きはる 命惜しけど 為むすべの たどきを知らに 隠コモり居て 思ひ嘆かひ 慰むる 心はなしに 春花の 咲ける盛りに 思ふどち 手折り挿頭さず 春の野の 茂み飛び漏クく 鴬の 声だに聞かず 娘子らが 春菜摘ますと 紅の 赤裳の裾の 春雨に にほひ湿ヒづちて 通ふらむ 時の盛りを いたづらに 過ぐし遣りつれ 偲はせる 君が心を うるはしみ この夜すがらに 眠イも寝ずに 今日もしめらに 恋ひつつそ居る(#17.3969)」

「足引の山桜花一目だに君とし見てば吾恋ひめやも(#17.3970)」
「あしひきの山桜花一目だけあなたと見れば恋が募れる()」

「山吹の茂み飛び漏く鴬の声を聞くらむ君は羨トモしも(#17.3971)」
「やまぶきの茂みの中から鶯を聞いてるあなた美しきかな()」

「出で立たむ力を無みと隠コモり居て君に恋ふるに心神ココロドもなし(#17.3972 三月の三日、大伴宿禰家持)」
「外に出る力がないと家にいて君を思えば心うつろに()」

 

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