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「夜明け前 国の名前も定まらぬ 縄文・弥生のその頃は われらの祖先いかにして 互いの意思を通ぜしか もちろん言葉を話せしが 思いを馳せるに記録した 文字を持たぬと思いたり 漢字以前の書き文字は 多分絵文字や記号など用いて残すメッセージ 果たして残す価値のある 伝言などはあったのか 多分ありしが 日常の言葉であらず そは呪文 祝い言葉や忌み言葉 呪い言葉を残せしか もしも残れるものならば どんな形であるかしら そもそも人の書き文字は 空間または時間など越えるためには必要か 弥生もやうやう発達し 土地から移動するもあり 移動があれば交流も 増えてくるなり 通じあう 話し言葉が意味を持つ 旅の途中で行き合える その土地土地の長老が 客に語れる伝承を 旅のリーダー聞きしかど リーダー多分体育系 話の記憶は聡明で 話のうまい専門家
聞きて記憶にとどめては 土産話として話す こんな形の交流は 同じ形のお話が 複数に残れるか 話の覇権争いが あったかどうかわからぬも 言うてみたれば下克上 戦国歴史に似たるかも 新たに起こる豪族は 嘘と虚栄で固めたる 由緒を作り高らかに 部族を支配していけり こんな形でリーダーは 権力集中させていく この豪族はそれぞれの 力とともに文化をも 自分の下に治いく こちらで聞いたお話は あっちで聞いたお話と すこし違って疑わし いったいどっちがほんまかと 次第に真実不透明 こんな有り様憂いては 天武天皇が詔(ミコトノリ) くだしてまとめん古の 家の伝承あつめたり かくしてできる古事記だが その始めにて安麻呂は あんなこんなを書きてあり 思えば始めに書き文字を 漢字で持つは異次元の 極みに立てることとみる()」