がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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リテイク版・本部平原

2021年06月19日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
本部平原(もとぶたいはら(ていばら))。

 

最後の北山王・攀安知の側近で
1416年の中山VS北山の戦の際、
尚巴志がひそかに賄賂を贈って寝返らせ、
北山を滅亡に招いたとされる人物。

正史には
「勇猛だが知恵がなく、欲深い」
と書かれてしまっている。

琉球戦国列伝は基本、正史・通史ベースなので
本部の人物表現もその路線で。

でも、いかにも、あからさまな悪・かっこ悪いではなく、
その匂いはさせつつも、かっこよさも感じさせるように
が、リテイク版のテーマなので
男気が感じられるような感じで描いてみました。

ポイントは「体毛」です(笑)
髭だけじゃなくて、手や脛にも毛を描き足したら
一気に男くさくなったよ。

「北山の風」メンバーさんには不評かな~?(^^;)

服装や武器はオリジナル版を踏襲。
鎧のタイプが少し変わりましたけどね。

ところで下に履いてるハーフパンツ
「袴」っていうんですけどね。
当時の人の「下着」なんですけどね。

私、先日「那覇袴」を購入しまして。
型紙と縫製が普通のズボンと全然違うのです。
全体的にピタっとしていないので、
股位置がたるむというか、実際の位置よりも下がるのです。
しわのつき方も少し変わる。
(あ、サルエルパンツのイメージに近いかな?)

鎧でほぼ隠れちゃったけど(^^;)、
今回はそんな所もこだわってみました☆

 

カタカシラはバリエーションを出すために頭頂部に。
頂部に結うって証言もありはするので(李朝実録)、ね。

 

そして実は…
オリジナルの琉球戦国列伝
それから琉球戦国キャラクター図鑑、
そして今回のリテイク版、
本部はALL横顔アングル(笑)

もちろん気づいていたし、
別アングルのラフも描いてあったんだけど
結局こっちのほうがしっくりきたので
「横顔が決め顔の男
ということにしておきます。


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リテイク版・王茂

2021年06月12日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ、
王茂(おうも)。

久米村の華人で、
思紹王代の王相(国相)です。

 

マイナーな人物ではありますが、
懐機の前任者、といえば「ああ」ってなるかな?

 

琉球の王相は
亜蘭匏(察度・武寧王代)にはじまり、

王茂(思紹王代)

懐機(尚巴志王代)

と続きます。

 

彼らは同じ久米村の華人ですが、
1406年に尚巴志・思紹親子が武寧を滅ぼすと
彼らの王相だった亜蘭匏の名前も見えなくなります。

よって、
久米村内でも武寧派と、新勢力の尚巴志派のようなグループがあり、
1406年を境に亜蘭匏は失脚したとも考えられています。

 

ということで、
オリジナルよりはもう少し図太そうなおじさんにしてみました。

服装はオリジナルとそのまま踏襲で
武官8品の常服、補子は犀牛。


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リテイク版・百十踏揚

2021年06月04日 | ・琉球史散策/第一尚氏


琉球戦国列伝リテイクシリーズ、
百十踏揚(ももとふみあがり)。

すっかりおなじみかもしれませんが、
尚泰久王の娘(王女)、
護佐丸の孫、
阿麻和利の妻、
阿麻和利を討った大城賢雄の妻、
という
15世紀の偉人たちをつなぎ、
故に波乱万丈な人生を送った王女です。

 

今回は服飾を色々と調べまして頑張りました!

まずは、打掛がこちら!

 

 

手わざ展で復元された伊平屋のあもがなし衣装。

最新の研究により、この衣装は赤地ではなく黄色地であることが発覚。
模様は染ではなく刺繍で施されています。


この衣装をそのまま資料にして描いたのですが…
う~ん、なんとけったいな模様なんだろう…(笑)

ぐるぐる巻きやうねうねうねった蔦?や、
正体不明のこいつ↓とか。

 

視写っして観察すればするほど、
どのモチーフも有機的で活動的でどこか熱帯的で、
とにかく不思議。

これに類似する柄は、他国・他地域にあるのだろうか…。

配色もカラフルというわけでもないし、
多用されている黄色も紅型の黄色とは違っていて、

すっごい着る人を選ぶ色の着物だな~
(ブルべとかイエベとかの、アレね。)

とか思いながら描きました(^^;)

 

打掛の下のドゥジン・カカンは
『琉球服装の研究』(辻合喜代太郎、橋本千栄子著)
を参考にしました。

ドゥジンは4枚重ね。
丈を変えてそれぞれの色が見えるようになっています。

こちらも黄色が多用されていますが、
参考資料にあった配色を踏襲。

 

今回は
自分では想像だにしない柄と選ばない配色に
やや戸惑いつつの作画・着色でした。(^^;)

でもそれがかえって”琉球独特感”
ということになるのかもしれません。

 

 

手に持つは、紅釉水注。

↑写真の下段中央にあるものです。

このブログでも何度か紹介していますが、
現在世界で4点しか確認されていない
非常に貴重なもので、
1459年に燃えたとされる首里城倉庫跡から出土しています。

百十踏揚もきっとこの水注を目にし、
手に取っていたかもしれません。

 

リテイクシリーズでは、今、実際に残っている考古遺物なんかも
なるべくたくさん取り入れていきたいなと思っています♪


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2021護佐丸の日!リテイク版、護佐丸

2021年05月30日 | ・琉球史散策/第一尚氏


5月30日、
さあ、今年もやってきました護佐丸の日!

中城村が2009年に制定した、
正真正銘の記念日であります。

今日は各々、護佐丸について思いを馳せ
SNSなどでつぶやいてみてください。

#護佐丸の日
#ごさまるの日

【護佐丸の日企画、及び護佐丸の日記事】
'12 https://bit.ly/2HGWebO 
'13 https://bit.ly/2WdaO3S 
'14 https://bit.ly/2wxpFql
'15 PC故障につきお休み 
'16 https://bit.ly/2EGPybN 
'17 https://bit.ly/2XfeLBA
'18 体調絶不調につきお休み
’19 https://bit.ly/3espYGU
’20 (なし)

今年は中城村観光協会
中城村内企業
中城村ゆかりの芸人兼ミュージシャン(その名もMC護佐丸!)が
ごさまるの日に合わせて企画や取り組みをしてくれています♪

本当は中城グスクや護佐丸歴史資料図書館(開館5周年記念日)で
イベントごとができればもっとよかったのだけど(実際、企画はされていた)、
このコロナ禍でグスクも資料図書館も臨時閉鎖になって
それができくなってしまったのが残念ですが…
是非来年、リベンジしてほしいです!

そして願わくば、読谷村や恩納村も一緒に、
村を超えて盛り上げてくれたらもっといいなと思います。

 

さて、

というわけで、
琉球戦国列伝リテイクシリーズも護佐丸で。

人間味あふれる護佐丸が描きたいなと思い、
「盛親を抱くの図」
にしてみました。

孫にデレる爺のように見えると思いますが、
孫ではなく息子です。

護佐丸60代後半にして
最後につくった子になります。

 

1458年に阿麻和利に攻められ、
護佐丸と共に自害した息子たちもいましたが、
赤子だった盛親だけは
乳母らによって城から脱出。

糸満の国吉で隠れながら暮らしていたが
第二尚氏時代になって首里城に出仕、
出世、繁栄し、三司官(大臣)を多く輩出する
琉球の三大名門(毛氏)になっていきます。

現在も、「護佐丸の子孫」は多く、
10万人以上とも言われていますが
琉球時代の繁栄がベースにあるということですね。

 

阿麻和利に攻められたのが中秋の名月の頃、
ということなので、
盛親が生まれたのはそれより前、
8月~9月頃かな?、
ということで護佐丸の羽織はなしに。


オーバサーという深緑色の芭蕉衣をイメージした
服装にしてみました。
(本当はもっと透け感があるはず…だけど^^;)

1453年の証言記録(『瑞宗実録』)で

「尊者は袖口及び衣上に五色の糸を以て獣形を繍す」

にあることから、襟と袖口に装飾を入れています。

衣上っていう書き方が気になりますけどね。
アシャゲコムネ(アシアゲコムネ)みたいに、
胸部にどーんっていう可能性もあるのか…
どうなんでしょうね。


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リテイク版・国笠

2021年05月11日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズ
国笠(くにちゃさ)。

リテイクシリーズ初の女性キャラです。

尚徳王に見初められ、
彼と運命を共にした久高島のノロ、国笠です。
(→ 

 

今回は背中に垂れ下げる玉ハベルを中心に
ポージングしました。

県博の常設展で展示されている
玉ハベルのデザインを参考にしました。

ビーズ細工の玉ハベル。
ビーズの粒々感もちゃんと表現したので
拡大できる人は見てみてね。

 

玉ハベルの「ハベル」とは蝶のこと。
琉球で蝶は霊的な化身にたとえられました。
(おなり神の化身など)

下の三角形の布切れを蝶に見立てています。

 

なお、県博展示の玉ハベルにはないのですが、
鎌倉芳太郎のスケッチの玉ハベルには
上部に小さな鈴が付けられていたので採用。

祭祀で動くたびにチリチリと鳴っていたであろう
鈴の音をイメージしてもらえたら…

 

手に持つ神扇は裏面。

表面は鳳凰と太陽が描かれていますが、
裏面は牡丹・月というパターンが多いそう(例外もあり)。

久高島の外間殿に飾られていた神扇図案を参考に。


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もうひとつの城 中城村の新垣グスク展

2021年05月09日 | ・琉球歴史/文化風景

 

中城村の護佐丸歴史資料図書館で開催中の
「もうひとつの城 中城村の新垣グスク」展
に行ってきました!

新垣グスクに焦点を当てた展示会は…初!?

 

新垣グスクは何度か訪れたことがありますが、
今は木々が生い茂っていて、
今、見学できるのは拝所のある広場と、
運よく入れてもかなり手前の方だけ。

 

↑数年前に訪れた時の新垣グスク

 

なのでグスクとしての全体像は
イマイチ捉えられぬまま。

グスク講座などで発掘成果などを
断片的に聞いたことはあるけれど
新垣グスクの全体を学べる機会はこれが初めて!

わっくわく~♪

 

1階は常設展示。

企画展は3階へ!

 

 

規模はミニ展示、という感じ。

内容は
新垣グスクの概要
発掘の様子やその成果
出土遺物
新垣集落について
新垣の祭祀についてなど。

コンパクトにまとめられています。

 

撮影OK、ネット掲載OKでした!

 

 

展示で一番萌えたのはこれ。

新垣グスクとその周辺の地形図模型!

先に書いたように
新垣グスクは今は木々に覆われていて
全体がわかりにくいので
こうやって模型で立体的に見ると
「こんなんだったのかー!?(゚д゚)!」
とびっくり。

壁際にセットされているのでちょっと見にくいですが、
是非裏側の地形もチェックしてほしいです。

 

また、発掘で判明した堀切などの防御機能にも萌。

これは…ぜひ想定復元図を作ってほしいものです…。

 

 

関連イベントとして『新垣グスク探訪』が
5月30日(ごさまるの日)に行われますよ!

”あれども見えず”な新垣グスク一帯を
解説とともに実感できるチャンス!


申し込みは明日から!
詳しくは護佐丸歴史資料図書館ブログへ。

(なお、個人的には、前日までに展示を見ておくのをおすすめします)

 

 

*おまけ*

 

 

祭祀の紹介コーナーにて。
神酒の代わりにヤクルトを供える。

ふふっ。

ヨーゴとかにしている地域もあるらしいので
これも時代に移り変わりですねぇ(*'▽')


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リテイク版・他魯毎

2021年05月05日 | ・琉球史散策/グスク時代


琉球戦国列伝リテイクシリーズ
他魯毎(たるみい)。

これまでリテイクシリーズは全員、
日本や明の”外国人”だったのですが
そろそろ琉球人を、ということで、
推しの他魯毎です。
(南山に光を


常服、補子は麒麟、
手に持っているのは染付の馬上杯。

10年前に琉球戦国列伝を描いていたときは
気づいていなかったのですが、
明役人の制服である常服も時代によって
袖や帽子の形が変化しており
今回はちゃんと明代前期の形で書き直しました。

量多めのくせっ毛という個人的な設定は
ずっと踏襲です♡
(キラキラ版も例外なくそうなのである)


10年前の他魯毎とキラキラ版の他魯毎はこちらから見れます


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リテイク版・亜蘭匏

2021年04月30日 | ・琉球史散策/グスク時代

 

琉球戦国列伝リテイクシリーズより、
亜蘭匏(あらんぽう)。

察度の代から進貢使として活躍し、
明との外交や貿易に従事。
続く武寧にも仕え、
中山ひいては琉球の発展に貢献した華人。

その実績により、明の皇帝から
琉球で最初の「王相(国相)」に任命され、
正五品という位をさずけられます。

↑の服は正五品の公服。
常服ではないので、
ホシ(胸部にある四角の刺繍)はありません。

 

彼は『琉球戦国キャラクター図鑑』でも採用したりと
これまで色々なタイプで描いてきましたが、
今回が1番ニュートラルかも。


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リテイク版・道安

2021年04月18日 | ・琉球史散策/第一尚氏

 

久しぶりのイラスト投稿です。

リテイク版・琉球戦国列伝シリーズより、
道安(どうあん)。

琉球の使者として朝鮮外交を担い、
あの『大蔵経』をゲットして琉球に持ち帰った人です。

また、彼が朝鮮王朝に献上した
博多から琉球への海路を示した地図は、
この図はのちの時代の「海東諸国紀」(1471)に写本され、
そして「琉球国図」(1696)へとつながっていきます。

(イラストの中では「琉球国図」を元に描きました)

 

なお↑の地図は、
九州から見た向き(北→南)で描かれているので上が南、下が北。
よって、上にある大きな島が逆さになった沖縄本島です。

 

 

現在、国立歴史民俗博物館(千葉県)で
『海の帝国琉球-八重山・宮古・奄美から見た中世-』という展示会が開催中。

この展示会でも「琉球国図」が紹介されているようです。
(時勢柄、見に行くのを断念せざるを得なかったので図録のみ通販でゲット)


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漫画「琉球のユウナ」の、歴史人物相関図

2021年04月14日 | ・和心な本、琉球な本


「琉球のユウナ⑥」(響ワタル著/白泉社)
を読みました。

 

物語の大きな転換があったりして

これ、どうやってまとまっていくの!?

と想像がつきません(^^;)

 

ともあれ、物語収束の気配は全くなく、
まだまだこれから、という感じなので楽しみです。

 

とりあえず、
宮古組が出てきたのは最終決戦あたりで
千代金丸(第一尚氏)VS治金丸(第二尚氏)
という構図にもっていくためなのか!?
と思ったりして。

(でも歴史では治金丸が尚真に献上されたのは1522年で
尚真57歳の時なのだけど)

 

それにしても毎巻そうなんですが、
この人もでてきた!?
この人も出てきた!!!
という感じで6巻も琉球史の新キャラもりだくさん!

これ、琉球史に馴染みのない読者さんは
整理できているのかしら…?

 

というわけで、

「琉球のユウナ」にこれまで出てきた
実際の琉球史上の人物を
相関図にまとめてみました。
((尚真の母・オギヤカは…もしかしたらマンガでは名前は出してなかったかな?
人物の見落としがあったらご容赦を)


↑クリックで拡大

 

マンガ上の相関図ではなく
あくまで琉球史の中の相関図です。


でもマンガの中でも
琉球史上の関係はしっかり踏襲されているので、

この図に入っていない人物を
加えたり、置き換えたりすれば
そのまま「琉球のユウナ」のキャラクター相関図になると思います。

 

つまり、
この図に出てこない人物は
マンガのフィクションキャラ
ということになります。

・ユウナ
・夜斗
・サニ
・真鶴 など。

ティダは「尚徳の子」部分に置き換え。

幸地里之子大良金は…
フィクションだと思うのだけれど…
実は元があるのか…不明。


尚真の下に灰色文字にした人物は
マンガにはキャラクターとして出てこないのですが、
4巻5巻にエッセンスは入っていたのでオマケで掲載。

尚真の孫(尚清の長女)が上級神女「阿応理屋恵」の初代。
(参/沖縄大百科事典・女官御双紙)

尚真の3男・韶威が(第二)今帰仁看守になり、
以後代々続いていきます。

 

なお、白澤は中国の霊獣で(17Cに描かれた自了の絵画が有名)、
マンガでは擬人化。

 

また、宮古組についてですが

マンガでは
・真濃秦天
・乙美我
という漢字表記でしたが

ワタシが調べた中ではこの表記は見かけなかったので
図では
真濃茶天太
宇津免嘉
にしています。

 

ちなみに、玄雅と真濃茶天太は双子らしいですよ。
(玄雅が長男)

 

仲宗根豊見親はもちろん知っていましたが
八重山との関係や治金丸など、
対外的なエピソードの中での知識がメインだったので
ユウナ6巻を見て、
改めて宮古島内の歴史や各人物を調べるきかっけになりました。

やはり、フィクションからきっかけをもらって
更に調べて深読みするのは…楽しいですね♪

 

皆さんにもその楽しさや発見を味わってほしい!

今回作った図がその助けになりますように。

 


過去巻レビューなど

1巻 2巻 3巻 4巻 5巻


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