現代版組踊「百十~MOMOTO~」
2014年10月17日(金)
国立劇場おきなわ小劇場
Ship of the Ryukyuの枠としては
2回公演のうちの2回目。
前回(→8/22)に引き続き行ってきました!
前回は期待が高まりすぎてしまったのか
過去の記憶が美化しすぎてしまったのが
個人的にはどこか物足りなさを感じていたので
今回、どのようにレベルアップされているか
とても楽しみにしていました。
結論から言うと・・・
ナイスバージョンアップ!!
スタッフ&キャストのみなさん!!
グッジョブ!
いやー、これはガラリと変わりましたね。
お見事でした
もう泣かないかなーと思ってたのに、
今回は泣けました
さて、そんな舞台レビュー。
思い出せるかな。
最近記憶力が低くなってる気がするので
(今年度は定期公演観劇お休み中であんまりレビュー書いてないから鈍ったかも(笑))
前回との比較で記憶違いのこと書いてたらご容赦を。
*
オープニングの、
映画で言えばタイトルバック的なシーンって
前回もあったっけ?
阿麻和利が死ぬシーンがあって、昇天して、
そのままハケずに上の方にいて、
中央に正座している百十踏揚と、
左手に立ったままの賢雄。
セリフも動きもなく、
背景に演舞もなく、
ただ音楽だけが流れる
ちょっとしたシーン。
映画だったらきっとここでタイトルでるよね!
みたいな。
大城賢雄、百十踏揚、阿麻和利の
3人が位置関係がすごく印象的で
これから始まる物語にドキドキさせるような
そんないいクッションになってました。
*
今回、アンサンブルの演舞シーンが
だいぶ(?)カットになったなーと感じました。
モダンな振り付けが特徴的だった
冒頭の「月照らす涙星」の演舞もなし。
その分、じっくり演技で見せるシーンが
増えていたんです。
まず、百十踏揚の歌(琉歌)とソロ演舞!
肝高の阿麻和利の、嫁入り前のあれ!
音楽はちょっとだけアレンジして。
そしてそれに合わせた百十踏揚の心の葛藤も
思戸とのやりとりで表現されていて。
阿麻和利を想いつつもも
賢雄に嫁がなければいけなかった身の上。
賢雄の心も分かってる分むげにもできない。
そんな中、子を生み、
母としての生きがいも芽生えてきた
そんな複雑な心内。
しっかりと見せてくれました
また、賢雄と成長した思徳金の稽古、
父と子としての会話など
今回、家族をじっくり描いているなーと感じました。
ちなみに賢雄が赤子の思徳金を抱くシーン、
最初、大砲持ちしよったのにはちょっと笑いました(笑)
賢雄の不器用な感じが前回にも増して出てて良かったデス
賢雄の死ぬシーンはやっぱりイイですね。
音楽がいいんだよなー。
戦いのシーンで、悲劇のシーンなんだけど
メロディーラインがとてもキレイ
アンサンブルさんのもってる小道具、
トーチ(松明)じゃなくてふさふさな布とかリボンとか
そういう動きに合わせて揺らぐものがいいんじゃないかなーと
思ってましたが(音楽のイメージから)、
そうか、最後の明かりがポイントなのね。
今回は旗隊も参入!(…よね?)
長刀で自害する賢雄がかっこよかったッス。
*
今回泣けたのは、百十踏揚が田場を説得するシーン。
見せてくれましたね、百十踏揚の強さ。
思徳金との縁を切り、田場に預けたいとお願いするも
それはできないと拒む田場。
説得する百十踏揚と、田場の葛藤。
これまでよりもじっくり取られていて、
胸にぐっときました。
拒む田場の手を握って懇願する
百十踏揚の必死さと強さがよかった。
個人的には泣きの表情は無くてもいいくらい
ここは強気な百十踏揚でもいいかもと思ってる。
凛とした、王女としての意思の強さと気高さ。
でもいざ我が子を前にすると思わず…
ってくらい差が出ると好み(笑)
ま、ワタシの好み(妄想?)は置いといて!
今回は田場と百十踏揚に泣かされた感じですね。
その後の思徳金との別れもやっぱり鉄板。
抱き合う母子。
田場を振り払い、叫ぶ思徳金。
すすり泣く客席。
思徳金も表現が力強くなってて良くなってたな!
*
さて、クライマックスの百十踏揚晩年のシーン。
どでかい位牌は…やっぱりありました
うーん、個人的な糸暖簾とか長い布のような、
垂直的で白っぽくてきれいなセットのイメージなんだけど。
ま、この勝手な妄想も置いといて。
百十踏揚が昇天するシーン、
今回、阿麻和利・賢雄が連れて行くという感じじゃなく
見守って行くという感じででした。
阿麻和利や賢雄に手を取られ、ではなく、
百十踏揚ひとりで昇天したの。
なるほどねー。
*
ところで、15世紀に修正されていたのは安心したのですが、
やっぱり気になったのでもうひとつ。
今回もパンフレットの年表に書かれていて
舞台のセリフでも出てきた百十踏揚の1499年没のこと。
この年は舞台の設定としてアリとして、
それならその時、思徳金もイイ年のおっさんになってるのに
見た目子どものままじゃーんっていうのも
まぁ、目をつぶるとして(笑)
でもでも、ストーリーテーラーの思戸が
「あの動乱(→クーデター勃発)から7年後、ようやく穏やかな…」
っていう意味のことを言ったよね?ね?
で、百十踏揚が天上の二人と会話して
そのまま死ぬんだけど、
クーデター&賢雄討伐は1470年(頃)だから
7年後だったら1477年(頃)ってこと?
…1499年じゃないじゃん…。
んーと……
年が謎な部分を自由に設定するのは
別にいいと思うんだけど(1499年没もあり得なくもないし)
でも物語上で数字を出す時は出した数字どうしが
つじつまが合うかどうかはチェックしてほしいです~;
(○年後、とか、○才になった時、とか、○世紀とかそういう系の)
こーゆーの、他舞台でも
ちょこちょこあったりしたから気になります…
(年が)歴史的に正しいかどうかってことじゃないのだ。
舞台はフィクションだから仮定でも全然いいのだ。
でも同じ舞台の中で数字のつじつまは合わないと
見てる人に「ん??」ってひっかかりを残してしまうでしょ。
それはやっぱり作り手としては避けた方がいいと思うのですよ。
*
さて話を戻してと。
百十踏揚が死んだあと、思徳金の独白のシーンも追加。
そして続いて百十踏揚の人生を語ったまとめのナレーション。
最後の演舞とのつなぎができてましたね!
もっと前奏かぶせても良かったかもだけど、
でも前回のような違和感はなくって良かったです!
でもあの声は一体…誰?(金丸?)
ナレーションはここも思戸が良かったな。
そのほうが統一感があって。
あ、ふと思ったのでついでに書きますが、
クライマックスのあの演舞、
肝高の阿麻和利と似た構成ってできないかな?
主役が最初の方にバーンと踊っちゃって
それからアンサンブルの群舞になって、
後半、他の役者(チーム)が一緒に踊って、
主役が前に出てまとめる
って感じ。
賢雄と阿麻和利の演舞も、
少しくらいはあってもいいのでは!?
ナゼナラバ、あの曲と演舞、
大合唱って感じでもないし、
囃子や掛け声も無いし、小道具での効果音もないので
役者さんが前半ずーっと後ろで立ってるだけなのが
もったいないな―と思ったんです
百十踏揚が踊りに加わって
役者チームが動き出すまでに結構時間もあるので、
ちょっとだけ間延び感を感じしてしまいました。
*
そうそう、前回、ガン見しようと決めてた金丸。
百十踏揚の自殺未遂のシーン。
いやぁ、よかったね!
「まさかあのおとなしい百十踏揚様が!」
というような驚きと、直視できないばつの悪そうな表情。
対して賢雄は百十踏揚を追いこんでしまったと
己を責めるような苦悩。
二人の対比がうまくでてました!
このシーン、次は尚泰久だな(ニヤリ)。
(はっ!!尚泰久と城間が同一キャストって今パンフみて気付いた…へ~!(゜∀゜))
あ、あと金丸と賢雄の身長差もツボでした(←マニアック)
身長2メートル伝承の賢雄。
大地君、ハマりすぎ
(今回はポニテなしでカタカシラオンリーでした)
真五郎、相変わらずかっこよすぎ…。
賢雄と真五郎、まともに張りあったらどっちが強いんだろーね?(笑)
*
さて、とりとめのないレビューになってしまいましたが、
最後に嬉しいお知らせ!
泣ける舞台の定番になったと言ってもいい
この現代版組踊「百十~MOMOTO~」
1月17日・18日にきむたかホールで公演決定だそうです!
でもって、
肝高の阿麻和利メンバーも出演!
前々から希望してた、
肝高の阿麻和利メンバーによるスピンオフ舞台公演!
(オンリーではないと思いますが)
もしやその足がかりに!?
金丸主人公の「尚円王回顧譚」も是非!!!
ってゆーか、いつか尚徳主人公の舞台も見たい!!
ヒロイン(→国笠)もいることだし!(笑)
(…って、前も書いた気がする!(笑))
写真は再掲載。
百十踏揚の墓(2010年7月撮影)
今はお墓手前の木はありません。