がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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ドッキドキの土器話【1】

2020年02月23日 | ・琉球史散策/グスク時代

 

ちょっと前の事になりますが、
発掘された土器の破片を触らせてもらう機会がありました。

おそらく、900~500年前のグスク土器。

 

土器って博物館に行けば
必ずと言っていいほど展示されているし、
むしろ考古=土器ってくらいメジャーな存在。

だけど色が華やかでもなければ、
本土の縄文土器のように造形がすごいわけでもない。

それが装飾性のないグスク土器で、
しかも破片となればなおさら。
「ああ、土器だね」
で終わるくらい、
正直、無感動で味気ない存在です。

 

実際、

展示されてる土器(の破片)を見て
フゥ~!テンション上がる~!!
ってなる一般人はなかなかいないと思います(^^;)

 

が。

 

ワタシ、上がっちゃったんです。

土器の破片で。

テンションが。

もう、ドッキドキの胸キュンもの。

 

今日はそのお話を。

 

 

 

当然ですが、
昔の土器は「ロクロ」は使いません。

粘土を紐状に伸ばして
くるくると積み上げていき
手でならしていく
「紐づくり」の技法で成形されています。

陶芸の基礎なので
今でも陶芸教室なんかで体験できます。
(例えばこんな感じ

 

 

でね、

本題はここからです。

 

 

触らせてもらった土器の中に、
粘土を積み上げて、
手でならすときについたでろう
指の跡がくっきりついた破片が…!!!

 

おもわず

「ぎゃっ!」

って言ってしまうほど

生々しい指の跡…!

その跡に自分の指を重ねてみると
ちょうどワタシと同じくらいの指の大きさ。

土器の面を挟むように
内側には親指の跡も。

 

他の土器片も注意して触ってみると、
このような指の跡(指圧跡)が
色んな所についていることに気づきます。

 

そうするとね、

なんかわかるんです。

この土器を作った人の人間性というか、

タイプが(笑)

 

4本指がぴしっと揃ってたり
方向も位置もバラッバラだったり
指の先だけでちょんちょんとやってたり
指全体を使ってたり
跡が深かったり
浅かったりetc…

 

紐づくりを実際にやったことある人は分かるかもしれませんが、
こういう所に性格って出るんですよね(笑)

 

500年前か、700年前か、900年前か、
名もなき土器職人の生々しい痕跡。

しかもその体格(指の大きさや長さ)や
性格も分かるようで。

指圧痕に指を重ねることで
何百年もの時を超えて通じ合ったような、
不思議な気分。

気分はまさにコレですよ。

 

すごい!!

土器って
なんて人間臭くて
なんて面白いんだ!!

 

中には
こねた粘土の余りをポイっとした?ような
土塊もあったりして、
それにもくっきりと指圧痕や指紋が(!)

 

考古遺物でこんなにも人間味を感じたのは初めてでした。

 

この衝撃と感動を
色んな人に味わってほしい…!!!

 

 

が、
この指圧痕、見るだけではなかなか気づけません。
正直、触ってみないと分からない。

触って、指を重ねて直接感じられる
展示ができればいいのだけど……

 

土器はもろいため、
不特定多数の人に自由に触らせると
人の手の脂がついたり摩耗したりするので
なかなか厳しいらしいです…。

 

かといって袋越しに触るとかじゃ
生々しさは伝わらないしなぁ…。

 

う~ん、なんとかできないかなぁ…。

 



トップ写真は伊波式土器の臨作。
ドッキドキの土器話【2】に続く。


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