がじゅまるの樹の下で。

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現代版組踊20周年の特別公演:琉球伝信録

2019年08月31日 | ・現代版組踊レポ

 

琉球伝信録

2019年8月25日(日)

てぃるるホール

那覇青少年舞台プログラム+全国の現代版組踊チーム(有志)+OB・OG

 

2日目の朝公演を観劇ました。
(昼公演じゃなくて朝公演!)

 

 

+ + +

 

 

今回の公演は組踊300周年と、
現代版組踊発足20周年を兼ねた特別公演。

1部では平田さんコーナー、
2部が本編・琉球伝信録という2本組。

 

「琉球伝信録」は元々那覇の舞台なので
那覇チームが主ではありますが、
それに全国の現代版組踊チーム、
北海道から石垣までの有志+OB・OG、それに特別出演等が加わって
総勢70名余り(前回の1.7倍!)のスペシャルバージョンでした!

 

見ごたえが増さないわけがない。

 

全国からのメンバーはアンサンブルだけではなく
主要キャストにもがっつりキャスティングされて、

実際に一緒に合わせるのは本番間近になってからだろうに、
(ツイッターで拝見する限り1週間前とか?)
息の合った演技・演舞で、
最初から一つのチームだったように
まっったく違和感ありませんでした。

本当にすごい。

これまでも鬼鷲とか他チームが出演することはあったけど、
全国の10団体が参加して1つの舞台(アトラクションではなく)っていうのは
おそらく現代版組踊史上最大では!?

WOW!!

もう、現代版組踊チームは完全にボーダーレス!!

すばらしい!!

 

最後のメンバー紹介で
各チームごとに紹介&挙手して起立したのは
誰がどこのメンバーなのかがしっかり分かって良かったです!

パンフレットにも明記されてたけど、
実際に舞台上で紹介してくれて、その姿を見たら
より「おお~~~!」ってなる☆

 

 

ストーリーとか構成とか演出とか、
これまで書いてきていることは今回も同じく、
ということで割愛するとして、
今回印象的だったシーンをいくつか。

 

 

@玉城朝薫が組踊誕生に近づく心の移り変わり


国劇創作の重責を担って、悩み苦しみ葛藤する朝薫が
次第に手ごたえを確信していくシーン。
(BGM:星のゆりかご)

その心の移り変わりが、これまでよりもひしひしと、手に取るように伝わりました。

いきなりドカーン!とひらめいて、すぐに組踊ができたわけではなく
朝薫自身が試行錯誤しながらも、
「…うむ」「よし…」「そうだ…!」「これだ!!」と
組踊を作り上げていく様=時間の移り変わりも感じ
次の冊封のシーンへのつながりがとても自然に感じました。

男の子演じる朝薫も久々だー♪

クライマックスのダイナミック琉球では、
やっぱり扇子の振りが見たかったな。
琉球伝信録だけのダイナミック琉球って感じがあって、特別感が出ると思うし
主人公"踊奉行:玉城朝薫"を今一度印象付けられると思うんだー♪
(朝薫は空手をする武人=男群ではなく、文人=女群であってほしい派)

 

 

@完全強硬派の蔡温


対して、女の子蔡温は初めて見たかも!?

今回の蔡温は、迷いや良心の呵責など一切捨て去った完全強硬派。

簡単に言うと、完全敵役、嫌な奴。

おおぅ。

その分、(これまでに比べると)蔡温への好感度はちょっと下がるんだけど、
朝敏連行のストップモーション明け、すぐの
「さっさと連れて行け―!」のバンド音をかき消すほどの全力怒号100%は
メリハリが効いててドラマ性UP、トリハダものでした。

ふむぅ。

こう考えると、弱さを一切見せずに怒鳴る蔡温っていうのも
一切の迷いを振り切り信念をつらぬき通すための表れ…とも思えますね。

 

 

@最高のおじぃ感とサトウキビ感


三司官の…真ん中の人、伊舎堂親方?

現代版組踊ではいっさい外れがないおじいちゃんキャラ(笑)

私がすごいと思ったのは、場面転換しての初登場、
ライトが当たってその姿が見えたその瞬間、
ただ座っているだけ、まだ一言もしゃべってもなく動いてもないのに
その佇まいでそのキャラクターが伝わった事。

首を落とした前かがみの姿勢と、
唇を内側に隠した感じ(はーもー)と、
目をしょぼしょぼさせた表情

それだけですでにおかしみを覚える。
(やはり、佇まいだけでキャラクターを表現すってできる!)

 

サトウキビ畑での他の2人の三司官とのやりとりもサイコーでした(笑)

名護親方も加わって、
はっさもー、じいちゃんじいちゃんしてからにや~(笑)

三司官も、基本、朝薫を良く思わない嫌な奴側なんだけど
おじい三司官をあれこれ世話するから、
何だかんだとみんな微笑ましく見えたよ(笑)

 

薩摩奉行のサトウキビも、
ざわわと自ら歌う前に、手の振りだけで「ざわわ」を感じたし、
「那覇センセイション」のフレーズをぶっこんできてたのも気づいたよ

 

 

って、ここまで書いて気づいたけど、
これらの演者さん、みんな那覇以外のメンバーだ(!)

細かいところまでだいぶこだわって演じてるなと感じたのは
那覇の舞台やその役を、徹底的に研究して努力した故なんだろうな。

なるほど納得。

 

 

もちろん、那覇メンバーも安定の演じ&演舞っぷりでした!

尚敬はまろやかで品のある声で凛としてたし
名護親方もおじいちゃん声だけどしっかり聞こえるいい案内役だったし
朝敏もその無邪気さとかわいさで人気をかっさらってたし。

アンサンブルの小学生メンバーもたどたどしさもなくしっかり踊ってて
これからの成長が楽しみ!

バンドも演奏するのが楽しい!っていうのが伝わる元気さでした。

 

 

@組踊:二童敵討


芸大卒業生による古典披露の演出も久々!

上り口説(の演奏)と、二童敵討。

あまおへ(阿麻和利)含む演者は全て女性の方でした。

(古典)組踊そのものの形式だったんだけど、
後で名護親方がしっかり解説してくれたのでノープロブレム。
(「阿麻和利さん、何言ってるか分からないね~」と…(笑))

披露は一部のシーンだけだったとはいえ、
(古典)組踊に興味を持ったお客さんもいたんじゃないかな!?

これぞ、現代版組踊の妙☆

現代版組踊はミュージカルじゃないの。

「現代版」の「組踊」なの

 

対して、友情出演の波上宮獅子舞保存会の獅子舞は
今回あまり目立ってなくてもったいなかったので、
もうちょっと表に出て来てても良かったな…。
(最後に紹介…も、し忘れてたよね?(^^;))

 

 

というわけで、
盛りだくさんの「琉球伝信録」スペシャルバージョン。

現代版組踊発足20周年の節目に、
全国の現代版組踊チームの底力と可能性を
大いに見せつけてくれた公演でした

 

全国の現代版組踊チームの活躍を
これからも応援しています!

 

 

 

+ + +

 

 

 

ただ、

今回、

残念だったことが一つ。

ごめんなさい、
やはり今後の現代版組踊運営のためにも大事なことだと思うので

書かせていただきます。

 

それは、
第1部の平田さんのパート
(現代の踊奉行・平田大一の夢物語-いろんなゲストとコラボします!30分枠)が、

開演15分前に始まって、
開演5分で終了したこと。

実質20分。

(内容は平田さんソロの「星のゆりかご」と
ゲストとの「ダイナミック琉球」の計2曲)

 

あくまでも開演は10時30分だったので、
15分前(10時15分)に始まっている最中にも
お客さんはどんどん入ってくるし、
ゲストとのコラボも、たった1曲で終わったのは

「え、これで終わり!?(開演前に始まったのは早く来た人のためのサービスじゃなくて!?)」

ってなりました。

 

ええ、わかります。

2部の本編が思ったよりも長くなっちゃって
1部の平田さんの方を短縮せざるを得なかったんですよね?

そして、午後の公演時間の関係で後ろにずらすことはできなかったから
開始を早めるしかなかったんですよね

そんな運営上の事情も、大いに察せますよ。

 

 

でも、

そうなら、

せめて、

前もってちゃんと情宣しなきゃ!

ツイッターでもHPでもブログでも!
すべての媒体で!

こういう事情で開演が早まりますって。
チラシ情報とは変わってしまうけど、ご了承くださいって。

たとえ、時間変更の決定が、公演直前、前日であっても!

見に来るお客さん全てにこの変更を周知させるために
必死になって動かなきゃ!!

(本来なら、予約してる人には全員、直接電話して伝えるべき。
開演時間の前倒しはそれくらい大変で、大事なこと)

 

私はたまたま早めについたから
最初から全部見ることはできたけれど、

もし開演直前に到着してたら(その可能性も十分あった)
平田さんの1部はほぼ見れなかったわけで…。

実際、他のお客さんの中には、そうだった人もいるわけで。

公演時間に間に合わせて来ている人には、
何も落ち度はないのに、
本来見れるべきものの大部分が見れなった、
というのは…いかがなものでしょう?

 

平田さんの1部は今回の公演の特別枠、目玉のひとつだったはずなのに、
このような形になってしまっていたのは
非常に、非常に、残念でした。

そして、披露された2曲はやはり素晴らしかっただけに、
ちゃんと30分枠でもっとしっかり聞きたかったよ…。

 


運営さんへ。

私もこれまでにイベントの主催側だった経験もあるし、
主となって企画したり全体を動かす立場だったことも何度もあるので
運営の大変さも十分わかります。

でも、

公演の「全て」を楽しみにして、
お金を払って、遠方からも見に来ている、
受け取り手=お客さん=第三者の、視点・立場を忘れないで下さい。

お願いします。


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