大分行きの飛行機に乗り込んで
しばらく本を読みながらうつらうつらしていると
客室乗務員さんから
「あれが大阪市内ですよ」と声をかけられた。
今まで、大概飛行機に乗ると、雲で下が見えなくなるし、海の上を飛ぶことが多かったんで、
まったく油断していたよ。
まるで、海岸の岩にへばりつく小さな貝のように、びっしりと建物が建てられているのが見える。
その一つ一つに人々がそれぞれ生活し、喜んだり悲しんだりしてるのかと思うと
少し感慨深い。
白波を立てて走る船も、2万5000フィート上空から見ると
まるで、ミズスマシやアメンボだ。(ほとんど止まってるように見えるけど)
それまでの眠気がふっとび
その後に続く、瀬戸内海の島々や岡山、広島をしばらく眺めていた。
こんな、航空写真のような景色を実際に目にすると、
人間の営みなんて(この地球上を我が物顔で支配してるような気になってるけど)
ホント、大したことないんだなっていう気がしてくる。
―――――
大分に着くと、そこは横浜と違って、ずいぶんとのんびりとした時間が流れてる気がした。
ボクの実家の方面にむかう、空港からのバスは一日に4本しかないし、
バスのチケットも、ホントは降りる時に運転手さんに手渡すはずなんだけど
「あんま、今日はお客さんおらんごたっき、先そき入れちょってんいいで、ガハハ・・・」
(あんまり今日はお客さんがいないようなんで、先にそこに入れておいてもいいよ)
なんて肝心の運転手さんがのんきなこと言ってるし。
実際、大型バスのお客は結局ボク一人だった。
桜がちょうど満開の頃で、山桜がたくさん咲いていて、
行き交う車もほとんどなく、バスを降りるまでじっくりと桜を楽しめた。
なんだかすごくリフレッシュできた気がするよ。
今回は用事があって帰ったんだけど
たまにはこうした一人旅も悪くないもんだね。