心象のはいいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲(てんごく)模様
(正午の管楽よりもしげく
琥珀のかけらがそそぐとき)
いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
唾(つばき)し はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
(風景はなみだにゆすれ)
砕ける雲の眼路(めぢ)をかぎり
れいらうの天の海には
聖玻璃(せいはり)の風が行き交ひ
ZYPRESSEN 春のいちれつ
くろぐろと光素(エーテル)を吸えば
その暗い脚並からは
天山の雪の稜(かど)さへひかるのに
(かげろふの波と白い偏光)
まことのことばはうしなはれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
(玉髄の雲がながれて
どこで啼くその春の鳥)・・・・
―――――――
まだまだこの詩は先があるんだけど
長いんで後半部分はちょっと端折ります。
ボク自身「木の芽時」に、こんな気分になることはしょっちゅうだったんで
自分が「修羅」と化してるっていうのはよくわかる気がする。
ちょうど今みたいな季節だよね。
なんかイライラして落ち着かなくて不安定な感じになる人って
けっこう多いんじゃない?
生き生きといろんな動物や植物が活動を始めてるのに
自分だけなんか取り残されてるような、
外に出て行きたいのになかなか出て行けないような、
上手く言えないんだけど、そんな不安感。
そんな状態を、この詩はうまく表現できてるような気がする。