この岳に生きる

「この岳に生きる」とは僕の所属する山岳救助隊の記念誌の題名です。 北アルプス飛騨側で山と共に生きている僕の見た風景です。

生還

2008年01月21日 | 山岳救助

Pap_0112 ぽっかり雲の上に笠ヶ岳が浮かんでました。

朝から地元の冬のイベント「かまくらまつり」に向けての準備に出ていた。かまくらを作り始めて1時間、西穂高で行方不明者がいるという連絡が入り、早速仲間と共に捜索に向った。

下界は雲に覆われていたが、ロープウェイで2000mを越すと雲の上に出てピーカンの天気だった。

Pap_0117 快晴無風でした

深い雪の中を捜索をしながら、西穂山荘方面へ向かった。途中、トレースから外れた、跡がないか目を凝らしたが昨夜の降雪で跡は消えかかっていて、なかなか手がかりが見つからない。

山荘に到着し、従業員の方に行方不明者についての情報を聞き、引き返す事にした。今日は駄目かと、諦めかけてロープの駅に着いて一息入れた頃、ロープの従業員の方が、下のほうでそれらしき人を見た。という話しがあり、俄然皆モチが上がった。夕闇迫る頃早速ヘリが濃いガスの中その方面を捜索し始めた。捜索を始めて約10分、遭難者を発見した。暗くなるギリギリだった。よかった!生きている。西穂から下山中道に迷い、一晩ビバークし、なんとか自力で下山をしていたらしい。体力は消耗しているが元気であった。携帯電話を持っていれば、連絡もつき家族も安心できたはずだが、なにわともあれ無事発見でよかった。