はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

作業道と根の関係

2017年06月28日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 針葉樹の根と広葉樹の根の特徴と違いを、作業道に絡めてお話したいと思います。

 針葉樹と広葉樹、それぞれの根の特徴を簡単に説明します

■一般的に、針葉樹の根は、樹体を支える太い根を、斜面下側(谷側)に発達させ、土壌に突き刺すように(踏ん張るように)して、樹体を支え、根の範囲は狭い。

■一般的に、広葉樹の根は、樹体を支える太い根を、斜面上部(山側)に発達させ、扇形のように広がり、ワイヤーロープで樹体を支えるような形で、根が広がっており、根の範囲は広い。

 

 この特徴を踏まえると、

 スギやヒノキの根は、斜面下側に広がります。

 土を切り取ると、今まで、樹体を支えていた場所(土)がなくなるので、切土側の針葉樹は倒れやすい。

 足下を支えていた土壌が削られるので、崩されやすいと考えてください。

 上の写真で言えば、赤い線に作業道をつけるとした場合、上側のヒノキは、樹体を支えていた根の場所が削り取られ、樹体を支える根も損傷してしまいます。

 もし、仮に、このヒノキが広葉樹だった場合、根は斜面上側に広げ、ワイヤーロープで樹体を支えるように根が発達しているので、ヒノキよりは倒れにくいと考えられます。

 ただし、広葉樹の場合、枝葉を路面側へ広がるように成長する傾向にあるので、作業道上空に伸びた枝葉が、運搬に影響を与える可能性があります。

 

 写真と逆の場合、盛土側というか路面下側(谷側)の場合。

 スギやヒノキの踏ん張るような根、土壌に突き刺すような根は、路面下側に発達しているので、針葉樹の根は杭の役目になり、作業道を支える役目になると考えられます。

 一方、広葉樹の根は、逆に作業道の路面に樹体を支える根が伸びている可能性が高いと考えられるので、トラックや林内作業車が走行することで、踏圧による根の損傷や衰弱によって、樹体が支えられなくなり、作業道の路面を壊しながら倒木する可能性があります。

 

 図にすると、こんな感じで、一応、切り土によって影響を受ける根を表現してみた・・・つもりです。

 道上の針葉樹と広葉樹。

 

 針葉樹は元々、斜面下側に体重がかかっているので、倒れやすい。

 広葉樹は、斜面上側に伸びた根が樹体を引っ張るように支えているので、倒れる可能性が非常に低い。

 

 次に、道下の針葉樹と広葉樹。

 

 針葉樹の根は、斜面下側に体重がかかっているので、杭のような役割を果たし、作業道を支える。

 広葉樹の根は、斜面上側に根を伸ばしているので、切土の際に根を大きく損傷する可能性があります。

 また、作設した路面の真下に根があり、トラックや林内作業車が走行することで、路面踏圧によって、根が損傷・衰弱し、結果、倒木する可能性もあります。

 

 あくまで、一般的な針葉樹の根と広葉樹の根の違い・特徴によるものですが、それを理解することで、作業道の破損リスクを減らす事に繋がるのではないかと思います。

 現場の方々は、学的なことを理解せずとも、経験で理解されていると思いますが、こういう点を知った上で、現場を見ると、さらに視野が広がるのではないかな~・・・なんて、思います。

 

 そして、もう1つ。

 崖縁に生えた針葉樹は、下側(谷側)に根を広げたくても、土がないと広げられません。

 その時は、広葉樹のように上側(山側)に根を広げます。

 しかし、下の写真のように、下側(谷側)に土があれば、根を広げります。

 現在の作業道は、搬出間伐や主伐の際に作設しますが、10〜15年生のような若い人工林の時に、作業道を作設すれば、根が太く発達する前なので、根のダメージも少なく、倒木等による作業道の破損リスクも下がると考えられます。

 今まで、作業道のない環境で育った50年生の人工林に道を作れば、「50年間一度もなかった作業道ができた」という急激な環境変化に、人工林は対応することができません。

 逆に10~15年生の若い人工林で、道を作ると、その後、作業道のある環境に適応する形で人工林は成長していくと考えられます。

 つまり、切土側に生えているスギやヒノキも、倒れにくいように根を成長させていきます。

  これからは、作業道のある場所で植栽されると思うので、作業道とマッチした人工林が育つのではないかと思います。

 

 と、根拠もなく、樹木の基本的な特徴と作業道を見てきた経験から、書き綴ってきましたが、実際に、作業道に適応した人工林もあります。

 このように根が成長するので、より作業道も安定すると思います。

 こういう現場を踏査して、作業道の作設時期に適した人工林の林齢を関連付けることができたら、適切な時期を示せるかも知れませんね・・・。

 

 とはいえ、作業道が損壊・破損するリスクは、水との関係が一番なので、樹木の関係がどの程度、リスクを下げられるかは不明ですが・・。

 でも、何か1つをいい加減にすれば、手痛い目にあうのも自然の力です。

 

 山は、樹木(だけに限りませんが)と言う生き物1本1本が集まった環境なので、その山を相手にするなら、樹木を理解する力って、大切ではないかな~と思っています。

 林業は、山を相手する仕事ですが、実際は、樹木1本1本をコントロールして、山を作っているわけですから。


巻き枯らし

2017年06月07日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 樹皮をグルッと剥いて、木を枯らす「巻き枯らし」。

 至極単純な方法で、伐採する技術を要しないので、森林整備として、取り入れている方もおられるかと思います。

Makigarashi

 木が枯れるので見た目が悪い・・・という欠点があります。

 また、スギやヒノキなどの材質劣化を招く、病害虫の温床になる可能性もあります。

 

 枯れるまで長い時間を要するものの、山の中で朽ちた木は、危険要因の1つとなるので、巻き枯らしをしたエリアは、赤いテープなど目立つような印を残すことが大切です。

 誰も入ってこないと思うような山奥でも、個人の山でも、誰かが山に入る可能性も0ではないので、そういう方への注意喚起はもちろんのこと、再び、自分がそのエリアに訪れたとき、不用意に近づかない安全対策にもなります。

 

 「巻き枯らし」を難しく言うと「環状剥皮(かんじょうはくひ)」と言います。

 環状剥皮は、大きな木を移植するときに、根を切る際に、新しい根を出させるためにも使われる技術の1つです。

 あと、取り木をするときにも使われます。

 簡単に説明すると、形成層ごと樹皮を剥いて、そこに発根促進剤(オーキシン剤)を塗布し、乾燥しないように水ゴケなどを入れて、ビニールで覆います。

 発根した部分から根や枝を切って、移植したり、取り木苗として植えたりします。

 

 森林整備のために応用された環状剥皮、いわゆる「巻き枯らし」。

 昔から日当たりを良くするためにやっていたようですが、枯れた木は、いつ倒れたり、幹が折れたりするかわからないので、建物の近くや道路付近などでの巻き枯らしは控えた方がいいと思います。

 器物破損などに繋がる可能性もありますので・・。

 

 さて、この「巻き枯らし」。

  ”樹皮を剥くことで、形成層が死んで、枯れる。”

  ”樹皮を剥ぐことで、形成層が損傷し、養分が行き届かなくなって枯れる”

 

 などと言われますが、実は違います。

 

 枯れる本当の原因は、「辺材が乾燥するから枯れる」です。

 辺材は水分を運ぶという役割を持っています。

 樹皮を剥くことによって、辺材が乾燥し、その役割を十分に発揮できなくなり、枯れてしまいます。

 なので、樹皮を剥いても、辺材が乾燥しなければ、剥かれた部分を修復しようとします。

Makigarashi_kaihuku←樹皮を剥かれたクヌギ。剥かれたところが修復されています。

 修復という点では、スギやヒノキなどの針葉樹は、広葉樹より不得手なの、再生が上手くできず、枯れていますが、広葉樹では剥かれた樹皮を再生し、枯れずに生き残っているものもいます。

 意外と誤解されているのですが、巻き枯らしで枯れる理由は「辺材が乾燥するから」です。


天然更新による針広混交林化 広葉樹林化

2016年11月19日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 木材価格低迷などの影響もあり、スギ・ヒノキ人工林の針広混交林化・広葉樹林化を進めている方もいらっしゃるかと思います。

 これまで天然更新に関するお話をしてきましたので、今回は、これまでのまとめということで、天然更新による人工林の針広混交林化・広葉樹林化についてお話したいと思います。

※天然更新に関する記事について、今回、初めてご覧いただく方は、こちらからどうぞ → 遷移

 

 現代における針広混交林化・広葉樹林化の目的は環境志向がほとんどかと思います。

 人工林を伐採後、放置すれば天然更新が進み、針広混交林化・広葉樹林化が完了する・・・というものではありません。(もちろん、完了する場合もありますが・・。)

 

 まず、針広混交林化を図る場合、強度間伐を行う例が多いと思います。

  強度間伐→

 間伐した空間に広葉樹を誘導するわけですが、周辺に種子を供給する「母樹」や土壌中に休眠する「埋土種子」がないと、広葉樹の誘導は進みません。

 まったく何も生えないということはありませんが、高木性の広葉樹が生えるには、かなりの年数がかかると思います。

 また、ヒノキ林の場合、強度間伐を行うと、林内の乾燥が進み、樹勢が衰退し、マスダクロホシタマムシなど害虫被害の発生や枯死する場合があるため、何でもかんでも強度間伐を行えば、良いというものでもありません。

 陽当たりの関係や土壌の性質などの環境によって、なので、強度間伐は人工林を衰弱させてしまうリスクというものを抱えています。

 

 天然更新は「天然下種更新」と「萌芽更新」に大きく分けられますが、一般的に言われている天然更新は「天然下種更新」を言います。

 天然下種更新は「側方天然下種更新」と「上方天然下種更新」に2種類に分けられ、前者は風によって種子を散布する更新方法で、後者はドングリなどのように落下して行う更新方法です(ネズミなどの小動物が運ぶ場合もあります。)。

 天然更新で、広葉樹林化・針広混交林化を進める場合は、種子の供給源となる「母樹」と土壌中に休眠する「埋土種子」が重要となってきます。

 

 周囲に広葉樹もなく、スギ・ヒノキ人工林しかない場合・・・

 母樹がないので、種子が運ばれてくる可能性も低いと思います。

 埋土種子は、ほとんどが鳥によって散布されます。

 鳥は、種子と一緒に糞を排泄することで、種子を散布しているわけですが、鳥は飛びながら糞をすることは出来ません。

 必ず何かに立ち止まらないと糞をすることができません。

 スギやヒノキの実(種子)は、鳥が好む実(種子)ではないので、鳥が立ち止まる機会も、立ち寄る機会も少なく、結果、人工林内に埋土種子が運ばれる可能性が低いと考えられます。

 鳥は果肉質の種子を好むので、ヤマザクラ、エノキ、ムクノキ、クスノキ、クマノミズキなどが間に生えていると、埋土種子が運ばれる可能性が高いと考えられます。

 埋土種子の中には、伐採後、直ちに発芽するものが多いので、広葉樹林化・針広混交林化が進む1つの要因となります。 

 

 側方天然下種更新は、風によって種子を散布(風散布)し、天然更新を図ります。

 下図のように風散布の母樹林と隣接する人工林があった場合・・・

 〇=母樹、△=人工林

 風散布の散布範囲は、樹種によりますが、20~30m程度で、長距離で100m程度とされています。

 なので、母樹から100m内外の範囲は天然下種更新、それ以外は植栽が必要になると考えられます。

 ちなみに、植栽が必要なエリアに埋土種子が存在すれば、植栽の必要もなくなる(少なくなる)というわけです。

 下図で言うと、黄色の点線が天然下種更新箇所、水色の点線が植栽箇所。

 

 逆に、人工林を囲むように風散布の母樹林があれば、側方天然下種更新による広葉樹林化・針広混交林化が図れる可能性が高いと思います。

 

 母樹が多ければ多いほど、種子もたくさん供給されるので、上図の様な条件であれば、人工林の広葉樹林化・針広混交林化もスムーズに進むかもしれません。

 

 上方天然下種更新は、ドングリなどが落下することで種子を散布する更新方法なので、風散布よりも種子の散布範囲は狭く、樹冠の端から数mとされています。

 下図のように、人工林内に母樹があった場合。

  散布範囲はこんな感じ→

 下図で言うと、黄色の点線内が上方天然下種による更新可能箇所、水色の点線内が植栽が必要な箇所。

 下図は混交林化をイメージしたものなので、水色の点線は小面積皆伐になります。

  

 上方天然下種更新の母樹は、種子散布の範囲が狭いので、通常の皆伐だと、かなりの母樹を残さないと、ほとんど更新しない可能性が高いと思われます(間伐程度が良好かと思います)。

 現場にある母樹、その母樹が生産する種子の散布範囲を考慮した上で、伐採率を検討したり、植栽の有無を検討する必要があります。

 もちろん、埋土種子が存在すれば、植栽を省略できる可能性はありますが・・・。

 

 天然更新で広葉樹林化・針広混交林化を進める場合、その林分に存在する母樹や保存する母樹などを調査する必要があります。

 天然更新はマニュアル化ができず、現場現場に応じて対応しないといけないので、結構、複雑ですし、これまでの人工林育成とは異なる知識や技術も求められます。

 単に伐採して、放置すればよいというものではなく、事前調査を行い、天然更新の計画を立てる必要があります。

 日本は、温暖多雨で四季があるという非常に恵まれた環境にあるため、植物が繁茂しやすく、植生も非常に豊富です。

 しかし、植物が繁茂しやすいという環境が、天然更新の阻害要因にもなっています。

 日本における人工林では、播種造林の成功例はほとんどないと言われています。

 航空種子散布という方法も実施されたそうですが、成功した事例はないそうです。

 

 日本における森林の更新は、植物同士の生存競争と向き合わないといけません。

 この競争関係を少しでも有利にするため、初めから一定の高さに成長した苗木を植える「植栽」という手法が、一般的になったと思います。

 播種造林は、他の植物に被圧されるだけでなく、種子が虫や動物に食べられたり、雨に流されたりといったリスクもあったため、普及しなかったと言われています。

 天然下種更新も播種造林と同じで、ただ人が行うか、自然に任せるかの違いです。

 人工林における播種造林が、上記の理由により困難であるたように、天然更新も同じように困難な部分が考えられ、単に放置すればいいというものではありません。

 また、天然更新を確実に成立させるためには、地掻きや下刈りなど更新を補助する作業も必要です。

 

 と、調査が必要だの、施業が必要だのとダラダラ述べましたが、あくまで理屈の話、机上の話なので、実際に1つ1つの現場で実践していくことは難しい。

 架線集材の場合、搬出に支障を与える立木は、支障木として伐採していると思いますが、その支障木が天然更新を行う上で、重要な母樹である可能性もあります。

 スギやヒノキを搬出する際、サクラなども搬出する場合もあると思いますが、サクラは、埋土種子を運んでくれる鳥を招く樹木でもあります。

 普段、何気なく行っている作業の中で、天然更新のキーマンを伐採しているかもしれません。

 高性能林業機械で搬出間伐をする際、合間合間に地掻きを行って、風で散布された種子が発芽しやすい、成長しやすい環境を整える・・・というのも重要かと思います。

 人工林を広葉樹林・針広混交林に転換したい、もしくは将来的に転換も視野に入れたいとした場合、主伐や間伐で行う作業の中で天然更新に必要な作業を取り入れることが、1つのポイントになろうかと思います。

 また、主伐や間伐の調査を行う際に、母樹や埋土種子の調査も同時に行うことも重要なポイントになると思います。

 とは言え、目の前の作業を効率良く行い、生産性も上げていかないといけないので、理解していても現実的に難しい部分は多々あると思います・・・。

 

 これからは、天然更新で広葉樹林化・針広混交林を進めるため、こうした植生などに詳しい人が現場の作業員に直接、指導・監督する体制を整える必要があるかと思います。

 天然更新のコーディネーターみたいな?

 

 ちなみに、各都道府県の行政が天然更新の完了基準というものを定めていると思います。

 たぶん3~5年の間に一定の樹高と密度を満たすよう定められていると思います。

 おそらく、その基準を満たすには、種子散布の範囲が大きい「側方天然更新」、伐採後、直ちに発芽する「埋土種子」、伐採地に真っ先に侵入する「先駆性樹種(パイオニア)」、日当たりの強い環境を好む「陽樹」といった特徴をもつ樹木が重要になってきます。

 少なくとも、ブナなどのように成長が遅く、種子散布も広範囲でない樹木では、完了基準を満たすことは難しいと思います。

 一定の基準を満たすことができる天然更新が可能なエリアと植栽が望ましいエリアを区分するなど、天然更新も計画性が求められます。

 

 と、長文でダラダラと書き綴りましたが、僕がお伝えしたかったことは、「伐採して、そのまま放置すれば、天然更新が完了するものではない」ということです(シカの食害という問題も加わりますし・・・)。

 

 放置しても天然更新が成立する場合もあります。

 地掻きなどの施業を行わないと成立しない天然更新もあります。

 どの林分でも放置すれば天然更新が成立するというものではなく、その林分の環境に適したそれぞれの天然更新があるとお考えいただきたいと思います。

 天然更新のコストが、0で成立するのか、ローコストに抑えられるのか、ハイコストとなるのか、それはその林分の環境などを把握しないと見えてこないと思います。


天然更新に必要な施業

2016年11月12日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 前回、天然更新施業の流れについて、簡単にサラッとご紹介しました。
 今回は、天然更新の施業の中でも重要な「下刈り」や「地掻き」といった更新補助作業について、少し詳しく説明したいと思います。

 

 天然更新は、種子の供給源となる「母樹(ぼじゅ)」や後生稚樹(伐採後に定着する稚樹)となる「埋土種子(まいどしゅし)」、あと前生稚樹(伐採前から定着している稚樹)の存在がとても重要です。
 しかし、母樹や埋土種子が豊富に存在していても、それぞれの樹種によって発芽条件や生存条件が異なります。
 なので、伐採林分を発芽などの条件に適した環境に整える作業が必要となり、その作業が「下刈り」や「地掻き」になります。

 2つ前の記事でご紹介した天然更新対象樹種の類型である「カンバ型」、「ブナ型」、「シラベ・コメツガ型」に分けて、下刈りなどの必要性について、お話したいと思います。

「カンバ型」の場合
 カンバ型は耐陰性が低く、明るい光がよく当たる環境で速く成長する樹種(早生樹)が含まれます。
 なので、母樹を残し、稚樹が定着できる明るい環境を整える必要があります。
 種子は軽く、風によって広く散布(風散布)するタイプの種子です。
 そのため、種子は小さく、芽生えも小さいので、発芽場所の条件が、発芽後の生存と成長に大きな影響を与えます。
 なお、カンバ型は「側方天然下種更新」なので、伐採林分に隣接する場所、または伐採林分内に母樹を残す必要があります。
 土壌が露出した部分では、種子の定着と成長が良く、草本・低木類・ササが密生するところでは、定着し難いため、伐採の際には、ある程度、土壌を露出させる必要があります。

←草本などの覆われたり、枝条が積みあがった場所では発芽しにくい。

←下刈りを行い、土壌を露出させると発芽しやすい。

←枝条などを除去し、地掻きを行うと発芽しやすい。

 種子の結実時期は、樹種によって異なりますが、ほとんどは秋季に結実し、種子が散布されるので、下刈りなどの更新補助作業は、8月までに完了させる必要があります。
 その後の成長を良くするためには、草本やササなどの繁茂具合で下刈り作業を行う必要も出てきます。

「ブナ型」の場合
 ブナ型の稚樹は、カンバ型よりも耐陰性が高いので、暗い環境の林内でも稚樹は存在していますが、稚樹の成長にはある程度の光が必要となるため、林冠を疎開し、林床が明るい環境を整える必要があります。
 伐採前の暗い林分でも稚樹は存在するものの、その稚樹の密度は低く、更新としては不十分なので、後生稚樹の発生を期待することになります。
 なので、母樹を残し、後生稚樹の定着と成長&前生稚樹の成長が促進できる林床が明るい環境を整える必要があります。

 種子は重く、地面に落ちて斜面を転がるように種子を散布(重力散布)する、またはリスなど動物によって散布(動物散布)するタイプの種子なので、広い範囲で種子を散布することができません。
 そのため、カンバ型よりも多く母樹を残す必要があり、「上方天然下種更新」なので、伐採林分内に母樹を残す必要があります。
 ちなみに、伐採林分に隣接する場所に母樹を残しても、種子の散布範囲は狭い(樹冠の端から5mくらい)ので、天然更新は進みません・・・。
 ブナ型の種子は、発芽に必要な栄養分が含まれているので、カンバ型のように地掻きまで行う必要はないかと思います。
 コナラやクヌギなど成長の早い樹種の場合、下刈りが省略できる場合もあるので、樹種の成長速度と草本・低木類・ササなどの繁茂状況を見ながら、下刈りの有無を判断する必要があるかと思います。

下刈りは繁茂状況と成長に応じて。

 ブナ林の場合、林床がササという場合がほとんどです。
 そして、ササの密生はブナ更新の阻害要因となります。
 ブナ林の天然更新は、「択伐で林床を適度に明るくする」、「母樹を多く残し、種子を散布させる」、「下刈りなどでササの繁茂を抑制する」という点が重要とされています。

「シラベ・コメツガ型」の場合
 大概の針葉樹は(アカマツなどの陽樹は違います。)は、この部類に当てはまります。
 耐陰性が高いので、発芽の生存率も高く、数十年間も生存している稚樹もあるため、前生稚樹が豊富に存在します。
 伐採で林床を明るくすることで、徐々に成長し、更新することが可能となります。
 ちなみ、前生稚樹の密度は、土壌条件の影響を受ける林床植物と密接な関係があるとされています。

 針葉樹を天然更新したい場合、伐採面積を小さくし、前生稚樹に適度な光が当たるような環境を整える必要があります。
 大面積で伐採すると乾燥で前生稚樹が枯死したり、カンバ型の樹種が侵入したりすることもあります。
皆伐すると前生稚樹が枯死することも。

皆伐するとカンバ型の樹種が侵入することも。

 なので、伐採方法は帯状伐採、小面積皆伐、単木的択伐が適切で、多くの前生稚樹を残し、成長を促す必要があります。

←帯状伐採

←小面積皆伐

←単木的択伐

 

 天然更新対象樹種の類型が「カンバ」・「ブナ」・「シラベ・コメツガ」となっている時点でお気づきだと思いますが、「これって、冷温帯や亜高山帯といった東北地方~北海道の森林のことじゃないの?」と疑問に思う方がほとんどだと思います。

 おそらく天然更新が実現できたのも東北や北海道で、また、それに関する研究や事例も東北や北海道が中心だったからではないかと思います。

 しかし、暖温帯や常緑樹林であっても、基本的な考え方は変わりません。

 温暖な地域の森林であっても、「カンバ型」に当てはまる樹種(アカマツ、ノグルミなど)、「ブナ型」に当てはまる樹種(シイ、カシなど)「シラベ・コメツガ型」に当てはまる樹種(ヒノキ、ツガなど)はあります。

←アカマツ ←コナラ ←モミ

 当然ですが、どの樹種がどの類型に当てはまるのかという判断は、スギやヒノキを扱ってきた分野とは異なる専門的な知識が必要になってきます。

 天然更新は伐採後、そのままにしておけば成立する・・・というものではありません。

 一番手間がかからず、低コストというイメージを持たれている方もいますが、実際は、母樹の残し方、伐採方法や伐採率、伐採後の状況に応じた施業方針など、植栽よりもコスト増ということも十分に考えられます。

 天然更新によって、どのように森林を作り上げていくのか。

 木材生産を目的とするのか。

 特用林産物の生産を目的とするのか。

 景観を目的とするのか。

 広葉樹林化など樹種転換を目的とするのか。

 目的によって、伐採方法も検討しないといけません。

 そして、単に行政が定める天然更新完了基準を満たすことが目的であったとしても同様です。
 定められた期間内に、定められた密度と樹高を満たすには、「カンバ型」「側方天然下種更新」「先駆性樹種(パイオニア)」が一番効果的だと思われます。
 しかし、すべての伐採林分が「カンバ型」「側方天然下種更新」が可能で、「先駆性樹種」が存在しているわけではありません。

 種子の供給源となる母樹は存在するのか。
 先駆性樹種となる埋土種子は存在するのか。
 それを事前に把握することも重要です。

 結果的に天然更新が一番コスト高という可能性もあります。(実際は、天然更新が手を抜きやすいという悪魔の囁きがあると思いますが。)

 個人的に、「コストをかけるほど天然更新の成林率は上がる」と思っています。
 が、目的や見据えるゴール地点によって、異なるので一概には言えません・・・
 でも、スギやヒノキの人工林を・・・「広葉樹林化する」、「針広混交林にする」場合は、かなりコストをかけないと成立しないと思っています(ん~コストをかけても成立しないかもしれませんが・・・)。
 と、話がズレてきたので、この話はまた次回・・・別の機会に・・・。


 一応、図を取り入れて、下刈りや地掻きが天然更新に必要な施業であることを、分かりやすく説明したつもりです・・・・が、
 逆にややこしかったら・・・・これが自分の限界なので、ホント、申し訳ございません。ご容赦下さい・・・。


天然更新施業

2016年11月06日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 天然更新は、伐採後、そのままにしておけば、自然に樹木などが生えて更新する・・・という都合の良いモノではありません。

 天然更新が成立する確率を上げるために必要な施業というものがあります。

 一般的な天然更新の施業について、順番に説明したいと思います。

 (注意!)ここで説明する施業は、基本的に天然林の伐採後に行う天然更新の施業となっています。スギやヒノキなどの人工林(一斉林、単一樹種で構成された森林)を伐採した後に行う天然更新の施業は、これらの応用がさらに必要になると思います。(注意!)

 

1.伐採箇所の調査

 伐採前(伐採3~4年間前)に、伐採箇所の全てまたは一部を調査します。

 伐採箇所の林分を構成している樹種やサイズ、前生稚樹(伐採前に生えている稚樹)の有無、サイズ、密度などを調べます。

 調査結果を基に、伐採後の天然更新でどのような山に仕立てるのか、その林分目標を設定します。

 また、伐採する立木や保残する立木を決める資料にもなります。

 同様に、人工林の場合も、伐採対象林分内やその周辺林分の母樹や前生稚樹の位置や樹種、サイズ、密度などを調べます。

 この林分が、「上方天然下種更新or側方天然下種更新」、「カンバ類型orブナ型orシラベ・コメツガ型」といったどの特徴に当てはまるのか、その組み合わせは?・・・という検討資料にもなります。

 

2.伐採木と保残木の選木

 確実な天然更新を行うため、必要でとても重要な作業です。

 基本的には、母樹や中小径木を保残木とし、それ以外は伐採木とします。

(←モミは用材。ヒメシャラは床柱に〈昔は・・・。〉)

 選木は熟練のいる重要な作業とされ、樹種/形質/成長具合/病害虫/位置関係などを判断材料に個々の立木ごとに判定していきます。

 伐採率も個々の林分状況におうじて決める必要があるので、何%と決めがたい部分があります。

 というのも、森林が再生できる伐採率にしないといけないので、低くければ前生稚樹が成長しなかったり、後生稚樹が発生しなかったりすることも考えられます。

 逆に、伐採率が高すぎると目的外の樹木や草本類が侵入してきます。

 どの程度、伐採するのかによって、「遷移をコントロールする」ことになるので、教科書やマニュアルのように伐採率を示すことができません。

 なので、調査結果をベースに現場に応じた伐採率をその都度決めることになります。

 人工林を皆伐する場合も、なるべく広葉樹は残した方がいいです。

 林縁部の広葉樹はもちろん、伐採地の所々に広葉樹を残すことで、それが母樹となり、鳥の止まり木にもなります。

 鳥が止まれば、種子を運んでくれるので、より稚樹が定着しやすくなります。

 特にヤマザクラなど果肉質の実ができる樹木を残すと、鳥が集まりやすくなります。

 ヤマザクラを材として搬出すべきか、天然更新のキーマンとして残すか、といった選択も考える必要があります。

 

3.伐採

 保残木を傷つけないよう伐採と搬出を行います。

 

4.残存木の確認

 保残木が当初の予定通り残っているか、伐採と搬出時の損傷の有無を調べます。

 

5.補助作業

 日本は四季があり、降雨量も安定しているので、植相・植生が豊富な国です。

 その反面、多種多様な植物が繁茂するため、天然更新の阻害要因にもなります。

 繁茂の状況次第で、下刈り、地掻きなどの地表処理を行い、稚樹の定着や成長を促進させる必要があります。

 この作業が何年続ける必要があるのかという点も、繁茂状況や稚樹の成長との関係を見ながらになります。

 あまり繁茂していないのに稚樹が少ない場合は、人工下種や植栽する必要があります。

 人工林の場合、枝葉を取り除いた木材を搬出する「全幹集材」と枝葉を付けたまま木材を搬出する「全木集材」という方法がありますが、全幹集材は枝葉を林地に残すため、更新阻害の要因となる可能性があります。

(←全幹集材)

 ちなみに林地保全の観点では、林地に枝葉が残らない全木集材よりも林地に枝葉が残る全幹集材の方が優れています。

 

6.成長と更新状況の調査

 稚樹が下層植生よりも高く成長し、稚樹の密度も高いと更新完了と言えます。

 更新不良の場合は下刈り、地掻きなどの地表処理、人工下種、植栽を行う必要があります。

 

7.林分改良

 伐採後に生えてきた樹木のうち、目的外の樹木の繁茂を抑制し、目的の樹木の成長促進を行います。

 この作業で目的樹種の多い森林に誘導していきます。

 ただし、木材生産や高蓄積林分を目的とした一斉林に近い林分を目指したい場合は、この作業は不要となります。

 

 以上、1~7が一般的とされる天然更新の作業です。

 とは言え、実際の現場では、ここまで丁寧に実践することはかなり難しいと思います。

 伐採者が森林を所有する林業会社なのか、森林組合なのか、素材生産業者なのか、によって、どこまで手をかけることができるのかという点で、金銭的なことも含め、これらの施業を実践するためにある程度の制限もかかってくると思います。

 施業のマニュアル化はとても重要ですが、それをそのまま現場で実践できるか否かという問題もあります。

 しかし、今後、人工林を伐採し、再造林のことを考えると、天然更新という選択肢も視野に入ってくると思います。

 その際には、伐採したまま放置することが天然更新ではないということ、天然更新を成立させるために必要な施業もあるということを知っておくことは大切だと思います。

 特に母樹や前生稚樹を残すことも重要です。

 また、将来的に天然更新を行いたい場合、少しでも天然更新の成功率を高めるため、埋土種子を確保することも重要です。

 埋土種子を確保するためには、鳥が集まる樹木を配置する必要があります。

 スギ・ヒノキ林は鳥が好む木の実を付けないので、採りを集めるためには、ヤマザクラのような果肉質の実を付ける樹木を配置することも、天然更新の成功率を上げる要因となります。

 天然更新は、遷移をコントロールする必要があります。

 そのためには、ある程度のコストが必要になります。

 天然更新は、コスト0とかローコストのように感じますが、確実に更新したい場合は、育林コストをかける必要があります。

 

 伐採後、そのまま自然に任せればいい・・・と言いきれるほど、天然更新は簡単ではないと思います。

 人工林皆伐後は、天然更新が成立することはとても難しいと思っています。

 正直なところ、天然更新ではなく、植栽すべきと思っています。

 まずは植栽を計画したうえで、天然更新が可能と思える部分を調査し、その可能性を見出したうえで、部分的に天然更新が可能なところは天然更新で、それ以外は植栽・・・という方法がいいのではないかと思っています。

 

※記事「天然更新に必要な施業」へ続きます。※


天然下種更新 更新対象樹種の類型

2016年10月27日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 前回、天然下種更新の種類として、「側方天然下種更新」と「上方天然下種更新」について、お話しました。

 今回は、天然下種更新の対象となる樹種に関するタイプ分けについて、お話したいと思います。

 

 天然下種更新の対象樹種は「カンバ型」、「ブナ型」、「シラベ・コメツガ型」の3タイプに大きく区分されます。

 

1.カンバ型

 カンバ類、ハンノキ類、カラマツ、アカマツやクロマツなどの2葉マツ類といった先駆性樹種(パイオニア)と呼ばれる樹種がこれに分類されます。

 種子は風散布で、広範囲(約100m内外)に飛散されます。

(側方天然下種更新が当てはまります。)

 陽樹で耐陰性は小さく、稚樹は林内でほとんど発生せず、前生稚樹(伐採前の稚樹)も林内にほとんどありません。

 稚樹は、伐採後に定着(後生稚樹)するため、更新する場合は、母樹を点状・群状・帯伏という形で保残し、地表処理も行う必要があります。

(点状のイメージ)

(群状のイメージ)

(帯状のイメージ)

 カンバ型は、前生稚樹からの更新は期待できないので、後生稚樹が定着できるよう、明るい環境を整える必要があります。

 また、種子は風散布なので、残す母樹は、地形や風向きを考慮することも重要です。

 

2.ブナ型

 シイ、カシ類、ブナ、ミズナラ、タブノキなど極相樹種または準極相樹種となる広葉樹がこれに分類されます。

 種子は重力散布で、樹冠の端から数m程度範囲で散布されます。

(上方天然下種更新が当てはまります。)

 耐陰性は中庸で、稚樹は林内で発生するものの数年間のうちに消失するものが多いため、林内の前生稚樹も少ないです。

 稚樹は、伐採後に定着(後生稚樹)するものがほとんどで、もちろん前生稚樹が伐採後に成長するものもあります。

 なので、更新する場合、母樹はカンバ型同様、点状・群状・帯伏という形で保残し、地表処理も行う必要があります

 一応、前生稚樹が生存している可能性もありますが、メインは後生稚樹による更新です。

 カンバ型の樹種よりも耐陰性は高いですが、稚樹の成長には、ある程度の光が必要なので、林床を明るくする必要があります。

 また、カンバ型の樹種と異なり、重力散布なので、種子の飛散距離が小さいため、カンバ型よりも母樹を多く残す必要があります。

 

3.シラベ・コメツガ型

 ヒノキ、アスナロ、モミ、トドマツ、ツガ、コメツガ、トウヒなど極相樹種となる針葉樹がこれに分類されます。

 種子は風散布で、カンバ型ほど広範囲ではないが、樹高並もしくは、その2倍(強風に乗ると4倍になることも)の範囲で散布されます。

 陰樹なので耐陰性が高く、稚樹はブナ型と同様消失するものもありますが、残存すれば数十年は生存するため、下層植生にもよりますが、林内の前生稚樹が多いというのが特徴的です。

 → 

 更新する場合、前生稚樹を保護するような伐採方法を心掛ける必要があります。

 林内に多くの前生稚樹が残っていれば、林床を適度に明るくするように伐採することで、前生稚樹が徐々に成長し、更新が進んでいきます。

 前生稚樹が少ない場合は、カンバ型やブナ型と同様に母樹を残し、地表処理を行う必要があります。

 

 前回や前々回の記事でも言ったように、天然下種更新は、伐採後、放置するだけで成立するものではありません。

 伐採地の周囲に上記3タイプの樹種がどのように生育し、どのような配置で残すか、などといった点を考慮しないといけません。

 伐採前に残す母樹とその配置を考えることが重要なのですが、これは特殊な技術や知識ではなく、一般的な造林学の範囲です。

 

 再造林の時期を迎え、伐採後の天然下種更新を行う方や行おうと考える方が増えている(増えてくる)と思います。

 また、スイス林業を参考にした林業経営を考える方も増えてくることと思います。

 そのためには、天然更新施業に関する知識を有する方が、監督的な立場として、現場の方々へ指導・助言することも必要になってくるのではないでしょうか。

 個人的には、造林学と現場の技術を繋ぐ、そういう役割を担える人材が必要になってくる・・・と考えています。

 

 天然更新に関する記事は、今回で4回目となりますが、これまでに紹介した記事が、少しでも参考になればいいな~と思っています。

 5回目の次回は、天然更新の施業・・・・という内容をまとめようかと、考えているところです

 

※記事「 天然更新施業」へ続きます。*


天然下種更新 側方天然下種更新/上方天然下種更新

2016年10月23日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 天然更新は、「天然下種更新(てんねんかしゅこうしん)」と「萌芽更新(ぼうがこうしん)」に大きく分けられます。

 

 天然下種更新は、立木から落下した種子が発芽し、その稚樹を利用して行う更新を言います。

 萌芽更新は、樹木の伐採後、残された根株の休眠芽の生育を利用して行う更新を言います。

 一般的に使われている「天然更新」という言葉は、「天然下種更新」を指していることが多いかと思います。

 

 天然下種更新を行う場合は、森林を伐採し、林床に陽光が当たる環境を作る必要があります。

 ただし、立木の種子を利用した更新なので、全ての立木を伐採するのではなく、種子を生み出す樹木「母樹」を適切に配置するような形で残す必要があります。

 風で散布するタイプの種子は、小さくて羽毛の様な構造を持ち、種子の飛散距離が長い。

 落下して散布するタイプの種子は、種子自体が大きく、重量もあるので、種子の飛散距離が短い。

 種子の飛散距離に違いがある、種子の散布方法に違いがあるといった点を理解した上で、母樹を配置しないといけません。

 

 このような種子の飛散距離の違いから、天然下種更新を「側方天然下種更新」と「上方下種更新」に分類します。

 「側方天然下種更新」は、飛散距離が長い種子を利用した天然下種更新で、造林をしようとする場所に隣接するよう母樹を配置します。

←造林をしようとする場所に隣接する母樹が、風を利用して種子を散布する。

←尾根に母樹を残したイメージ図。

←両尾根に母樹を残したイメージ図。

 アカマツ、クロマツ、カエデ類、ハンノキ、ニレ類、カンバ類の樹種は、風を利用して種子を散布するタイプで、種子の飛散距離も長いので、「側方天然下種更新」に適した樹種といえます。

 

 「上方天然下種更新」は、飛散距離が短い種子による天然下種更新で、造林をしようとする場所に母樹を配置します。

←種子の飛散距離が短いので、造林をしようとする場所に母樹を残す必要がある。

 ナラ類、カシ類、ブナ、トチノキなどの樹種は、落下して種子を散布するタイプで、種子の飛散距離が短いので、「上方天然下種更新」に適した樹種といえます。

 

 天然更新を行う場合は、下図のようにすべての立木を伐採すると、更新が成立しない可能性が高まります。

 

 天然更新を行う場合、伐採する前に、

  どれを母樹として残すのか。

  残そうとする母樹の種子タイプは?

  種子のタイプによって、側方天然下種更新に適した母樹と上方天然下種更新に適した母樹の配置。

 と、ある程度の計画を立てておく必要もあります。

 

 ちなみに、更新の補助作業というのも、状況に応じて2つほど必要になります。

 1つ目は「落葉層の除去」。

 落葉層が厚いと、発芽した稚樹の根が土壌まで届かず、成長が阻害され、枯れる可能性があります。

 

 2つ目は「下刈り」。

 陽樹や陽樹と陰樹の中庸樹は、生育に陽光が必要です。

 なので、陽光を阻害するつる植物や雑草等を除去し、更新を促すことで、遷移が進み、より早く更新を完了することが可能となります。

 

 天然下種更新は、伐採後、そのまま放置すれば成立する・・・というものではありません。

 母樹を適切に配置するよう残したり、更新を早く成立するために補助作業を行ったりと、更新しようとする場所の条件や状況に応じた対応が必要になります。

※記事「天然下種更新 更新対象樹種の類型」へ続きます。※


埋土種子

2016年10月17日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 前回の「遷移」に続き、天然更新の話に入ろうと思いますが、その前に、天然更新に必要なもう1つの大切な知識を。

 それは「埋土種子(まいどしゅし)」についてです。

 森林内の土中には、樹木のタネがたくさん含まれています。

 そこに生育している植物から落下した種子(重力散布)、鳥やネズミ等が運んできた種子(動物散布)などがあります。

 ある種子は林内で発芽し、ある種子は発芽する事なく死んでしまします。

 その中で、落葉の下や土の中で休眠し、何年も生き続ける種子があり、台風などの自然災害や伐採等による攪乱によって、環境が変わると発芽する種子があります。

 このような種子を「埋土種子」といいます。

 埋土種子も寿命があるので、古くなった埋土種子は死にますが、それまでに新しい埋土種子が供給されるため、森林内の土中には、常にある埋土種子が蓄えられていると考えられます。

 このように埋土種子が蓄えられていることを「シードバンク(タネの貯蔵庫)」と呼びます。

 複数種類の樹木の埋土種子がたくさんあると、伐採後の天然更新も多種多様な環境でスタートできると考えられます。

 

 では、どうすれば、豊富な埋土種子を森林の土中に蓄えられることができるのか・・・。

 多くの埋土種子は、鳥によって運ばれます。

 樹木は、果肉質など栄養分が含まれる実をつくり、鳥に食べてもらい、その鳥が糞とともに種子を排出し、その場で発芽(もしくは休眠)します。

 

 鳥は飛びながら糞をすることができません。

 必ず、樹木などの上で止まらないと糞をすることが出来ません。

 鳥に種子を運んでもらう樹木は、「種子の散布先は樹木の下」であることを想定しています。

 

 なので、陽樹の場合、上層木がなくなるまで種子を休眠させるという方法をとるものが多いです。

(上層木が伐採されると発芽)

(上層木が枯死すると発芽)

 そして、陰樹の場合、日当たりが悪くても発芽できるので、その場で発芽し、少しずつ成長するものが多いです。

 樹種で例えると・・・

タブノキ。

 

 陽樹は日当たりが良くなるまで待機、陰樹は日当たりが悪くても影響が少ないので発芽する・・・という風に、陽樹の種子と陰樹の種子で、その戦略が異なります。

 埋土種子を作る陽樹は・・・・

 アカメガシワ、カラスザンショウ、タラノキ、イイギリ、ミズキ、クマノミズキなど。

   

 種子の寿命も樹種によって異なるようですが、少なくとも2年間は休眠できるようです。

 

 天然更新には、種子の供給源となる母樹はもちろん、埋土種子をたくさん蓄えることも重要です。

 そのためには、鳥が集まる森林環境を整えることが大切です。

 鳥は果肉質など栄養分が含まれる実を好むので、ヤマザクラなどが林内にあると、鳥は集まりやすく、多様な埋土種子を運んでくれます。

 ちなみに、ヒノキ林やマツ林では、埋土種子が広葉樹林より少ないという研究データもあります。

 その理由として、ヒノキ林やマツ林では、鳥が好む実を付ける樹木がない(少ない)ため、ほとんど集まらないから。

 

 植栽をせず、森林を再生させる「天然更新」は、種子による樹木の発生環境を整えることが重要です。

 特に、萌芽更新が期待できない場合は、その場所に十分な量の種子が存在しているのか、または、運ばれてくるのかが重要になってきます。

 そして、それらの種子が発芽できる適切な環境であることも重要です。

 なので、「埋土種子」の特性を理解することは、適正に天然更新や人工林の林種転換を進めるうえで、必要な知識だと思います。

 

※記事「天然下種更新 側方天然下種更新/上方天然下種更新」へ続きます。※

以下、関連記事

種子の散布~風散布~ 

種子の散布~動物散布「鳥散布」~

種子の散布~動物散布~

 

植栽地に生えた樹木

2016年08月06日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 先日、植栽地の下刈りに。(僕が作業したわけでは、ありません

 シカやウサギの食害もなく、ひと安心。

 植栽木以外にも色んな木が生えてましたので、ちょっとご紹介を。

 ミズメ

 サロメチールの香りがする木で、木目も色合いもきれいな木材。

 サクラ材に劣らないと、個人的に思ってます。

 我が家のテーブルもミズメ。

 製材側はミズメザクラとも言います。

 

 シロモジ

 クスノキ科の樹木で、恐竜の足跡みたいな形の葉が特徴。

 材は器具材くらいかな?

 これといった特徴的な用途はなかった・・・ように思います。

 

 ヒサカキ

 ビシャコとも言い、花木に。

 花の香りは臭い。

 

 リョウブ

 シカにひどく剥皮されても、生き残るがんばり屋さん。

 昔は、飢饉の時にこの新芽を食べたとか。

 僕は食べたことないけど、格別に美味しいと言うわけではないらしい。

 ウリハダカエデ 

 シカも食べないし、伐採跡地でも生えてくるパイオニア(先駆性樹種)。

 最近、メープルシロップが採れると知ってから、がっつり注目している樹木。

 特用林産物界に新しい風を起こしてくれる…?

 

 タラノキ

 代表的な山菜。

 この時期、白い花を咲かせてるので、来年の春、採取したいなら、この時期に採取場所をチェック。(ヌルデもこの時期なんで見間違えないように)

 タラノキも伐採跡地や植栽地など日当たりの良い場所で、真っ先に生える先駆性樹種(パイオニア)。

 

 アカマツ

 これも、代表的な先駆性樹種(パイオニア)。

 早生樹であり、最近、出番がない(人気がない?)けれど、建築材として利用される。

 我が家の曲り梁もアカマツ。

 そして、アカマツといえばマツタケ!

 マツ枯れなんかに負けず、成長してほしい!

 

 カナクギノキ

 クスノキ科の樹木。

 名前に「金釘(鉄釘)」とつくので、堅いのかと思いきや、実は軟材。

 名前からして、釘の材料になりそうな名前だが、軟材なので、釘の材料にはならなそう。

 (材が強いように書かれてもいるけど、実際、採材しても堅いとはいい難いかな・・・)

 

 

 ナガバモミジイチゴ

 黄色く熟すキイチゴで、甘い。

 真夏の植栽地では、暑い上に痛いばかりだけど、初夏の植栽地では、その甘さに癒される。(トゲ痛いけど・・・)

 

 モミ

 主に建築材として利用されるが、スギやヒノキに比べると強度は劣る。

 建築材と言っても、構造材ではなく造作材などが主。

 でも、モミを梁に使うところもある。

 「強度的にどうなのかな~」っと思うけど、ホワイトウッドの柱で家を建てるんだから、問題ないか~

 僕は不安なので、使いませんが・・・・

 僕の中では、「桶」のイメージ。

 寿司桶にも使われ、昔は棺桶に使ったそうです。

 

 シカの食害を受けなければ、色々な樹種が生える。

 柵がなくても安心して、植栽や天然更新が進む。

 そんな日が、いつか、来るのかな・・・・。


早生樹

2016年07月03日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 早生樹(そうせいじゅ)。

 読んで字のごとく、生長が早い樹木。

 林業界では、この早生樹、特に「外国産の早生樹」を取り入れようという動きがあります。(というか、動いているところもあります。)

 樹種はセンダン(帰化植物?)、コウヨウザン、チャンチモドキ、テーダマツ、ヤシャブシなどなど。

(センダン)

(テーダマツ)

 

 僕個人の意見としては、「慎重に進めるべき」です。

 川上側と川下側の両面から、いくつか理由があります。

 

(その前に、今回、長文になるので、ここから先は、お時間があるときに、お付き合いください。)

 

 1.過去の試験結果から、風や積雪の被害を受けて成林しなかった・・・というデータがあること。

 昭和30年代に木材の増産を目的に、外国産の早生樹に注目し、テーダマツなど外国産樹木が造林樹種として適合するか・・・といった試験が、テーダマツ、ストローブマツ、オウシュウアカマツなどで行われていました。

 こうした外国産樹木の造林は、失敗事例が多く、造林目的に合わないとされ、結果的に考えられる様々な条件に適合した樹種を選ぶこと・・的な表現でまとめられているものが多いような気がします。

 林業にとって、気象害は悩みの1つ。

 台風が近づいたり、豪雨が続いたりすると、山が気になります。

 スギやヒノキであっても、気象害は受けますが、外国産樹木はそれ以上に被害を受けやすいというリスクがあることを理解する必要があると思います。

 現在も、当時植栽したと思われる外国産早生樹の森林が残っていますが、幹折れの残骸と一緒に、わずかな木が残っていたりと、ほとんどが成林していないものが多い気がします。

 中には、成林し、外国産樹木の純林と呼べそうなものもありますが、それは稀な成功事例ではないかと思います。

(むしろ、なぜ成林したのか、過去の気象条件や地形条件などを基に検証すると、成林の秘訣が見つかるかもしれない・・・。)

 (←テーダマツ林)

 

2.需要先を確保できるのか。

 今の流れから考えると、主にバイオマス発電やCLT向けを想定し、外国産の早生樹の導入が言われているのではないかと思います。

 さて、仮に、今、植栽したとして、20~30年後の収穫期を迎えた時、流通に乗せることができるのか?

 そもそも、バイオマス発電所はどの程度残っているのか?(問題発言かもしれません。不快に思われた方、申し訳ございません。)

 CLTもバイオマス発電も外材の影が・・・というか、その姿を見せつつあります。

 近いうちに、外材の流通ルートができるでしょう。きっと。

 20~30年後、外国産の早生樹たちをその流通ルートに乗せられるのか?、乗っ取ることができるのか?

 今ある森林資源で需要先を確保しつつ、20~30年後、早生樹にシフトできるマーケットを、今、構築しておかないと、それをクリアすることは難しい気がします。

 一度、出来上がったマーケットを変えることは、とても大変な気がします。

 そして、スギやヒノキが外国産の早生樹に変わっても、伐採や搬出のコスト、運搬コストが大きく下がることはないでしょう。

 結果、今の建築用材同様、外材との競争になりそうな気がします。

 そして、手入れされず、放置されたスギやヒノキと同じ道を歩まないか・・・・

 それが、次の理由に続きます。

 

3.放置された外国産の早生樹が山に蔓延る・・・おそれがある。

 実際、和歌山県ではパルプ用に植栽されたユーカリが放置されています。

 当時、外国産の早生樹であるユーカリに注目し、植栽したものの、安い外材が参入した結果。

 「テーダマツ」も、稚樹が実生で生えてくるので、マツ枯れ被害に遭うクロマツやアカマツの生育場所を奪わないか、危惧します。

 今、注目されるコウヨウザン。

 短伐期で収穫が得られ、強度はスギ以上、萌芽更新するので再造林不要・・・と言われています。

 スギやヒノキなら、伐採すれば天然更新で樹種転換が可能です。

 萌芽更新するコウヨウザンは、樹種転換がとても困難。

 小笠原で蔓延った「アカギ」という外国産樹木の問題を考えると、ことの重大さをお分かりいただけるかと思います。

 和歌山県も熊野古道という世界文化遺産もあるので、そういう意味では、他人事ではないと思っています。

 それに、生物多様性、郷土樹種、遺伝子や固有種の保存、生態系の維持などが重要視される中、外国産の早生樹は、逆の道を歩んでいるような気がします。

 外国産の草本類は、すぐに蔓延するため、生態系への影響は大きく、外国産の樹木が与える生態系の影響は小さいと言われていますが、外来生物法に指定される樹木も僅かにあるので、軽視できないなと思っています。

 ちなみに、外国産の早生樹の1つ「ヤシャブシ」も花粉症の原因になります。

 

 ここまで、外国産の早生樹に対して、ネガティブな意見を並べました。

 しかし、反対しているわけではなく、あくまで、「慎重に進めるべき」です。

 こうした外国産の早生樹が林業界を支える1つの柱になるなら、進めてもいいと思います。

 ただし、先の3点をクリアしないといけないと思っています。

 

 1.風や雪の被害を考えた上で、被害が遭いにくい適した場所に適した外国産の早生樹を植える。まさに「適地適木」。そして、過去に行った失敗事例を整理した上で、同じ過ちを繰り返さないこと。

 2.現時点で、需要先を確保しつつ、樹種が外国産の早生樹に変わっても問題ないマーケットであること。「定めた材積量を守れば、樹種も品質も関係ないよ」といった需要先の確保が一番妥当?

 3.植えた外国産の早生樹はきちんと循環利用。循環利用ができなくなれば、樹種転換すること。

 

 と、思う限りの条件を並べてみましたが、それだけ、外国産の早生樹はリスクがあると考えています。

 というか、現代人の森林・林業に対するニーズを考えると、そう考えざるを得ないと思っています。

 当時、必要と求められ、拡大造林されたスギやヒノキが、現代では花粉症の原因や公益的機能の低下を招いているといった意見が出されたり、対策を求められたりしているわけです。

 実際は、何を植栽するかは所有者の意思ですが、林業という産業は、様々な環境問題と直結して考えられるため、世間から厳しい意見が出ることも多々あります。

 

 でも、早生樹は導入したい。

 そこで、注目すべきは、国産の早生樹

 

 バイオマス発電なら、樹種なんて、なんでもいいでしょう。 

 アカメガシワ、カラスザンショウなど先駆性樹種(パイオニア)も使えます。

 伐っても、伐っても生えてくるし、どこにでも生えるし。

 

 しいたけ原木の価格も侮れない。

 このブログで何度も書いていますが、単価でみれば、ヒノキと差がないし、下手すれば、ヒノキよりも高い場合も。

 もちろん、スギやカラマツよりも高い場合も。

 コナラクヌギも生長が早いし、萌芽更新ができるので、軌道に乗れば、20年サイクルで収穫できる。

 

 和歌山県の場合、紀州備長炭があるので、ウバメガシアラカシも可能。

 これも、このブログで何度も書いていますが、択伐施業をすれば、20年サイクルで循環利用できます。

 ウバメガシ林の経済評価も、補助金込みのスギ林やヒノキ林よりも高いという試算もあります。

 

 ウルシも早生樹。

 材としてではなく、漆塗りに。

 

 家具なら、キリも。

 育林技術が必要という課題もありますが、昔のような一級品ではなく、一般向けの育林技術を検討する余地もあるかも。

 

 他にも、シイノキクスノキも早生樹。

 自生種を見ても、広葉樹の中では、通直性が高い・・・と思う。

 特に、シイノキは用途開発の研究が進められたり、新たな木材利用として今後注目されるかも・・・?

 クスノキは、天板などで流通していますし・・・。

 

 あと、アカマツも早生樹。

 マツ枯れの問題がありますが・・・。

 

 仮に、国産の早生樹は放置されても、悪影響が低い。

 実際、今、放置されて、代表的に問題となっているのは、ナラ枯れ。

 

 昔も外国産の早生樹は植えられました。

 昭和30年代にダグラスファーやオウシュウアカマツなどの植栽試験をしたものの、失敗事例が多く、造林樹種として不適とされました。

 そして、外材としてダグラスファーやオウシュウアカマツが輸入されるようになりました。

 全国的にも、試験に失敗した外国産の早生樹の放置林が残っている現場もあるようです。

 過去の過ちや失敗の原因を理解した上で、同じ過ちを繰り返さないよう外国産の早生樹を取り入れるべきかと思います。

 そう、事前対策は重要・必要だと思います。

 

 そして、国産の早生樹にも注目し、その地域にあった用途が眠っているはず。

 後継者がいないという問題もありますが、一方で、Iターンの方たちが、そういう道に進んでいる事例もあります。

 和歌山県でも、炭焼きや桶職人などの道に進んでいる人もいます。

 そういう人たちに向けた資源を提供するといったマーケット作りも必要だと思います。

 

 国産の早生樹や広葉樹が、林業業界から影を薄めたのは、木材価格の高騰という当時の背景があったからだと思います。

 それでも、今もその市場(?)で生き残っているという現実があります。

 木材価格が下がる中、国産の早生樹や広葉樹の需要先を再び築くことも、林業ビジネスの1つだと思います。

 

 という考えから、「外国産の早生樹は慎重に進めるべき」に至ったわけです。

 僕自身は、所有者でもなければ、林業経営者でもないので、世間の勝手な意見の1つ捉えてください。

 でも、一人で考えている・・・というか、妄想しているので、皆さんは、どのような考えをお持ちなのか、非常に興味があります。

 以上、最後まで、こんな妄想長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。。。m(_ _)m

 

以下、関連記事です。

紀州備長炭の伝統技術 択伐施業

広葉樹資源を取り入れた林業経営

昔の拡大造林と現代の再造林 

再造林における植栽樹種の選択