はぐくみ幸房@山いこら♪

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干害(乾燥害)

2017年06月04日 | 樹木の病気・森林被害のお話

 いい天気が続いています。

 時々、夕方から夜明けにかけて、やさしい雨が降る程度で、日中は本当、天候に恵まれた日が続いています。

 ただ、雨が少ない日が続くと、「干害(乾燥害)」の被害が発生しないか、気になるところです。

 下の写真は、平成25年に和歌山県で干害が発生した広葉樹林。

Kangai_2

 干害は、夏季の間、30日間無降水日が続くと発生すると言われています。(冬季は40日間。)

 

 干害が発生した林内は・・・

Kangai_rinnai_2

 下層木の葉がしなしなに萎れてしまいます。

 写真に映っているほとんどの木は、タイミンタチバナで、和歌山県では海岸林によく見かける一般的な常緑広葉樹の1つで、比較的乾燥に抵抗のある樹木です。

 

 元々「シイノキ」は干害に弱くて、枯れやすく、干害の度合によっては、ウラジロガシやタブノキなども枯れます。

Kangai_shi_2(←シイノキ)

Kangai_urazirogashi_3(←ウラジロガシ)

 低木のアクシバが枯れるという現場も・・・。

Kangasi_akushiba_2(←アクシバ)

 

 干害で枯れた木は、先端の枝葉は回復しないものの、萌芽や胴吹きによって、再生する可能性もあります。

 また1から成長することになりますが、頑張って、緑を取り戻すこともあります。

 

 干害が発生した平成25年は、ヤマザクラなどの落葉広葉樹が8月くらいに紅葉しました。

 観察すると、冬芽を形成していたので、冬眠(夏眠?)に入って、この干害を乗り切るという対策を取ったと思います。

 なお、落葉樹は、落葉する際、葉柄の基部に「離層(りそう)」という葉を切り落とすコルク層を形成します。

 離層が出来ると、養分が行き来できず、葉の中に残った養分がカロチノイド(黄色の色素)やアントシアン(赤色の色素)という成分に変化し、紅葉(黄葉)します。

 葉が黄色or赤色に変色して、落葉した木は、正常の機能で落葉したものなので、枯れる心配はないかとおもいます。

 しかし、正常な機能とはいえ、雨が降らなくて、水不足になったので、落葉せざるを得なかったので、木にとっては、大きなダメージ・ストレスを受けたことに変わりありません。

 

 干害で枯れる木は、徐々に葉の色が茶色に変色します。

 なので、毎日、同じ山を観察していると、茶色の割合が少しずつ多くなる様子が分かります。

 干害は一気に枯れる・・・というよりも、上方部から下方部に向けて、葉が少しずつ茶色く変色して枯れます。

 また、山が全体的に枯れる場合もあれば、単木だけ枯れる場合もあります。

 

 ちなみに、平成25年に発生した干害は、スギやヒノキも被害を受けました。

 この被害について、問い合わせが殺到する!・・・かと思いきや、問い合わせはほとんど0.

 むしろ、干害が発生したその半年後くらいに、「そういえば、スギやヒノキが枯れているんだけど・・・」。

 スギやヒノキが枯れるって、その程度のことなのか・・・と、なんとなく、寂しい想いを感じました。

 

 以下、関連記事です。

  干害~枯れる原因~

コメント
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