樹皮をグルッと剥いて、木を枯らす「巻き枯らし」。
至極単純な方法で、伐採する技術を要しないので、森林整備として、取り入れている方もおられるかと思います。
木が枯れるので見た目が悪い・・・という欠点があります。
また、スギやヒノキなどの材質劣化を招く、病害虫の温床になる可能性もあります。
枯れるまで長い時間を要するものの、山の中で朽ちた木は、危険要因の1つとなるので、巻き枯らしをしたエリアは、赤いテープなど目立つような印を残すことが大切です。
誰も入ってこないと思うような山奥でも、個人の山でも、誰かが山に入る可能性も0ではないので、そういう方への注意喚起はもちろんのこと、再び、自分がそのエリアに訪れたとき、不用意に近づかない安全対策にもなります。
「巻き枯らし」を難しく言うと「環状剥皮(かんじょうはくひ)」と言います。
環状剥皮は、大きな木を移植するときに、根を切る際に、新しい根を出させるためにも使われる技術の1つです。
あと、取り木をするときにも使われます。
簡単に説明すると、形成層ごと樹皮を剥いて、そこに発根促進剤(オーキシン剤)を塗布し、乾燥しないように水ゴケなどを入れて、ビニールで覆います。
発根した部分から根や枝を切って、移植したり、取り木苗として植えたりします。
森林整備のために応用された環状剥皮、いわゆる「巻き枯らし」。
昔から日当たりを良くするためにやっていたようですが、枯れた木は、いつ倒れたり、幹が折れたりするかわからないので、建物の近くや道路付近などでの巻き枯らしは控えた方がいいと思います。
器物破損などに繋がる可能性もありますので・・。
さて、この「巻き枯らし」。
”樹皮を剥くことで、形成層が死んで、枯れる。”
”樹皮を剥ぐことで、形成層が損傷し、養分が行き届かなくなって枯れる”
などと言われますが、実は違います。
枯れる本当の原因は、「辺材が乾燥するから枯れる」です。
辺材は水分を運ぶという役割を持っています。
樹皮を剥くことによって、辺材が乾燥し、その役割を十分に発揮できなくなり、枯れてしまいます。
なので、樹皮を剥いても、辺材が乾燥しなければ、剥かれた部分を修復しようとします。
←樹皮を剥かれたクヌギ。剥かれたところが修復されています。
修復という点では、スギやヒノキなどの針葉樹は、広葉樹より不得手なの、再生が上手くできず、枯れていますが、広葉樹では剥かれた樹皮を再生し、枯れずに生き残っているものもいます。
意外と誤解されているのですが、巻き枯らしで枯れる理由は「辺材が乾燥するから」です。