今回からは、第3部、スギノアカネトラカミキリ(以下、アカネ)の防除について。
アカネの被害発生には、立地条件や林況も関係するため、単なる防除の話ではなく、被害と立地条件、被害と林況、被害の診断方法、防除方法、4つの構成でお話したいと思います。
今回は、被害と立地条件について。
枝打ちが行われず、枯れ枝が多いスギやヒノキの人工林であれば、必ずしも、アカネが存在し、被害も増える・・・というわけではありません。
アカネは西向き、南西向きの斜面に多く、土壌が乾燥して、せき悪な林地に被害が集中するとされています。
良好な土壌で成立している林分は、不良土壌成立している林分に比べ、一般的に被害は軽微とされています。
そして、沢筋よりも尾根筋に被害が多いことも認められています。
ここからは、アカネの生態から推測したお話です。
まず、「西向きの斜面」と「南西向きの斜面」に多い。
アカネは日中の温度が20℃くらいになると脱出し、日中は21℃~28℃の範囲内の温度で活動するとされているので、日当たりのいい斜面は、アカネの活動に最適な温度環境が整うからではないかなと思われます。
次に土壌が乾燥したせき悪な林地。
これは乾燥がポイントかなと。
乾燥する環境と言うことは、枯れ枝の腐朽が進みにくく、アカネの産卵に適した枯れ枝が長く残るからではないかなと思います。
また、乾燥場所は日当たりが良い場所も多いので、アカネの活動温度とも関わってきます。
最後に「沢筋よりも尾根筋に多い」。
これまでの説明通りで、沢筋は日当たりの悪い場所が多く、気温も低いし、湿気も多いので枯れ枝の腐朽が進みやすいので、アカネにとっては、生活しにくい環境。
一方、尾根筋は、日当たりが良い場所も多くし、気温も高いし、乾燥しやすいから枯れ枝の腐朽も進みにくいので、アカネにとって生活しやすい環境。
ではないかと思われます。
いずれも活動温度と産卵に適した枯れ枝が関係するのかな~と思います。
これらの条件に加えて、シイと隣接する人工林では、さらに被害が多いかも?
アカネの訪花植物として、シイも確認されています。
この話に関しては・・・こちら → スギノアカネトラカミキリ 訪花
次回は、森林・山の状況と被害の関係について。