はぐくみ幸房@山いこら♪

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鹿皮なめし 毛付き

2019年02月17日 | 狩猟・獣害のお話

 前回、シカ毛皮のランドセルカバーをご紹介したので、今回はシカ毛皮のなめし方をご紹介させていただきます。

 なめし方を紹介したホームページはたくさんあって、僕もそれらを参考にして始めました。

 罠を使って、時々、少しシカを捕る程度で、頻繁になめす訳ではありませんが、素人の僕の経験でも、これから始めたいという方の参考になれば幸いです。

※このブログをご覧になるツールによって、文章の説明と写真にズレが生じる場合があります。その点は、ご容赦下さい。

 

「シカ皮の保存」

 捕獲したシカを解体し、皮を採取した後、そのまま、なめし作業に入ります。

 解体後、すぐになめし作業が出来ない時は、皮だけ採取して、冷凍保存して下さい。

 なめすときは、シカ皮を解凍するだけです。

 

「用意するもの」

 シカ皮(1枚)、焼きミョウバン1kg、塩1kg

 普通のナイフもしくは皮剥ぎ用ナイフ(皮に残った肉を除去するため)、中性洗剤(何でも可)

 ビニール手袋、古新聞(10枚程度)、くし(毛並を整える)

 汚れても良い服(僕は長靴、雨合羽)、ボロ布(古タオル1枚分)、油(サラダ油でも可)

※この後の説明で、上記に書かれていないものも出てきますが、読んでいただきながら、必要に応じて、ご用意ください。 

 

「なめし方」

①シカの毛皮を水洗い。

 毛皮に付着した泥、ひっつきむし、ダニなどを水洗いにより取り除きます。

 ただ、ダニは水洗いで完全に除去できないので、目に付くダニを取りあえず除去するって感じで、メインは泥など。

 洗ったら、毛からボタボタ垂れる水を簡単に切り、干します。

 干すと言っても、完全に皮が乾くまで干すのではなく、水が切れる程度に干します。

 ※毛無しの場合は、古いタオルなどで拭き取る程度で。

 

②肉を除去する。

 皮を傷つけないように肉を除去します。

 普通のナイフだと、先端で皮を傷つけることもあるので、先端が尖っていない皮剥ぎ用のナイフを購入されてもよろしいかなと思います。(ちなみに僕は普通のナイフで除去しました。)

 こんな感じです。ある程度の妥協は必要かと思います。

 

③中性洗剤で洗う

 脂分を除去するため、中性洗剤で洗い、水ですすぎます。

 ①と同じ様に水切ります。

 

④ミョウバンに漬ける

 皮1枚につき、焼きミョウバン1kgと塩1kgを混ぜ、しっかりと塗り付けます。

 なお、塩は普通の食塩でもOKです。

 

 肉を除去した側の皮同士がくっついたりするので、そこを丁寧に剥がしながら、ミョウバンを塗りつけます。

 くっついたままだと、完成後、そこから破れる原因になります。

 下の写真のように、皮の端っこがクルッとなっている部分も丁寧に塗りつけます。

 僕は実践したことありませんが、生ミョウバンでも良いそうです。

 塩が含まれていると、後々に水分が出てくるので、それを考えると、生ミョウバンの方が良いとのことです。

 

⑤1週間から10日間ほど寝かす。

 上に新聞紙をかぶせ、クルクル回して、1週間から10日間ほど、日陰の場所でねかします。

 もしくは、毛皮側を下にして、段ボールの上に置き、新聞紙をかぶせ、その上に段ボールを置き、さらにその上にベニヤ板など重しになるものを置きます。

 新聞紙を被せただけでは、シカ皮の端がクルッと反ってくるので、それを防ぐために重しを置きます。

 

⑥ミョウバンを取り除く

 左下の写真がミョウバン除去前、右下の写真がミョウバン除去後。

 上の2つの写真は、上から重しを置いて、ねかしたものです。

 下の2つ写真は、くるくる巻いて、ねかしたたものです。

 左下が除去前、右下が除去後です。

 除去後の写真を見ると、所々に”しわ”があり、その部分は、きちんとミョウバンが塗りつけられていない部分です。

 こういうところから、皮が破けてしまいます。

 

⑦仕上げ

 軽石や紙ヤスリなどで磨きます。

 手で磨くと大変なので、僕は電動工具を使って磨きます。

 電動サンダーの場合、ヤスリは♯100、♯150の物を使っています。

 電動研磨機の場合、♯80の物で磨きますが、作業は楽になるものの、破けやすいので、作業には注意が必要です。

 磨き終わった状態です。(上の写真と下の写真は別の皮です)

 

⑧完成

 最後に油を塗って、日陰で干して、完成!

 油は普通の食用油を使っています。

 あとは必要に応じて、櫛などでブラッシングします。

 あと、塩の影響で水分がなにじみ出てくることもあるので、暗い場所で保管しながら、毛皮の様子を見る必要があります。

 特に夏場の保存には気を付けていただき、水分が出てきたら、古新聞などで拭き取ってください。

 1~2年、暗い場所で保存すれば、皮が落ち着いてくるかと思います。

 シカ解体のとき、皮から肉を除去するとき、ミョウバンがきちんと塗りつけられていなかったとき、電動サンダーで磨き過ぎたときなどが、破ける原因になります。

 毛の質は捕獲した個体によりますし、元々、毛が抜けている個体もいます。

 成獣はかたく、バンビはやわらかいので、僕はバンビの皮が好きですね。

 ただし、皮が薄く、破けやすいので、丁寧に処理する必要があります。

 

 全体を通して大変な作業は肉の除去で、それが終われば、あとは楽な作業・・・かな。

 

 ちなみに、肉を除去し、洗った後、皮をパリパリに干して保存することも出来ます。

 パリパリになった皮を、柔らかくなるまで水に漬けて、戻します。(大きさにもよると思いますが、2~3日くらいかな。)

 その後、「④ミョウバンに漬ける」から順に作業を行えば、同じようになめす事が出来ます。

 

 シカ皮を入手したが、すぐになめし作業ができない場合は、

 ・シカ皮をそのまま冷凍する(なめすときは解凍する。)

 ・シカ皮から肉を除去して乾燥させる(なめすときは水に漬ける)

 という方法で、保存することが可能です。

 

 毛皮をそのまま敷物に使っても構いませんが、毛が抜けてくるので、その点、ご注意ください。

 野外、特に山で使う場合、カバンのカバーにしたり、昔のマタギみたいに身に付けないようにしてください。

 シカと間違えて誤射される・・・というような事故になる可能性がありますので・・・。

 

 僕は素人ですが、シカの皮なめしを始めたい!という方の参考になれば幸いです。

 それなりの時間はかかりますが、それほど難しい作業ではないので、機会があれば、是非、挑戦してください。

コメント
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