マツが枯れていたら、全てが「マツ枯れ」というわけではありません。
マツ枯れと呼ばれる森林被害は、”マツノマダラカミキリ”がマツの新梢を食害することで、枯れる原因となる”マツノザイセンチュウ”がマツの樹体内に侵入し、増殖することで発生します。
次の写真は、マツノマダラカミキリムシが、マツの新梢を囓った痕(食痕)です。
分かりにくくて、申し訳ないですが、写真中央に囓った痕跡があります(>_<)。
マツノマダラカミキリの囓った傷痕から、マツノザイセンチュウがマツの樹体内に侵入します。
ちなみに、マツノザイセンチュウによって枯れたマツからは、ヤニ(樹液)が出ません。
この枯れたマツに、マツノマダラカミキリが産卵します。
産卵された枯れマツを駆除しないと、来年の春、マツノマダラカミキリが飛び立ってしまいます。
そして、飛び立つマツノマダラカミキリの体内には、マツ枯れの原因となる”マツノザイセンチュウ”が侵入しています。
新たな春を迎えたマツが、新しい枝を伸ばし、新しい葉を出すと、それをマツノマダラカミキリが囓り、そこからマツノザイセンチュウがマツの樹体内に侵入し、増殖し、マツを枯らす。
そして、枯れたマツに、マツノマダラカミキリが産卵し・・・・というサイクルの繰り返しで、マツ枯れ被害は拡大します。
被害拡大を防ぐため、マツノマダラカミキリの幼虫が潜む枯れマツを処分することが重要になるわけです。
枯れたマツを観察すると、次の写真の様に、枯れたマツの幹や枝の樹皮の下、枯れたマツの根元に粗い木の屑が確認できます。
この木くずは、マツノマダラカミキリの幼虫が、マツの材部を食べた痕跡です。
なので、写真のような木くずや痕跡が確認できる枯れたマツには、マツノマダラカミキリの幼虫が潜んでいます。
一方、同じ枯れたマツでも、マツノマダラカミキリが産卵していない場合は、写真の様な粗い木屑は見当たりません。
ゾウムシなど他の幼虫は、写真の様な粗い木屑ではなく、粉に近いような感じの木屑です。
それと、マツ枯れの被害を受けた枯れ松を伐採すると、青変菌(せいへんきん)と呼ばれる菌が広がっています。
それと、たま~に、キツツキがカミキリムシの幼虫を食べることもあり、駆除の一役を担ってくれています(^o^)。
マツ枯れ被害が拡大すると、風景が損なわれるし、住宅付近だと生活環境の安全面も損なわれるおそれもあります。
特に近年の大雨、豪雨、強風、台風は想定外や規格外の場合もあるので、そんな時、マツ枯れの様な枯れ木の存在は驚異かもしれません。。。
※2016年2月の記事を再編