今回は、葉が紅葉する仕組みについて、お話します。
落葉する時期になると、葉柄の基部に「離層(りそう)」というコルク質の組織を形成します。
離層ができると、葉に送られる水分や養分の供給がストップします。
しかし、葉の中にはマグネシウムなどのミネラルや窒素が、まだ取り残されているので、離層が完成する前にそれらを回収します。
だけど、糖類(ブドウ糖やショ糖)は、十分に回収することが出来ず、葉の中に残ってしまいます。
残された糖類が、酵素と強い紫外線の影響によって、「アントシアン」が生成され、葉が紅葉します。
落葉するときに、「アントシアン」が生成される理由は、明確になっていないそうですが、徐々に後退する葉緑素を紫外線から守るためという説があるそうです。
次に黄葉。
離層が出来て、養分が回収され、緑色が退色する過程で、葉の中にもともと存在していた「カロチノイド」という色素が現れて、黄葉します。
続いて、褐葉。
離層が出来て、葉緑素が減少し、タンニンの仲間である物資が酸化重合した「フロバフェン」という物質の色が現れて、褐葉となります。
紅葉という現象は、葉が何らかの原因で光合成ができなくなったとき、葉が脱落する前にミネラルや窒素などを回収する段階で起こります。
ほとんどの落葉広葉樹は、気温が5℃以下になると光合成ができない状態になります。
中には、ハゼノキやヤマザクラのように、5℃より高い気温でも、光合成ができなくなる樹種もあります。
また、樹勢に元気がない個体では、雨が少なく乾燥した日が続き、干害などのように光合成が不利な状況だと判断されると、早々に落葉する場合もあります。
一方で、ハンノキやオオバヤシャブシなどのように緑色が少し退色した程度で落葉する樹もあります。
← オオバヤシャブシは緑色のまま落葉。
このような樹種は、窒素やミネラルなどが回収されない代わりに、限界ギリギリまで光合成を行うという戦略をとっています。
一方、お正月を明けても、葉は変色しているのに落葉しない樹木もあります。
よく見かけるのが、クヌギやヤマコウバシ。
これらの樹種は、完全な離層を形成しないため、なかなか落葉しないようです。
特にヤマコウバシの褐葉は、とても目立ちます。
葉が「落ちない」!!
ということで、受験生にとって、縁起の良い樹木とされています。
受験生がお近くにいる方。
是非、葉が落ちない「ヤマコウバシ」をプレゼントしてあげて下さい!