名刺交換をした時から、
とても変わった苗字だと思っていたのだ。
プライバシーのため詳細は秘すが、
真ん中に「鬼」がつく三文字の苗字だった。
そんな苗字、初めて見た。
先日、彼女の一族の話を聞いた。
なんでも吉野で千数百年続く旧家で、
そのはじまりは最初の修験者を守った鬼だったという。
(このあたりの詳細は失念。”最初の修験者”じゃなかったかもしれない)
地元には彼女の家と同じような真ん中に鬼がつく三文字の苗字を持つ家がいくつかあったが、
今やすべて途絶えてしまい、
残るのは彼女の家だけだそうだ。
鬼とはいったいなんだろうか。
中国地方の伝説である「桃太郎」に出てくる鬼は、
漂着した外国人という説がある。
冗談まじりに「君の家の祖先も外国人なんじゃないか」と言うと、
こんな答えが返ってきた。
「うち、みんな、赤ちゃんの時に蒙古斑がないんです」
やっぱり。
彼女の一族の話を下敷きに、
ぜひ夢枕獏さんにでも小説を書いてほしいものだ。