医学部で解剖学を教えている後輩に、
「解剖しにくい体だというのはあるのか」と訊いてみた。
僕の予想は、太っている人。
腹回りの脂肪が分厚い人間は手術がしにくいと聞く。
だから解剖でも同じだと思ったのだ。
しかし、返ってきた答えは違った。
解剖しにくいのは、猪首ー太くて短い首ーの人だそうだ。
解剖する前に死体が腐らないように保存処理をする。
その時、猪首だと首が体にめり込みように固定され、
解剖時に、筋肉や血管の観察に手こずるのだという。
だから猪首の献体は、学生の実習ではなく、他の研究用に使うそうだ。