この芝居の存在を知ったとき、
まず思ったのは、
「どうして釈由美子はこの舞台に出ようと思ったのか」
ということだ。
タイトルは『天才バカボン』だが、
内容的には『ゲゲゲの女房』のような赤塚不二夫の評伝劇、
事務所がそうかん違いしたのでは、
そう思ってしまった。
もちろん、評伝劇ではない。
「男子はだまってなさいよ!」がやるのだ。
原作以上にバカなはずである。
実際、相変わらずのバカっぷりだった。
驚いたのは、
バカ炸裂の細川徹節に釈由美子が馴染んでいたことだ。
そして終演後の宴席で、
さらに驚く話を聞いた。
彼女の登場シーンの中にも、
かなりのアドリブがあるそうだ。
しかも荒川良々のムチャぶりに、
アドリブで返すというところがいくつもある。
それがどれもいい感じで返しているのだ。
客席の笑いもそこが一番大きかったほどだ。
舞台はいい。
テレビでの印象とはまったく違う役者の姿を見ることができる。