上りの南武線が武蔵溝ノ口駅に到着する直前、
右手に、アーケードのある商店街が見える。
商店街といっても、今や店の大半は飲み屋だ。
母親が溝の口の病院にしていた十数年前、
そこに1軒の古書店があった。
先日、歯科医院に行くため南武線に乗ったところ、
一瞬、あの古書店が見えた。
「まだあったんだ」
というのが正直な気持ちだった。
近々行かねばと思っていたが、
なかなか時間が取れず、
今日ようやく行くことができた。
このアーケード街の中ほどだったはずだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/bd/f107bd81421258fff131fa34c486c1ca.jpg?1696063108)
昼過ぎだったので、大半の飲み屋はシャッターを下ろしている。
3分もかからずアーケードを通り抜ける。
古書店はなかった。
戻ってみる。
閉まっているシャッターもしっかり確認する。
やはり古書店はなかった。
ネットで調べると、すでに閉店していた。
車窓から見えた、あの古書店はなんだったのだろう。
僕の願望が、今はなき古書店のまぼろしを見せたのだろうか。