「五千円落ちてませんでしたか?」

2018年06月30日 10時04分00秒 | コメディのかけら


「五千円、落ちてませんでしたか?」

中年の女性が店に入ってくるなり、そう尋ねた。

どうやら先ほどまで二階の座敷にいた客のようで、
店員が確認しにいった。
しかし、五千円は落ちていなかった。

「そうですか」

ちょっとがっかりしたような声でそう言うと、
その女性は帰っていった。

10分後。

若い男女がやってきて尋ねた。

「五千円、落ちていませんでしたか?」

落ちていなかったと答えると、
2人はそのまま帰って行った。

「あの女の子、さっきの女の人と一緒に来てた子ですよ。
 でも、あの男の方はいなかったなあ」

と店の人。

つまり、
わざわざ知り合いの男性を連れて、
五千円が落ちていなかった再確認しに来たのだ。

なぜ?

「盗ったんじゃないかって疑っているんですかねえ」

と、店の人。

真相はわからないが、
なんとも奇妙な酒場での出来事だった。

旅館の気遣い

2018年06月23日 13時32分55秒 | コメディのかけら

知り合いのシングルマザーの話だ。

息子が高校生の頃、2人で温泉に行った。

彼女は当時、四十代半ばだったが、それよりずっと若く見える。
一方、息子は背が高く、高校生には見えなかった。

部屋に来た仲居が、彼女に囁いた。

「貸し切りできるお風呂もありますけど」

どうやら親子ではなく、
年下の愛人と旅行に来た女性と勘違いされたらしい。

しかし彼女が息子に語りかける口調は、
どう見ても母親のそれだから、
宿の人たちはどんなふうに感じていたんだろう。

それはそれで、
かえって「あやしい関係」に見えたのかもしれない。

アロマ盲信

2018年06月16日 07時53分54秒 | コメディのかけら

アロマオイル信奉者たちのサイトを読む機会があった。

相談事とそれに対する仲間たちからのアドバイスが綴られていた。

その中に驚きの相談があった。

「犬が脱臼しました。
 何かいいアロマはありませんか」

「友人の夫が車の事故で重体、昏睡状態です。
 何かいいアロマはありませんか」

アロマオイルが健康にまったく効果を及ぼさないとは言わない。
リラックスすることにより、免疫力が高まることもあるだろう。

しかし…

外科的な治療が必要なものにはきかねーよ!

犬が脱臼?
獣医に連れていけ!

友人の夫が昏睡?
医者に任せろ!

彼らに今必要なものがあるとすれば、
「アロマの盲信から目を覚まさせる」アロマだ。

早く行かないと間に合わない

2018年06月13日 10時08分41秒 | その他のかけら

知り合いの娘さんが、
中学生3年生の時点からアメリカに留学している。

なんでも留学の初期衝動は、
小学生の頃に観たピクサーのドキュメンタリーにあったという。

将来、ピクサーで働くことを夢見ていた彼女は、
番組を観て、叫んだそうだ。

「お母さん、早く行かないと間に合わない!」

頼もしいなあ。

グループLINE

2018年06月06日 23時34分06秒 | コメディのかけら

最近よく番組ごとにLINEのグループを作る。
連絡事項を一斉に流すことができるのでとても便利だ。

ある番組での出来事。

前日のオンエアの結果に対して、
分析するプロデューサーのアイコンが子どもの寝顔、
反省する枠ディレクターのアイコンが赤ちゃんの寝顔、
この2つが偶然並んだ。

それを見た時、

「赤ん坊のくせに生意気なこと言いやがって」

と思わず愉快な気分になったのだった。

しかしこういう時のためにも、
LINEのアイコンはちゃんと考えないとなあ。

祖母は夢の中で泣く

2018年06月02日 20時07分28秒 | その他のかけら

家人(小)が、
亡くなった僕の母、
つまり彼女の祖母の夢を観たそうだ。


僕の母がバイト先に来て、
「私はもう死にます」と告げ、
二人抱き合って泣く夢だった。


印象的な夢だったので、
夢判断のサイトで調べると、
「祖母が泣く夢」はトラブルの暗示だという。
祖母は荒れた生活を心配して泣いているともあった。


家人(小)は、この内容を信じている。

なるほど。


確かに家人(小)は最近遊びまくっている。
見かねて僕も注意したが、
内心本人も今の状況はよくないと思っているのだろう。
その思いが、僕の母の姿をとって夢に出てきたに違いない。


なぜ僕の母だったのかもよくわかる。


僕の母は几帳面で礼儀に厳しい人だった。
しかし家人(小)はよくなついていたので、
何度か1人で僕の実家に泊まりに行ったが、
いつも見違えるほどしっかりしたコになって戻ってきた。
家人(小)にとって、僕の母は真面目さの象徴的存在なのだろう。


僕は死後の世界の類は信じていない。
そんなものなどないと思っている。

しかしながら、今回の話を聞いて、
亡くなった人が見守っているということはあるのかもしれないと考えを改めた。

ただし、それは天国からでも、あの世からでもない。
生きている人の「無意識という彼岸」から見守っているのだ。