ある喜劇人が教えてくれたという話のまた聞きだ。

何かを見つけて指さし「あ～～！」と叫ぶシーンがあったとしよう。

この時、「あ～～！」と叫んでから指さすのはシロウトだそうだ。
指さしてから、「あ～～！」と叫ぶのがプロの演技だという。

たしかによくよく考えると、
現実では動きが先にあって、
その後に声や言葉が伴うことが多い。
だが演技をすると、
それが逆転してしまいがちだ。

僕が演技をすることはないが、
演技者を見るときのひとつのポイントとなる。

ためになった。

酔って夜中に帰った彼は、
小腹が空いていたので、
冷蔵庫の中のタッパに入っていた料理を温めて食べた。

どうやらそれは、
子どものお弁当用のものだったらしい。

翌日の夜、
深夜に帰った彼が冷蔵庫を開けると、
あちこちに「食べちゃダメ」と書かれた紙が、
まるで魔除けのお札のように貼ってあった。

「あれを見た時はゾっとしたよ」

気持ちはわかる。

知り合いのお好み焼屋が、
この時期いつもはつけている暖房を
節電のために切ってみたが、
客からは何も言われなかったという。

それで気づいた。

「今まで必要のない暖房をつけていたんだ」

今回の節電を機会に、
こんなふうに不必要なものに気づき始めている。

電力の贅肉を落そう。

数年前、
地球温暖化を旗印に、
「エコ」が叫ばれた。

しかしその時、
夜の街のネオンを消そうとするものはいなかった。

だが、今回は違う。
あの時以上に、みんな「エコ」な生活をしている。

地方都市から出てきた人たちは、
今の暗い夜の東京を見て「なつかしい」と言う。
たしかに地方都市の夜は暗い。
いや、大都市・京都だって、
ネオンの規制があるから今の東京のような感じだ。

でも今の状態で特に不都合はない。

なにが必要でなにが必要じゃないのか。

考えるいい機会だ。

僕も「電力ダイエット」をしようと思う。

震災の前に聞いた話なので、
今だと微妙に受け取り方が違うかもしれないが、
その時は興味深い話だったので記しておく。

あるＡＤさんが仕事を辞めることになった。
その理由は、

「ボランティアが忙しくなったから」

以前から休みを利用してボランティアをしていたが、
次第にそれが忙しくなり、
ＡＤ業をできなくなってしまったというのだ。

どうやって食っていくつもりなのだ？

ボランティアで収入が得られるのか。
いや、そこで収入を得てしまったらボランティアじゃなくなるだろ。

どうするつもりなのか、
もう少し詳しく聞いておけばよかった。

短い間だけ探偵をやった知人のまた別のエピソードだ。

猫探しを依頼された。
ただし飼い猫ではない。
探すのは野良猫だ。

なんでも依頼主にはお気に入りの野良猫がおり、
どうしてもそいつを飼いたいから捕まえてほしいと、
依頼があったのだ。

数人の探偵たちが野良猫を追った。

しかし間一髪のところで逃げられてしまったという。

「高いお金を払っているのになにしてるのよ！」

依頼者からはかなり怒られたそうだ。

ある雑誌でこんな広告を見つけた。

「建長寺の御守りを携帯にダウンロード」

鎌倉のあの建長寺の公式携帯待受けの広告である。

「デジタル『開運』御守りを携帯に
『雲龍図』と『ご朱印』の
二種類待受け配信中」

まあ御守りだって、
中に入っているのは印刷された紙なのだから、
手紙ではなくメールの現代、
御守りもデジタル化されても構わないといえばそれまでだが、
やはりご利益は薄い気がする。

建長寺、商魂たくましいな。

コンビニやスーパーでパンが品薄となった。

あるパン屋の店頭には、
「食パンはお一人様一斤でお願いします」
とハリガミがあった。
そう書かないと何斤も買っていく人がいるのだろう。

みんなそんなにパンが好きだったか。

ある人は、
スーパーで食パンを四斤買って帰るおばさんを見たという。

大家族なのか。

違うと思う。

そして買い込んだパンは食べきれず、
賞味期限切れになってしまうと思う。

そんなパン不足のニュースを受け、
ある知人は同僚からこう言われたそうだ。

「ウチ、パン焼きがあるんです。
　よかったら、ウチで焼いてきますよ」

みんなそんなにパンが好きだったか。

地震の影響で、
軒並み公演中止が続いている。

しかし、
地震直後の金曜日の夜、
公演を行った劇団があったと聞いた。

しかも下北沢のスズナリで。

その劇団は・・・「リリパット・アーミー」

なんでも客はわずか５人だったそうだ。
明らかに出演者のほうが多い。
しかも出演者の一人は劇場に来られなかったという。

なのにやった。

なんとも無茶苦茶な話であるが、
そこがまたリリパらしくて、
また一つ伝説を作った感じだ。

地震の影響で、
スーパーからミネラルウォーターが消えた。

ある知人は妻から、
知り合いの老女に水を買って届けるように頼まれた。

しかし、
コンビニやスーパーにあるとは思えない。

高級な店ならさすがにあるだろうと思い、
デパ地下に足を運んだが、
ここでも水はほとんど売り切れており、
残っていたのはこの一種類だけだったそうだ。

コントレックス。

老人が水を飲んでダイエットしてどうする。

というか、
初めて飲んだ老人はあの味にビックリするに違いない。

今回の未曽有の災害に対して、
僕ができることは限られている。

節電。
これはできる限りしよう。

募金。
いろいろなところで義捐金を募り始めているが、
最終的な受け入れ先は日本赤十字社になるのではないか。
現時点ではまだ、日本赤十字社はまだ義捐金の受け入れ口を開設していない。
僕としては、日本赤十字社のＨＰに義捐金に関する詳細が出てから、
動こうかと思っている。

そして。

これはまだ気が早すぎると言われるかもしれないが、
自分のためのメモとして記しておこう。

今回、被害にあった街も、
長い時間はかかると思うが、
いつか復興する。
その時、
その街で獲れたものや作られたものを買おうと思う。

それが今回被害にあった地に対して、
離れて暮らす僕にできることだと思うのだ。
そう、その地の経済に少しでも加担することが。

しかしそれはちょっと先のことになるだろう。
その時まで今の気持ちを忘れないようにしたいのだ。

地震の時は日本テレビにいた。

２６階の会議室。

『鉄腕！ＤＡＳＨ』の会議中だった。

局内に残ってしばしニュースで事態を確認した後、
家まで歩いて帰ることにした。

汐留から世田谷の経堂までは短い距離ではないが、
これも貴重な経験であるし、
今、街がどうなっているのか体感しておきたかったのだ。

詳しくはまた機会があったら書こう。

結局、自宅までは４時間弱かかった。

半年間だけ探偵をやっていた人と話をした。

どんな仕事をしたのか尋ねたら、

「キャバ嬢の自宅を突き止める仕事をした」

という答えが返ってきた。

依頼者はそのキャバ嬢の客だそうだ。
かなりの金を突っ込んだが仕事用の携帯の番号しか教えてくれない。
だから依頼してきたのだという。

間接的なストーカーじゃないか。

でも仕事なので、
なんとかそのキャバ嬢の自宅を突き止め、
依頼者に報告した。

ただしそれで何かあったら後で困るので、
住所を知ったことを悪用しないと契約したという。

「割り印もした正式な契約書だったんですよ」

え？

どう考えてたって、
依頼者の男はキャバ嬢の家に行くだろう。
押しかけるかどうかは別にしても、
近くをウロウロするはずだ。

それだって訴えられたら、
ストーカー罪になる可能性はある。

つまり契約に意味はない。

その無意味さがなんともおもしろかったのだ。

母親を連れて京都に行ってきた。

大病を患って以来、
母親はめっきり体力がなくなった。
なので、なるべく心地よく滞在できるホテルがいいだろうと思い、
老舗のホテルを選んだ。

選んでから料金を調べた。
それなりの金額を覚悟していた。

しかし、料金を見て、驚いた。

ツインの部屋で一人一泊７５００円。

え？

ビジネスホテル並みの値段じゃないか。

いくらシーズンオフの、
日曜日からの宿泊とはいえ、
一人７５００円って。

今、ホテルの宿泊料はこんなことになっているのか。
知らなかった。

もちろん値段はビジネスホテル並みだが、
部屋ははるかに良く、
従業員たちの対応もとても親切で心地よいものだった。

これで１泊７５００円で本当にいいのだろうか。

なんとも得した気分になる旅の宿だったのだ。

某テレビ局（民放）では、
ナレーションで電子レンジで調理した時に使う、

「チンすると」

という言い回しを使ってはいけないという。

どうしてだろうか。

確かに「チンする」は『広辞苑』にも載っており、
もはや一般的な表現であると思うのだが・・・。

謎である。

地元に美味いと評判のオムライスがある。

中華料理屋なのだが、
店頭に行くと尻ごみするぐらいの荒くれた店だ。

その店で美味いのはオムライスだけ。
他の料理はおせじにも美味くはない。

だが、オムライスは絶品だという。

ただし、このオムライスには食べ方にコツがある。

オムライスが来たら、
その皿の下に箸を入れて傾ける。

そのまま４～５分。

すると赤い油が溜まる。

その後に食べるとオムライスは絶妙な味らしい。

なんだ、そのひと手間は。