営業短縮要請の夜(三景)

2020年11月29日 08時47分03秒 | その他のかけら
営業時間短縮の要請がなされた最初の夜、渋谷にいた。

駅前からかなり離れた場所にある、
あるイタリアンの前を通りかかると、
ガラス越しに見える店内では、
貸し切りパーティーでもやっているのか、
客がぎっしり。
換気のために少し開けた入口からは、
大きな話声が漏れ聴こえてくる。

さらにそこから近い、
やはり路上から店内が見える人気のバルも満席。

どちらも夜9時過ぎの光景だ。

こんな光景を目にすると、
新型コロナウイルスが夜10時以降にしか活動しない、
律儀な夜行性ではない限り、
営業時間の短縮よりも、客の人数制限を要請した方が、
感染拡大防止になるのではと思う。
が、まあ、やらないだろうな。
人数制限の方がいろいろ面倒だからである。

電車に乗る。
車内ではマスク着用の女とマスク非着用の男が、
入口付近に向かい合って立ち、おしゃべりしていた。
しゃべっているのは主に、マスク非着用の男。
女はといえば、男の話を楽しげに聞いている。
新しい生活様式の中に誕生した、新しいかたちのバカ。

地元の駅で降りる。
もう夜10時は目前だ。
「ガールズバーいかがですか」
マウスシールドをした3人の女の子が、呼び込みをしている。
彼女たちだってやりたくてやっているわけではないだろう。


このような三景を観て思うのは、
感染症の拡大を防ぐためには性善説ではダメだということだ。
性悪説でいかないと。
「経済を回す」論者は、なぜかこういう時だけ、性善説スタンスだ。

できることをするし、できることしかできない。