今年(2015年)の11月中旬に、ある資料がネットにアップされました。私はこれに注目し「ほぉ~~」と感心していたのでした。
151115 県p研究大会発表up用
【PTA活動】とことんIT化したらどうなるか?【やってみた】
このスライド資料、現在、6万4千ビューです。すごいっ!
詳しい話をききたいなぁと思っていたところ、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』の著者、我らが大塚玲子さんが、サイボウズでこの会長さんにインタビューしてくだいました。いよっ、待ってました!
サイボウズ式151208
PTAに公立校の平等論を持ち込むと良さは消える──「やりたい人がやるから文句言うな」を貫け
千葉県浦安市にある小学校の、PTA会長である川上慎市郎さんは、3年かけてPTAのIT化を進めてきたそうです。連絡体制と、広報の体制をIT化したようです。その結果、印刷コストは約3分の1に!(平成22年度と25年度の印刷コストを比較)。削減されたのは、主にコピー費です。
PTA運営の仲間内の連絡に使うコピー費が、削減されたのでしょうか?
このケースでのIT化のすごみは、無料で使える既存システムを徹底的に活用していることです。
詳しい内容については、大塚さんのインタビューと、【やってみた】のスライド資料をご覧ください。
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さて、ここから感想などを。
■まずは「やりたい人がやるから文句言うな」について、です。
タイトルにもこの文言がありますが、本文の下の方にも出てきます。ここの文脈が、私には上手くくみ取れないのです。「文句」というのがどういうことなのかが、とっても気になります。
本文に出てきた取り組みの事例は、すばらしいことと思います。PTA主催のプログラミング教室で、発達障害の子のちからを発見し、伸ばしきったことなどです。
「やりたい人がやるから文句言うな」を、もっと一般化して考えてみます。
PTAを運営している側にたつと、「そうだそうだ!」とまず思ってしまった自分がいました。やりたい人に、やりたいようにやらせてよ、と。
ところが深くPTAというものについて考えてみますと、やりたい人にやりたいようにやらせ、文句を言わせないということは、ある人の独断専行を許すことになりがちです。PTAは、学校という公的な組織のなかで活動し、規約に明示された活動目的をもっている団体ですから、そこを逸脱した活動はできません。また、民主的な運営を旨とする団体でもあります。
ボスやだれかの暴走に、ストップをかけられない事態は、よろしくありません。これが「やりたい人がやるから文句言うな」への私の心配です。あ、次の問題がでてきた。「暴走とは何か」という問題。これはここでは、コンプライアンスおよび、規約に示されるPTAの活動目的と方針を逸脱するようなこと、と定義します。
「文句」とはいったいなんでしょうね?手持ちの辞書(三省堂)によると…
とあります。
強制加入を決して改めないPTA本部に、任意加入制にしよう、入会届と退会届を整備しようよ、と意見具申することを、「文句」ととられたらたまらないなこりゃ、と思うわけです。
なにごともバランスが大事ですが、基本、性善説で、やりたい人にやりたいことをやらせてみて、みんなで効果を共有して意見をフィードバックしてゆくかたちがいいのかな、と考えます。
■つぎに面白いと思ったのは「ひとつひとつの仕事の範囲をあいまいに」という点です。
PTAの役割分担を明確にすると、急に都合がわるくなっても休めない、という現象が発生しがちです。これの逆をいって、川上さんは、役割の範囲をあいまいにして、兼務だらけにしたのだとか。これでお互いにカバーしあって、都合の悪い時に助け合うことができたそうです。
この話、もっと掘り下げてききたいな。