信州生坂村「山紫水明 食と文化癒しの郷!」

山清路、大城・京ヶ倉等の自然。赤地蔵、百体観音等の伝統。おやき、おにかけ等の食文化を持つ生坂村!

長野県治水砂防協会犀川支部 視察研修 二日目

2018年10月04日 | 私の活動報告
 4日(木) の視察研修二日目は宿泊先のホテルを午前8時20分に出て、大河津分水資料館に向かいました。
▽ 国土交通省北陸地方整備局 信濃川河川事務所 田部所長さんはじめ職員の皆さんにご対応いただき、最初に4階の雄大な信濃川や大河津分水の風景が見渡せる全天候型の展望室で説明していただきました。
 大河津分水は、信濃川がかつて度重なる水害によって越後平野に壊滅的な被害を与えてきて、この被害をなくすためには、増水した水が越後平野に入る前に一部を日本海へ流す必要があり、そのために作られたとのことでした。また、2015年から2032年に掛けて、全体事業費約1,200億円で行われる改修事業の概要も説明していただきました。










▽ 1階では、大河津分水ができる前の越後平野の米づくりとして、泥沼の田んぼや舟を使った農作業の風景や、信濃川と越後平野の成り立ち、人々のくらしと風土を通して大河津分水の歴史と役割について説明していただきました。






▽ 2階では、大河津分水工事が始まった明治時代から現在までの歴史、「青山士氏」や「宮本武之輔氏」など大河津分水に尽力した技術者、大河津分水の堰のコントロールのCGと模型、大河津分水を守るために完成後も続けられている洗掘対策や改修工事の様子などを説明していただきました。




▽ 人類愛を持った「青山士氏」の言葉が刻まれた信濃川補修工事竣工記念碑前でも説明を伺い、当時の技術者が工事にかけた想いを感じることが出来、みんなで記念撮影をしました。






▽ 大河津出張所の堰の操作室では、大河津分水の堰は休むことなく動き続けるため、堰を操作する人も24時間365日働いていることや、魚道観察室では、窓越しに魚を観察できますが、台風24号の影響で水が濁っていて小さな魚が少し見えた程度でした。












 田部所長さんの熱弁によるご説明は、信濃川沿川住民の方々が水害のない平穏な社会の実現を願って300年ほど前から大河津分水への挑戦が始まり、住民は夢と勇気とそして命をもかけて、大河津分水事業を可能にした先人達の偉業を、郷土の宝とし、今日の繁栄に感謝をするとともに、後世へと継承して行く責任を感じられた思いがしました。

▽ 次に上越市板倉の地すべり資料館に行き、新潟県上越地域振興局 妙高砂防事務所 保坂次長さんから歓迎のご挨拶をいただき、計画専門員の水澤さんから、「自然災害から命を守る学習会」と題して、「地震は防げないから、自分の努力で命を守るしかない」として阪神淡路大震災からの教訓、「巨大な津波は防げないから、高台に素早く非難する」として東日本大震災からの教訓、土砂災害から命を守るには、「危険な場所を知り、早めに避難する」など、近年多発している自然災害は、「いつ」「どこで」「どんな大きさ」で発生するか見当がつかないから、自然災害から命を守るためには、災害の特徴と原因を知り、先人の教訓を学ぶことが重要であるなどと説明していただきました。


▽ 上越市板倉区で2012年3月7日に発生した「国川地すべり」は、幅150m長さ500mに渡り崩れた土砂は、住宅5棟(内1棟は空家)作業小屋4棟、車庫2棟を巻き込み20日以上に渡ってすべり続け、土砂崩れや雪崩のイメージですと、滑るのは一瞬の出来事のように思えますが、地すべりはジワジワ、ズルズルと滑り続けるもので、この地すべりの応急対策と地すべり対策工事や、現在の造成地の様子について説明していただきました。




▽ この地すべり資料館では、映像やパネル、手作りの模型などで地層と大地ができる仕組みや液状化現象など実験を通して学ぶことができ、地すべりのメカニズムや歴史、災害、防止工事なども分かりやすく楽しく学ぶように工夫されていまして、小学校やPTAの校外学習の場や、消防団や自治会の研修の場として、県内外から多くの方々に利用されていました。










▽ 敷地内には、集落の少女に代わって人柱となり、「地すべり」を沈めた僧侶の遺骨をまつる「人柱供養堂」も併設してあり、昭和12年、瓶に入った人骨を発見し、新潟大学で鑑定したところ、時代はおよそ800年前、脚の骨が太く腕の骨があまり発達していないことから、旅の僧という伝承と合致した人骨が展示されていました。








▽ 続いて万内川砂防公園に行き、引き続き計画専門員の水澤さんから説明していただきました。
この地は明治35年5月に、栗立山で発生した大きな山崩れ「山のげ」がありましたが、日露戦争や大河津分水工事の着手で、新潟県にはお金がなく、大正10年にようやく村人たちの願いが叶い、堰堤工を開始しました。新潟県で最初の砂防工事として着手され、新潟県の砂防事業発祥の地とのことで、それを記念して現在は公園として整備され、石を積んで造られた砂防堰堤は登録有形文化財に指定され、歴史的な重厚感を感じました。
 また、妙高市西野谷・両善寺周辺の豊かな自然と、万内川・日影沢の歴史的砂防遺産を多くの人に広く知ってもらうため、万内川砂防公園サマーフェスティバルが開かれているとのことでした。












 信濃川河川事務所 田部所長さん、妙高砂防事務所 保坂次長さん、計画専門員の水澤さんはじめ職員の皆さんには、丁寧に詳しくご説明をしていただき、我々の視察に対して親切にご対応くださいまして感謝申し上げます。
 二日間の視察研修は、各視察場所でご対応していただいた皆さんが、親切に詳しくご説明いただき、予定時間をオーバーしてしっかりと視察研修が出来、我々犀川支部管内でも、何時、どの様な災害が発生するか分からな状況ですので、今回の研修も参考にして、日頃からハード・ソフト一体となった防災・減災対策に取り組んでいかなければと感じました。

▽ 朝の写真は下生坂上空からの風景です。



 その他生坂村では、小学校で児童会、公民館で第5回歴史探訪教室・アメリカンフラワー教室などが行われました。