川越。美しい街並み。
空がなんだかやけに広いと思ったら、
そうか、電線がないんだ。
実業家I藤先生を待つあいだ、
江戸時代からつづくという老舗のうなぎやで地ビールを
ちびりちびりやる。
新物のぎんなんに秋を感じていると、
隣のテーブルにカップルがやってきた。
初老の男性と若い女。新人OLくらいだろうか。
黙って料理を待っているが、時々女のほうがぽつりと何かを言う。
昼下がりのウナギ屋・年齢差・寡黙な空間・・・。
む、これはもしや。
怪しげな雰囲気に、なんとなく耳がそちらのほうに向かってしまう。
「山椒かける?」
「ん・・。」
「お父さん、近頃お疲れだからうなぎ食べて元気出さなきゃね」
「・・うん。」
「帰りの運転は私がするから、何か飲んだら。」
「ん・・。」
なんだそうか、父娘の会話か。
すまんすまん。
俺はこういう小津映画なシチュエーションが大好きなのだ。
昼酒が一層うまい。
俺も娘と飲みかわしてみたいなぁ。
でもそんときゃ、60歳か。
なんてぼんやり考えているところへI藤先生・S先生到着。
一方こちらはなんとも深作映画な御二人なので、
場所を移して、焼肉屋「リキ」へ。
「今月のシノギはちょいときついですなぁ」
「ま。肉食って、馬力つけてお互い乗り切りまひょ」
「オバちゃん、ホッピーおかわり。中身多めで。」
などと子袋刺身・ガツ刺し・レバ刺しを喰らう。
これはこれで、美味いのだ。
そして川越土産は「発狂くん」でキマリ。