帰ってきた特派員報告

2004年に沖縄移住しteacupブログ開設→gooブログへ引越し

柴犬ゴルゴ

2019-08-09 12:21:00 | 
柴犬が好きです。

幼少の頃、2頭を飼いつないでいたことがありました。
2頭とも名前は「ミネ」でした。

初代のミネが死んですぐ、どこからか半野良の柴が家にふらりとやって来てミネの犬小屋に居座り、家族のだれかがなんとなくミネと呼んだら尻尾を振ったので、そのままミネになりました。
預かり犬の知らせを電柱に貼りましたがだれも引き取りに来ず、うちでそのまま天寿を全うしました。
今ではありえない話ですが、昭和のころは首輪を付けたままフラフラしている犬があちこちにいたのです。
郊外では首輪のない犬が自然繁殖し、野犬狩りで駆除されていました。

柴犬に似ているといわれたこともあります。
若い頃は高校球児みたいに、きっちりと筋肉質だったんだぞ、と長女に言ったら
「球児? ププ」 「コストコみたいな腹して嘘ばっか」
と、悔しいけど妙に的確な表現でバカにされました。


国道沿いのペットショップにお気に入りの小さくかわいい豆の白い柴犬がいて、仕事の合間に時々眺めに行きます。

ある日、その柴犬を覗きにいったら、眼病を患ってしまっていて、目やにが鼻の下まで垂れ、犬の目やにというのは脂分が多くて黒いものだから、白犬の顔には大変目立ってしまい、その姿は哀れというか、なにか少しひょうきんでもありました。

ほうれい線に垂れる目やにの風貌のせいで、店員たちから「ゴルゴ」と呼ばれるようになっていました。




そんなだから売れ残ってしまって、6ヶ月もすると体躯も少し大きくなってきます。

コロコロと小さくかわいいやつはどんどん売られていくけれど

 隣室のプードルも上階のテリアも居なくなり、哀れなゴルゴはいつもぽつねんと一匹でいるようになりました。

ペットショップで犬を買ったことはないので詳しい事はわからないけど、ネットで調べてみると、半年以上買い手がつかなくなってしまった個体は「引き取り屋」なる闇の存在へ秘密裏に譲渡される、などとおっかないことが書かれていました。
どこかでひっそりと処分されるのでしょう。

かわいそうなゴルゴ、そろそろ後がありません。

引き取ってやりたいのは山々だけれど、現在、柴犬は人気の犬種であり、眼病患いのゴルゴであっても小さい白柴は、カッシーナのソファーくらいの強気な値付けがなされており、とてもじゃないが手が出せません。



翌週、見に行ったら、まだ居ます。
ほうれい線はずいぶん短くなったけれど

狭いケージの劣悪な環境のなかで、三白眼の犬相の悪い顔になっていました。

運の悪いことに、白い毛並みの上にきなこがかかったような赤毛が発現してしまい、ちょっと全体的に薄汚れた感じのせいで、ますます売れない状況に陥っていました。

さすがに店主も弱気になったらしく、大塚家具の椅子くらいの価格に下落していて、こんくらいならなんとかなりそうかもしれない、と思いました。

うちに帰り家人に今までの推移と危惧されるゴルゴの将来を説明し、

「なんとかうちで飼えないものだろうか」と提案したら

「飼ってもいいけどゴルゴはやめて」っつわれました。


翌週、すでに売られてはいまいか、引き取り屋は来てはいまいかと、はらはらしながら店へいったら果たしてゴルゴはちゃんといて、あろうことかニトリのちゃぶ台くらいの値段で叩き売られていました。

動物を値段でどうこうするのは気持ちが悪いのですが、本音をいうと「やったぜ!」という展開です。


こうして無事、我が家に引き取られることになったゴルゴは、帰りの東名高速走行中に壮大にゲロを吐いたり、家に着くなり大脱糞したかと思えば、それをいきなりバクバクと食糞したものだから、その光景を玄関で目撃した長女がヒッ!と小さく叫んで

あたし駄目、こんなの飼えない

と、ようやくたどり着いた難民がイミグレーションでまさかの入国拒否みたいな、すったもんだはありましたが、サークルをぶち壊して壁に穴を開けたり、ゴキブリを追い回したりしながら、なんとか今日も平和に暮らしています。




長女と和解し、引っ張り合いを楽しむニューカマー。名前はゴルゴ改め、やっぱり「ミネ」

うんこは前みたいにバクバクとはいきませんが、目を離すとテキーラをひっかけるみたいに一口パクっと食べてます。
食べたあと「やっぱりいけませんよね」みたいな上目遣いをするので胸が苦しくなります。

犬バカと馬鹿犬も、それなりにうまくやっているようです。






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