熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。送料込み5000円。
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作品 文章 写真 販売品

燻(いぶし)の効果

2020-11-02 18:59:01 | 文章

名古屋にお住いの方から、うれしいコメントをいただきました。

「今日感じたことを書かせてください。数年前に熊澤さんから根付用に薩摩黄楊を購入しました。購入当時はまだ駒作りの経験が浅かったですが、この数年で色々な駒を作り、たくさんの駒木地を見てきました。プレゼント用に根付を制作しようと思い、熊澤さんの木地を用いました。すると、制作中、木地を研磨していると他の木地では感じられない良い香りがしました。香りも木の質も、他のとは別格に良いものだと改めて認識しました。これも自分の経験が見せてくれた世界なのでしょうか。また熊澤さんの木地で駒を作りたくなった今日この頃でした」。

これに対する、小生のご返事。

「ありがとうございます。芳香は、多分、燻の材の匂いだと思います。ツゲの燻(いぶし、燻製)は、ツゲが持っている樹脂分を燻製することで固めてツゲを堅くして耐久性を高めるとともに、色合いも深い飴色にする効果を期待して始めました。本来、ツゲには何んの匂いはないのですが、ツゲはツゲ自体の木っ端やツゲの粉で煙らせて酸素を絶ち、燻製しすることでスモーキーな匂いが木地全体に僅か染み込むわけです。
それが、副次効果として、鼻を近づけると良い匂いとして、漂うことになるのですね。この間、仕事場に来られて駒をお買い求めになった方も、良い匂いだとおっしゃっていただきました。微妙でかすかな匂いではありますが、それにお気づきになったことに、敬意と感謝申し上げます」。

これに対していただいた、第2信。

「熊澤様、ご丁寧にありがとうございます。大変勉強になりました。熊澤様の木地が引き締まっているのは、単に良い木を使っているだけでなく、そういった工夫もあるのですね。木地の奥まで燻そうとすると相当な時間がかかるように思います。作品に込められた一つ一つ丁寧な仕事を発見出来る様になりたいものです」。

以上のように、燻(いぶし)は少しでも良い駒にしたいとの思いで始めたことです。微妙な違いなのですが、それに気が付いてくださったことに、うれしく思う限りです。ありがとうございました。

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