7月30日(金)、晴れ。
今日も35℃超え。今年一番の暑さでした。
皆さま、お元気でしょうか。酷暑とコロナを乗り切りましょう。
さて、今日は、盛上げ駒の話です。
先日、ある方から「盛上げ駒は漆が飛ぶので、心配だ」とのメールをいただきました。
「そのような心配をしている人は、多いだろうな」というのが、小生の実感でもありますが、率直な意見として、次のような返事を書きました。
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世間では、過去に、漆が飛ぶトラブルが多発していたこともあり、心配は、ごもっともだと思います。
特に、昭和初期から中期にかけて人気があった第一人者の某が作った駒には、後年、漆が飛ぶトラブルが多く見られました。
しかし、注意深くしっかり作られた盛上げ駒は、ご心配無用。漆が飛ぶことはありません。漆が飛ぶのは作り方が良くないからです。
作り手が、そのような認識もなく漫然と作り続けた結果、欠陥を持った駒が、多く市中に出回った結果、愛好者の間では「盛上げ駒は漆が飛ぶ。盛上げ駒は大方そのようなものだ」という変な見方が、いつの間にか定着してしまったように思います。これは駒の世界にとって、不幸なことでありました。
漆は本来、しっかり固まれば優秀な接着力を持つ素材であり、正しい工程と環境下で作られた駒(盛上げ駒)は、決して漆が飛ぶことはないと断言します。
「漆が飛ぶ」のは、作り方が良くなかったからだと言いましたが、例えば、滲みを止める「目止め材」に膠(数10年で劣化する)が使われていたとか、彫り跡の文字を埋める「コクソ=錆漆」の質が良くなかったとか、あるいは作業中に駒の表面に蝋分が付着して漆の密着性が損なわれたなどなど、いくつかの原因が考えられますが、いずれにしても、欠陥品は作り手の「知識不足」と「不注意」の結果で生まれます。
厄介なことに、漆は、時として「漆が膿む」こともあります。
「漆が膿む」とは、表面の漆は乾いても、埋めている中の方の漆は乾かず、いつまでたってもウジウジした状態で、固まらないことを言います。
膿んだ漆は、全部掻き出して、やり直す必要があるのですが、作者自身がそれに気が付かないことも多く、欠陥品が市場に出回る。
いずれ、そのような駒は使われるうちに、いつの間にか、文字の漆が土台ごと剥がれてしまうことになるわけです。
今日は、以上です。
駒の写真集
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