熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
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続・駒箱の作法

2023-04-27 20:02:56 | 文章

4月27日(木)、晴れ。

朝から上天気。

気温は平年並み、気持ち良い一日でした。
本日の映像は、自分用の愛用駒。
以前に何度かアップした駒です。

普段は袋と駒箱に入れていて、時には盤に並べたりして25年ほどになります。
訪問者とで愛用の駒に話が及んだ時などでは、これを箱(袋)からチャラチャラと出して、お見せしたりもしています。

その駒ですが、ご覧の通りいい飴色になってきました。
もう6~7年も前ですが、あるとき某タイトル戦の継盤用に使ってもらった後、2週間ほど経って、ある立ち合いの先生から「あの駒を譲ってほしい」との要請をいただきました。
「あれは私の愛用品だし中古品ですので、別途、新しい駒を作ります」と言うことで、納得していただいたのですが、この駒には今だにキズらしいキズは1つも見当たりません。

でも最近は、「駒を平箱に入れたまま、眺めている」という人が結構多いようで、その人たちは「駒に傷がつくのが嫌だ」と平箱にいれたままの「見るだけの駒」として、大事にされているのでしょう。

しっかり角を面取りしてある駒なら袋と四角い駒箱に入れて使っていてもダメージを与えるような傷がつくものではないのですが、売り物の駒ならそんなことをしてはいけないので、平箱に入れて保管しています。
昨日も、意見交換していた方からは「平箱に入れたままの人は、きっと、いずれ転売しようと考えているのでは・・」との見方でした。
そうでしょうね。
私もそう思います。そして残念なことですが、「駒は大事に使いながら育てる。育つ」ということをご存じないのでしょうね。


ところで、本題の「駒箱の作法」ですが、駒箱にとって蓋の天面は、一番重要な部分として、桑などでは、一番美しい模様を天面に使っています。
その天面に、擦れキズがついてはどうしようもありませんので、キズがつかないように大切にしなければなりません。

ですので天面は、特に手で触れたりモノに当てないような取り扱いが求められますので、天面を上にしたまま、畳にそっと置く。そういう配慮が必要なのは明らかです。

しかしタイトル戦で、箱の蓋は、お椀の蓋を置くように、天面を下に天地を逆さまにして畳に置いていたということでした。
案外、このしぐさは見過ごしがちですが、良く気が付きました。
この扱いは理屈からして良くないことなんですが、対局者は日ごろ、勝ち負けにのみ集中していて、それ以外のことは思考の外。そのように思います。
(私は見ていませんが)同じことが、直近での某タイトル戦でもあったと聞きました。
勝った負けたは棋士にとって最需要ではありますが、このことにも棋士の誰かが気づいてほしいものです。
理にかなった正しい作法、これも重要なことだと思うのです。

本題は以上ですが、関連事項を追記します。

お茶碗や皿などの底にある丸くなったワッカのような出っ張り。すなわち「高台」のことですが、これは器を台に置いた時、安定させるためのモノで、お椀やお茶碗の蓋にも同様の高台がついています。
これによって蓋はひっくり返して置いても安定する役割とともに、この高台にはもう一つ重要な存在理由があります。
それは、お椀の蓋の美しい塗りや図柄模様の部分に傷をつけない。
作法として「ひっくり返して置く、蓋の高台」は、そのためのモノでもあるわけです。

ところで「駒箱の蓋」には、この高台はありませんね。
すなわち「駒箱の蓋」は、ひっくり返して置かれることを想定していない。そういうことが理解できるますが、
とは言え、総てのモノがこの理屈通りかどうか、少し紛らわしいと言わざるを得ないのです。

それは「ウナギ重」や「天ぷら重」を食するときのお重の蓋です。
私の場合、開けた蓋の中についた「水滴」が、周りに垂れないように、蓋をひっくり返して横の台上に置くことが多い。でも、立派な漆塗りの器ですと、天面に傷をつけることになるわけで、これはどうしたものでしょうか。
立派な(高価な)漆塗りの器で、ウナギを食することはめったに無いのですが、これは少し考えなければなりません。

 

 

コメント (1)
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