ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

雨におう

2009-03-06 13:19:06 | 日記・エッセイ・コラム

甘露のようにやわらかな春の雨、
辛夷の幹にはりついた苔のみどりが
息を吹きかえし
うれしがっている。
 ほほほゥ ほほほゥ
庭の隅々では石仏たちが睦みあっている。

ものみな芽吹きのこのとき
約束どおり
雨は恵みを連れてやってくる。

  春の雨傘さすほどのこともなく

ちょいと濡れてもみたくなって
そのまま庭先に出ると
雨が仄かににおってくる。
遠い日の静かの海の底のような
シダ類が茂る深い森の奥のような

ぼくはアンモナイトになって
あるいは小さな精霊になって
とても懐かしい水のにおい・・・・・

とろっと滴が耳のうしろをしたたり
なんともこそばゆい思いだ。

とつぜん、
手紙を書きたくなって部屋にもどる。

    
 正直は死語となりしや梅の花