贈られてきた すぐき を茶漬けにして戴く。
喉を落ちる時
古い京町家の土間の香りがする。
ああ、ずいぶん長いこと京都に行っていないなあ。
むかし、叔父のアトリエが枚方にあったので
学生時代はそこを宿にして奈良・京都を散策した。
(亀井勝一郎の文庫本をポケットに)
今日のような旅行ブームにはほど遠く
嵯峨野や嵐山を歩いても人に会うのが珍しいほどであった。
寺の拝観料なども
無人の入口に小さな箱が置いてあるだけの
じつに鷹揚なものであった。
かつて進歩派を自称するひとたちから
セーヌ河の橋(ポンヌフ)と同じものを鴨川に架けようという
動きがあった。
さすがに実行には至らなかったが
もし実現されていたら
京の五条の橋の上
フルート吹きながら牛若丸が現われ
盾とホコと鉄かぶとの弁慶が・・・・・
鍋つつく嘗て恥ぢらう箸ありし