蟷螂
草いきれに
おぼれる身体を
かなしみの電流が奔り
その瞬間
伴侶の貌を噛み砕いている
恍惚と
瞳の奥を白雲がながれ
首をかしげ
また首をかしげ
自分が何をしているのかわからない
* *
風に吹かれながら
やっとたどり着いた軒明かり
にぎわった虫の闇は
冷たい星のしずくに濡れ
膨れた腹の重たさは
食いころしたオスの怨みか
昨日がとおく
寂々と月が欠ける
みどりの瞳 いつまでも