ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

真珠採りのタンゴ

2009-03-14 12:29:06 | 日記・エッセイ・コラム

コンチネンタルタンゴに夢中になっていたあの頃。
「碧空」「真珠採りのタンゴ」「夜のタンゴ」「夢のタンゴ」
「オレガッパ」・・・・などステキな曲が沢山あって
ステレオに身を寄せ 
レコード盤が擦り切れるほど聞いたものだ。
甘く切ない旋律、烈しいリズムに
青春の魂がふるえ
女性の情熱と妖しげな仕草の虜になっていた。

今もこうして当時の曲がラジオから流れてくると
乾いた記憶がたちまち潤ってくるから不思議・・・・・・
音楽や香りは
海馬の扉をやさしく押し開けてくれる。
想いだせない名前はあっても
そのひとたちの笑顔や声は鮮やかに
あの日の海、あの日の草原、あの日の夕陽が
眩しくフラッシュバックする。

6時起床、7時に家を出てU市のクリニックへ。
尿酸値4,5とは随分安定してきた。
うれしくなって夕食は「豆乳の豚しゃぶ」を囲む。

    
 雷神の寝ぼけたりしも春なれや


ばか正直は何処へ?

2009-03-11 11:36:20 | 日記・エッセイ・コラム

東洋の文化に興味を持ち
40年前から日本に在住している米国人E・S氏の
卓話を聞いた。
現在翻訳の仕事で生計を立てている。

来日した当初は
学生運動が烈しく
野球場では酒に酔った観客が暴れたり
ここは暴力国かと思ったそうだが
ぼくの質問に
現在の日本はおとなしくなってしまい面白くない。
あの頃のように元気を取り戻してほしいと言う。

日本人女性と結婚しており
日本で骨を埋める覚悟ができていると言う。

金満国になってから確かに
日本は愚直(ばか正直)さを失くし
打算にたけて
つまらない国になってしまったようだ。


大きな枝ごと届けられた桃の花が
帳場でほころんでいる。

      
さざえ焼くいのちの海の噴き上がる


休館日

2009-03-09 18:03:28 | 日記・エッセイ・コラム

お隣さんから
ニラの茎の酢漬けと蓬餅がとどき
昼の食卓に春の薫りが漂う。

とある俳句誌から投稿依頼がある。
巻頭に載せる短詩で
先月の「春浅し」につづき
今月のタイトルは「囀り」との由。
短い作品なのでここで紹介したい。

        
 囀り
   一茶が寂しがっていると
   ハイドンが呼んでいると
   あとからあとから
   ヒバリが昇っていく
   まっさおな天上界


以上これだけのことですが・・・・・・・。

きょう月曜は休館日。
三ヶ月ぶりに髪を揃えに美容室に行く。
椅子が二つきりの小さな美容室。
只、髪をカットするだけの
とても上客とは呼べないのに
七年ほど前、
娘さんの合唱団に関わっていたこともあって
オーナー夫婦がていねいに扱ってくれる。

帰りはスーパーに寄って
シャンピニオンなど幾種かのキノコ類を買う。
尿酸値を下げるのに良いといわれているので。

夕食はキノコ饂飩にしようか。

    
 縁側てふ遠きひかりや花菜漬


四十の手習い

2009-03-08 12:10:36 | 日記・エッセイ・コラム

きのうと今日の温度差が大きく
ストーブをつけたり 消したり
ジャンパーを着たり 脱いだり
いろいろコントロールに気を配っているこの頃。

木々の芽が吹き出すこの季節は要注意!
身中の蟲も動きはじめ
やたらひと恋しくなったり
体調を崩したり
人間に悪さを仕掛けてくる。

悪さといえば
根っからの悪さと
うっかりミスの悪さとがあるが
この頃の政治家たちの悪さは
ほんとうのところ
どちらの悪さなのだろうか?

ところで、〈 四十の手習い 〉という言葉があるが
五十歳を過ぎてから美術大学に入学した知人の絵が
この度の卒業制作展で最高賞に輝いた。
若い学生たちに混じって
たいへんな努力だったと思う。
心から喝采を送りたい。

     すり鉢の底ひに春の湧き立てり


雨におう

2009-03-06 13:19:06 | 日記・エッセイ・コラム

甘露のようにやわらかな春の雨、
辛夷の幹にはりついた苔のみどりが
息を吹きかえし
うれしがっている。
 ほほほゥ ほほほゥ
庭の隅々では石仏たちが睦みあっている。

ものみな芽吹きのこのとき
約束どおり
雨は恵みを連れてやってくる。

  春の雨傘さすほどのこともなく

ちょいと濡れてもみたくなって
そのまま庭先に出ると
雨が仄かににおってくる。
遠い日の静かの海の底のような
シダ類が茂る深い森の奥のような

ぼくはアンモナイトになって
あるいは小さな精霊になって
とても懐かしい水のにおい・・・・・

とろっと滴が耳のうしろをしたたり
なんともこそばゆい思いだ。

とつぜん、
手紙を書きたくなって部屋にもどる。

    
 正直は死語となりしや梅の花