ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

イカのソティー・ベンベ風

2011-09-17 00:40:04 | 日記・エッセイ・コラム

日本海より刺身用の新鮮なイカが送られてきた。
はじめから刺身では一流シェフ(?)として
芸がない、先ずはソティーにして戴く。

フライパンにバターを熱し
にんにく一片を加えイカを並べる。
同時に下茹しておいたインゲンも一緒にソティーする。

肝心なのは、
さっと焼くだけで決して火を通し過ぎないこと。
肉ならミディアムレアーの状態。
味付けは塩・胡椒のみで充分だが
白ワインとレモンを少々振りかけたらもう完璧なアラカルト。

ご馳走したい人の顔がちらちらするがちと遠すぎて。

思えばイカの境遇も気の毒なことよ。
美味なる体を与えられたゆえに
カツオの群れに追いかけられ
唯一、武器の黒墨はパスタのソースにからめられて・・・・

    ゆるやかに格子戸よぎる秋日傘


ふしぎの村

2011-09-13 16:07:18 | 日記・エッセイ・コラム

強烈な残暑、
家も車も人も犬も石も草も じりじり焼かれ
セミは葉陰で静まりかえっている。

今日と同じような秋の炎暑の日が
ずっと昔、奈良を旅していたときにあった。

マムシが出るといわれるほど荒廃した法起寺への道。
白金のような太陽に砂利道は焼けただれ
スニーカーの底から熱気が伝わってくる。
通りがかりの貧しい村はひっそりと人の気配がしない。
まるで映画に使われたセットのような
時間から取り残された村。
さては次元の狭間に迷い込んでしまったかと
不安な感覚におそわれた。

砂塵に汚れたままのガラス戸や
朽ちた格子の隙間から
おそるおそる家の中をのぞくと
どの家にも人は居るのだ!
居るのだが動かない。
暗い土間にじっとうずくまって
何もかもが停止したまま
灼熱の午後をやりすごしているのだ。

昭和37年、20歳のわたしにとっては
何ともふしぎな体験。
戻ってから枚方のアトリエで筆を握っている叔父に話すと
「うん、いい感性だ! いいところに出会った!」
と、褒めてくれた。

現在は隅々まで開かれて
そのような村には出会うことはないだろうが・・・・

今日の西日の凄まじさに
斑鳩
(いかるが)の道を灼かれながら、とぼとぼ行く
若き旅人のうしろ姿が想いだされた。

     


ことばが命取り

2011-09-12 13:02:06 | 日記・エッセイ・コラム

うかつな失言と不透明な資金の流れによって
多くの大臣が失脚させられているというのに
未だにセンセイ方は懲りていない。

特に大臣として扱う言葉の重みを理解していない。
同じ言葉でも我々凡人が使うのと
責任ある担当大臣が使うのとでは、その影響力に
雲泥の差があることを認識していない。
いわゆる軽いのだ。

内閣が目まぐるしくころころかわることで
大臣もころころかわり
無名の政治家が経験不足のまま
本来なら大臣としての資質に乏しい者まで
起用されてしまうところに問題がある。

就任8日目で辞任なんて
こんなお粗末なことが・・・・

一旦、
吐いた言葉には消しゴムが効かないから怖い。
政治家はその怖さを誰よりも承知している筈なのに。

今宵は十五夜、
月と超新星「PTF-11Kly」は見えるだろうか?

     遠く遠く内耳の涯へ秋の蝉


ポエム

2011-09-10 10:02:51 | 日記・エッセイ・コラム

         メルトダウン

   水を! もっと水を!
   冷せ! 冷せ! 冷せ!
   とつじょ 狂いだしたモンスターに
    「こんな筈じゃなかった」
    「だから警告したのに」
    「いや、さらに改良を・・・」
   御茶ノ水博士たちは頭を抱え
     おぉ あぁ
     あぁ おぉ

   このときから
   魚のヒトの牛のホウレン草の
   DNAを壊しつづけ
   未来に黒い十字架が聳え立つ

   はるかの天上界では
   大いなる創造主が
   歯止めの効かぬわが子の暴走に
   頭を痛めている。

    *御茶ノ水博士:手塚治虫「鉄腕アトム」
        原子力(核融合)をエネルギー源としたロボット