はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

兼近大樹著『むき出し』

2021年11月04日 | 

2021/11/04

 

10月27日に発売になったEXIT、兼近大樹さん‥(と書くより、かねちーのほうがしっくりくる)の初めての自作を読みました。

 

 

私はけっこうEXITのファンなんです。

昨年、まだ未知のウィルス・コロナの不安が世の中を席巻していた頃、仕事も、公共施設も休みになって時間がたっぷりありました。

その頃テレビの「メレンゲの気持ち」を見ていたら、見たことのないお笑いコンビが出ていて、一人は介護職、一人はベビーシッターをやっていたと言っていました。

お笑い芸人にしては珍しい仕事に興味を感じて見ていたら、ベビーシッターのほうの人が、貧しい生い立ちで、いろいろな悪いことがあったけれど、「どん底まで落ちなかったのは、愛されていたからだ」と言ったのです。

その言葉に私はびっくりして、胸を打たれたのです。

その「愛されていた」という言葉が、普通の人だったら会話ではあまり使わない言葉だと思ったのです。

「愛着」とか「絆」とか、まるで心理学用語のように感じて、この言葉を素直にしゃべるこの人は普通の人ではない、と思ったのです。

You Tubeを見て経歴を知り、漫才をおもしろくて見て、コロナの不安な時期にたくさん楽しませてもらいました。

そんなかねちーが本を出すということで、注文して取り寄せました。

漢字が書けない、読めない、掛け算ができないと自分で言っているくらいですから、本1冊分書くのは大変だったろうなあと思います。

自分の誕生日が5月なので、その頃までには出したいと言っていたのを覚えています。半年遅れたけれど、きちんと生い立ちから、芸能界で成功するまでを書いてまとめたのは、すごい努力ですね。

彼がいつも話しているような言葉で読みやすい。
お笑い芸人として、言葉に対する感覚を磨いていると思うけれど、その視点がおもしろいと感じる箇所もあります。

彼のような境遇で育った人が、自分の生い立ちを書くというのは、とても大きな意味があると思います。悪いことをしたのも、生きるため、食べるため、身を守るために必死だったと思うのです。

こういう世界がある、そういう環境で育った子がいることを知ってほしい、そういう子に目を向けてほしいという気持ちで書いたのだと思います。

私は小学校の放課後育成のアルバイトをしたことがありますが、そのときにいた、年齢よりずっと体の小さな小3の男の子を思い出しました。

その子は、学校で食べる給食が1日分の食事らしいという噂でした。そのためかとても体が小さかったし、身なりもきれいではありませんでした。お父さんは働いていない、ということでした。

でもいつも元気で、コミュニケーション能力に優れていて、臆することなく皆とやりあっていました。なんだかその子に似ていると思いました。


「貧乏じゃなければ、金さえあれば、誰も傷つけずに生きていけるのに。」(p.126)

「なんとか王子とかクソ。生まれた環境が良くて、親が金持ちで、何の苦労も知らないで成功して、祭り上げられてふざけんじゃねぇよ。努力?才能?誰が教えてくれた?その道具はどうした?現実を知らねえで楽しんでんじゃねぇ。こんな奴らが楽しく生きている世界が気持ち悪い。」(P.133)

最後まで読んだとき、「いろんなことがあったけれど、今は成功してよかったね」と心から思いました。

悪いことばかりしていたようでも、心は純粋で、人を信じている人じゃないかなと感じました。



 

 

 

 

 

 


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